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22話

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次の日、私はお父様と一緒に王宮に来ていた。

目の前にいるのは勿論、陛下と王妃の2人。

あれ?次の休日って言わなかった?って思うよね。

うん。私もそう思ってたよ。

でも緊急事態が発生しちゃったから、急遽学園から戻ってすぐに王宮に来たのよ。


緊急事態......なんと、スカーレットが殿下に婚約破棄するように誘導し始めたんだよね!

いやー、エンディングまで待てなかったのかね?

卒業まで5ヶ月切ってるんだよ?

卒業式に婚約破棄イベントがあって、それでヒロインと結ばれてハッピーエンドなのよ!

このイベントが出るか出ないかで攻略出来たかわかるっているのに、なぜ待てない!

あぁ、その前にスカーレット達の今日の状況だよね。

大体、こんな感じ。


書記と一緒に今日の書類を運んでいると、生徒会室から1番近いベンチで殿下とスカーレットがイチャついていた。

「スカーレット...今日も美しいな」

「もう、殿下にはお姉様がいるじゃないですかぁ」

あ、この時のスカーレットはそんなこと言いながら勝ち誇った笑顔だったよ。

この2人さ、必ず私が通る場所とか、居る場所でイチャつくんだけど、見せつけてるんか?って思ってる。

そんなことするから姉から婚約者を奪った女狐なんて噂が消えないんだよなぁ......。

「そうは言っても親が決めた相手だ」

はい、これには腹立ちましたよー!

あれだけ散々スカーレットを嫌がって私に頼りまくってた人がこんなこと言うとはね!

魅了にかかってたとしても許さないかんな!

「じゃあ、お姉様と婚約破棄して私にしてくださいよぉ~」

はい、これです。

今の殿下なら絶対頷く。確定事項。

私としては今の状況で婚約破棄になっても、何も悪いことしてないし、お咎めもないと思うから構わないけどね。

多分、殿下とスカーレットだけが今後の立場がなくなって苦労するだけだし。


...とまぁ、こんなことを聞いたら流石にお父様に報告するしかないよね。

近いうちに婚約破棄されるかもって。

あ、それから、昨日と今日でブレスレットと確認したんだけど、肌身離さず付けてたわ。

絶対ブレスレットに何かあるって確信したよねぇ。

ブレスレットの色は薄緑色で装飾とかは何もなく、凄くシンプルなデザインだった。

いつものスカーレットだったら絶対に選ばないし、誰かから貰ったとしても付けないで放置するタイプの物だったよ。

ってことで、陛下に話を聞くために急遽王宮に来たって訳。

まず初めに、ここ最近の殿下とスカーレットの様子を話したら陛下は呆れながらも何かを考え込み始めた。

一方王妃は、信じられないのか、いまだに現実逃避してる。

王妃教育で2人と話したことがあるから知ってるんだけど、とにかく良い人なんだよね。この2人。

陛下はあまり喋る方ではないけど、忙しい中、なんだかんだで王妃と殿下のことを常に気にかけているし、正義感が強いから不正なんて絶対に許さない。

そのおかげで貴族からも平民からも信頼されている。

王妃様は優しくて、いつもニコニコしているけど、いざってときはすごく頼りになる。

あ、ちなみに私、王妃様のことめちゃくちゃ尊敬してるんだよね。

誰にも言ったことはないけど。

そんな人達にこんな顔をさせるような事が起こってしまって申し訳ない気持ちになる。

てか、これってシナリオと全然違うんだよね。

魅了とか、そんなのなかったし。

もうこうなったらヒロインとか関係なくなってない?
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