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6話 スカーレットside
しおりを挟む私は『花の王子様』のヒロイン、スカーレットよ!
え?何おかしなことを言ってるんだって?
全然おかしくないから!
私が5歳の時に急に記憶が戻ったの!
前世では私に彼氏を奪われたっていう女に殺されたんだけど、その後どうなったのかなぁ?
まぁ、いいや!
それで、目が覚めたら前世で友達が熱く語っていた乙女ゲームの世界にいたってこと。
ほら!なんかもう転生してる時点で主人公でしょ!
しかも、お姉様のナナリーとか聞いたことあるって思ってたら悪役令嬢だったし!
ゲームでは意地悪なお姉様に振り回されるみたいだし、ヒロインなんだもん!しっかりしなきゃ!
ということで、記憶を取り戻してから、私はお姉様をよく観察するようになった。
観察の結果は
なんで?全然意地悪じゃないし、むしろ優しいんだけど...
そう思ったのが、観察を初めて2週間くらい経った時だった。
優しいし、勉強もしっかりやってるし、ゲームではお姉様のことを嫌ってたはずのお父様もお母様も使用人達も、皆優しい顔をしてお姉様と話をしていた。
「スカーレット様、ナナリー様が今日のお菓子を作ったんですよ」
そう言ってメイドが用意したお菓子も美味しかった。
目の前に座っているお姉様もニコニコして私を見ている。
なんで?
私が友達から聞いてた話ではこの頃のお姉様は我儘し放題だって......。
そう思った私は、思わず
「お姉様は悪役令嬢なのよ!」
と言ってしまった。
案の定、お姉様はなんのことかわからずに首を傾げている。
あー...なんでこんなことを言ってしまったんだ。
そんなこと教えちゃったらお姉様が警戒して悪役令嬢にならないかもしれないじゃん!
それから、お姉様とお距離をおくようになった。
また乙女ゲームの話をしちゃったら大変だからね!
私から話しかけるのはお姉様から物を貰う時だけ。
え?なんで物を貰うのかって?
別に意味は無いけど、ヒロインの私より悪役令嬢のお姉様の方がいい物を持っていたら腹立つからよ!
だってそうでしょう?
それと、どうせお姉様は私を虐めて貴族じゃなくなるって聞いたし、良い物を持っている必要が無いもの!
今は殿下の婚約者だから送られてくるドレスだって、いずれは私の物になるんだから今から貰っても同じでしょ?
まぁ、飽きたら返していたしね。
借りてただけよ!
1年、2年と時間だけは過ぎていった。
私が10歳を迎えようとしていたときには、お姉様は周りからも賞賛されるほどの才女として知れ渡っていた。
一方、私は好き勝手に生きていた。
勉強、裁縫、ダンス、全てサボって遊びに歩いた。
だって、私はヒロインだからそんなことしなくても出来るに決まってるもの!
最初はお母様に色々言われたけど、私はヒロインだから!って言えば困った顔をして何も言わなかった。
そんな日常にも飽きてきて、ボーッとしていたときに、ふと思いついた。
結局、殿下は私のものになるんだから、今からでも良いんじゃないか。
ということだ。
そうと決まれば早速王宮に行かなくちゃ!
お姉様について行けば大丈夫よね。
そう思って急いでお姉様を探した。
自分がどういう扱いをされるかも知らずに。
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