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「お姉様は悪役令嬢なのよ!」

急にそう言われたのは私『ナナリー』が7歳で、妹の『スカーレット』が5歳の時だった。

体が弱くて寝込んでいたスカーレットが元気になった次の日、私を指さしながら言われた時は何を言っているのかサッパリわからなかった。

そんな中、月日が経ちハルト殿下と婚約が決まった8歳のとき、急に頭の中に映像が流れこんできた。

『え!ナナリー最悪じゃない!?』

そう言った少女が持っているのは四角い画面の薄い機械だ。

隣に座っている少女も同じ物を持っている。

『いや、わかるわー。殿下に相手されないからってこっちを虐めてくんなよって話』

指で四角い機械を触りながら少女の言葉に頷いている。

『本当にそれな!うーわ!マジで乙女ゲームに入ってみたいけどナナリーにだけはなりたくないわ』

『あはは!でも、そんなこと有り得ないけどね!』

というところで、映像が途切れた。

一体誰の......いや、これは私の記憶だ...っ!

と気付くと、今までの記憶が全部頭の中に流れ込んでくるように思い出した。

え!?あ、そういうこと!?

私、ナナリーに生まれ変わっちゃったの?

有り得ないって笑ってたのに!?

小説かよ!

とツッコミを入れたくなったけど、今は自室で1人だから何やってんの?ってなってしまう。

そう思いながら落ち着くと、スカーレットが私のことを悪役令嬢って言っていたことを思い出した。

悪役令嬢ってことを知っているってことは、あの子も前世持ちだよね?

あの言葉を言われてから、スカーレットとはまともに話をしていない。

私が話しかけても、返事しかしてくれない現状だ。


別に悪役令嬢でも良いのよ。相手が推しだったらね?

私の推しはハルト殿下ではなくアルム様なのよ。

だから虐めるとか婚約破棄するとか、物凄くどうでもいい。

なんなら面倒なことになる前にして欲しい。

お願いします。

と思っているくらいだ。


はぁ...とため息をついて窓の外を見る。

今は8歳の冬。

乙女ゲームが始まるまで後6年がある。

多分スカーレットは話をしている限り、バカでしかないから、とりあえず、その6年でハルト殿下と婚約破棄をして、アルム様を一目でもいいから見る。

そう心に決めた8歳の冬だった。

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