伝説となる少年の成り上がり

第二章

盗賊

　屋敷を出発して二時間後。俺たちは、深い森の中にある道を進んでいっている。ちなみに俺の武器はリイビチだ。それと予備の剣がいくらかある。防具は動きやすい安物の服を着ている。

「やめろー!!馬車には」

　ふとそんな声が聞こえてきた。聞こえてきた声からわかるように盗賊か何かに襲われているようだ。

「ブライアンさん、行きましょう」

　俺はそういうと同時に一目散に駆け出した。スキルの影響か俺の瞳は虹色に輝きその瞳を見た魔物は退いていった。ブライアンさんたちは置いてきてしまったがすぐに追いつけるだろう。
　一分くらい駆けたであろうか。ようやく俺の視界に倒れた騎士の姿が見て取れた。そしてその騎士にとどめを刺そうと短剣を振りかぶる盗賊の姿がみえた。

「安心しろよ。すぐに他の仲間も送ってやるからな」

　盗賊がその言葉を言い終えた瞬間俺は縮地を使い短剣を受け止めた。そして弾き飛ばした。

「くそっガキが1人増えやがった。しかし相手はたかが子供、お前ら素早く片付けるぞ!!」

　ボスらしき男が仲間の盗賊にそういう。それに応えた仲間は俺を殺そうと魔法を唱え始めた。

「おい、一人では危険すぎるしかもまだ子供。ここは下がれ!!」

　騎士がそう叫ぶしかしそれと同時に盗賊の火魔法が完成し俺に向かってきた。それを俺は炎操作を使い消滅させる。それと同時に神の代行者が反応し姿が変わる。そこで俺は名乗った。

「俺はステュディ子爵家五男、エルヴィン・ルイス・ステュディ。お前らを地獄に叩き落してやる。神の代行者としてな。燃えろ【神炎】」

　俺がそう唱えると神々しく輝いた炎が盗賊たちを焼き尽くした。しかし盗賊の1人が上手く炎をよけて逃げ出していた。しかし運が悪くブライアンさんたちに取り押さえられたが。

「エルヴィン、その姿は…それとこの紋章はサン伯爵家の」

　ブライアンさんがそういうと俺は初めて髪色が虹色に輝いていたことに気付いた。しかしそれはすぐに収まり元の姿に戻った。

「そういえば忘れていましたね」

　俺はそういうとリイビチを天高く掲げた。雲一つもなかった空は徐々に曇りはじめ金色の雨を降らせた。それはたちまち傷ついた騎士たちを癒した。

「ご助力感謝いたします。あなた方がいなければ今頃全員殺されていたでしょう」

「礼には及びません。それにあなた方はこの盗賊の尋問をしてないじゃないですか」

　俺がそういうと騎士たちは盗賊の尋問を始めた。その間俺たちは馬車の護衛を任されたのであたりを警戒する。

「久しぶりだな、エルヴィン君」

　そう言って馬車から降りてきたのはチャーリーとその父親である…そういえば名前聞いてないや。

「サン伯爵家当主スティーヴ・マイケル・サンだ。エルヴィン君、そして冒険者たち、礼をいう」

「いえ。実際に救ったのはエルヴィン様ですし私たちは何もしていません」

　ブライアンさんがそういうと馬車の中から懐かしい声が聞こえてきた。

「そんなに硬くならないでもいいんだぜ。父上はそこまで厳しくはないからな。俺からも礼を言うぜ。自己紹介がまだだったな、まあエルヴィンは知っていると思うがサン伯爵家次男チャーリー・マイケル・サンだ」

　そう言って下りてきた。そこに騎士の1人が戻ってきた。

「スティーヴ様、盗賊を尋問した結果ですがアジトをなかなかはきません。どいういたしましょうか」

　スティーヴ様はちらりと俺のほうを見ていった。

「エルヴィン君、盗賊の尋問頼めるかね。君の称号なら強制的にはかせることも可能だろう」

「分かりました。出来る限りやってみましょう」

　そう言って俺は騎士に縛り付けられた盗賊の男に近づいた。