上 下
5 / 18

客人

しおりを挟む
 ギルドでの報告はそこそこだったので割愛しよう。ひとつ言うならギルマスが倒れて俺の冒険者ランクがSランクになったことくらいだ。
 その翌日から物語は始まる。

 昨日、ギルマスに報告をし終えた俺はシルク様と別れた。依頼報酬はたんまりと…大体国家予算3ヶ月分…白金貨300枚貰った。まあ俺が持っていても使わないのでシルク様を護衛していた女性冒険者4人に3分の2を渡した。

「ハルト様、只今お客様が参られましたよ。通しますか?」

 俺が部屋(宿)でぼーっとしていると女将さんがそういってきた。俺に客が来た?呼んだつもりはないのだが…もしかして昨日の女性冒険者4人か?

「俺がそっちに行きます」

 そういって宿屋の玄関を開けると1台の馬車が止まっていた。そして馬車の護衛をしていたと思われる兵士がこちらに走ってくる。
 俺…何かしたっけ?

「貴方が冒険者のハルト様ですか?」

「はい、そうですけど…何か俺にようですか?」

 俺がそう訪ねると馬車の中から3人の中年男性が降りてきた。3人とも身分が高いようで少し豪華な服を着ている。

「そうだね。ハルト君」

 3人のうちの1人がそういった。俺はその人にが言葉を続けるのを待った。

「まあまあ、スェシス郷。宿の外で話をするのもあれだ。中に入ろうではないか」

「それもそうですね」

 そう言って2人は宿に入っていった。取り残された俺ともう1人もあとに続いて宿に入る。

「食堂の個室はないか。なるべく広いところがいい」

 3人の中でも一番身分が高そうな人がそう女将さんに言った。女将さんは不思議そうにしていたが、俺を見ると何か納得したように個室に案内してくれた。

「女将さん、何かこの人たちに飲み物持ってきてください」

「あいよ!」

 そう言って女将さんは厨房に消えていった。そして暫くして飲み物を持って戻って来た。まあすぐ消えるのだが。

「あのー俺に何か用があるんですか?」

 いつまでたっても話が見えて来ないのでそう俺が言うとスェシスと呼ばれた人が口を開いた。

「うん。お礼をいわせてもらうよ。シルクを助けてくれてありがとう。僕はシルクの父、スェシスだよ。畏まらなくていいからね」

「儂はガルスだ。このオステフ王国の現国王だ。畏まらなくていいぞ」

「私は宰相を勤めております、クォリスと言います」

 俺は少し後ずさった。無理もない。目の前に国を主に動かしている人3人が座っているのだ。俺は戸惑いながらもギルマスにはなしたことを話し始めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

異世界八険伝

AW
ファンタジー
これは単なる異世界転移小説ではない!感涙を求める人へ贈るファンタジーだ! 突然、異世界召喚された僕は、12歳銀髪碧眼の美少女勇者に。13歳のお姫様、14歳の美少女メイド、11歳のエルフっ娘……可愛い仲間たち【挿絵あり】と一緒に世界を救う旅に出る!笑いあり、感動ありの王道冒険物語をどうぞお楽しみあれ!

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

ゆとりある生活を異世界で

コロ
ファンタジー
とある世界の皇国 公爵家の長男坊は 少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた… それなりに頑張って生きていた俺は48歳 なかなか楽しい人生だと満喫していたら 交通事故でアッサリ逝ってもた…orz そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が 『楽しませてくれた礼をあげるよ』 とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に… それもチートまでくれて♪ ありがたやありがたや チート?強力なのがあります→使うとは言ってない   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います 宜しくお付き合い下さい

虹色の子~大魔境で見つけた少年~

an
ファンタジー
ここではない、どこかの世界の話。 この世界は、《砡》と呼ばれる、四つの美しい宝石の力で支えられている。人々はその砡の恩恵をその身に宿して産まれてくる。たとえば、すり傷を癒す力であったり、水を凍らせたり、釜戸に火をつけたり。生活に役立つ程度の恩恵が殆どであるが、中には、恩恵が強すぎて異端となる者も少なからずいた。 世界は、砡の恩恵を強く受けた人間を保護し、力を制御する訓練をする機関を立ち上げた。 機関は、世界中を飛び回り、砡の力を扱いきれず、暴走してしまう人々を保護し、制御訓練を施すことを仕事としている。そんな彼らに、情報が入る。 大魔境に、聖砡の反応あり。 聖砡。 恩恵以上に、脅威となるであろうその力。それはすなわち、世界を支える力の根元が「もう1つある」こと。見つければ、世紀の大発見だ。機関は情報を秘密裏に手に入れるべく、大魔境に職員を向かわせた。

処理中です...