あやかし町のよろず屋さん

１－２．お世話係は天狗の男の子！

01

　同い年……ちょっと年上かな？　わたしが小学六年生だから、この子は中学生くらいかも。

　凛々しい顔立ちに、色素のうすい灰色の瞳。落ち着いていて、大人っぽくて――同級生とは、ぜんぜんちがう。

　かっこよくて、思わず見とれそうになったけど、目つきが怖すぎた。

　ギッとにらまれて、ひるみそうになる。

「まわりをよく見ろ。この川辺はいま、立ち入り禁止だ」

　そう言われて、わたしはあわてて川辺を見た。たしかに、なんか立て札があるけど……あんなの、わからないよ！

　さっきのナゾの女の子は、川のまんなかで、満足そうにこっちを見ていた。その腕に、犬のぬいぐるみを抱きしめている――って、あれ、わたしがリュックに入れてたぬいぐるみ！

「わたしの……！」

　思わずあげた悲鳴を、男の子はそっけなく切り捨てた。

「あきらめろ。身代わりに使わなかったら、おまえが川に引きずりこまれていたんだぞ」

「あの子、なんだったのっ？」

「あの辺りにすむアヤカシ、だな」

「それ、本気で言ってる？」

　わたしが聞き返したら、男の子がまゆをひそめた。

　だから、表情が怖いんだって！

「まさか、なにも知らないのか？」

「知らないって、なにを？」

　聞き返したら、深いため息といっしょに、意味不明な言葉が返ってきた。