桃太のおだんご(隠語)は大人気

ぱぴっぷ

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二つの意味で刺激が強すぎるんじゃないか?

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「次は桃太の番だぞ!」

「桃太さん、頑張って下さい」

 とりあえず案内された娯楽部屋で遊んでみようということで、輝衣と美鳥の三人でビリヤードをしているのだが…… これがなかなか面白い。

 1から9まで数字が書かれたボールを順番に落としていく、定番のナインボールというルールで遊んでいるのだが、三人ともルールくらいなら知っているというほぼ初心者なので、勝敗がつくのに時間がかかってしまう。

 でもそれがいいんだ。
 互いに応援したり、ミスをしたら笑ったりと賑やかに遊ぶのが楽しいんだ。

「んーっ! 4のボールを狙うには遠いなぁ……」

「キューを持つ体勢が悪いのかもしれませんね、こう、もっと腕を伸ばして、お尻を突き出すように……」

 ……桃。

「んっ、この姿勢だと、リンゴのヘタが擦れちゃうっ」

 ……リンゴ。

「あまりプルプル揺らすと他のボールに当たってファウルになりますよ」

「あたしのリンゴはそこまでデカくないから大丈夫…… あっ」

 ……アップルパイ

「……ファウルです、見せつけてるんですか輝衣ちゃん」

「み、みい! そんなつもりじゃないから! 睨み付けるなよ!」

「……うふっ、冗談です、ではファウルなので次は私の番ですね、んーっ! これは足を上げて腕を伸ばさないと厳しそうです」

 ……モモ上げから桃の桃割り。

 ……今は遊んでるんだから集中しろ俺! その時ではないから静まるんだ!

「……えい! っ、やりました! 見てましたか桃太さん…… あっ」

「どうした、みい? ……あっ」

 ヤバっ、見つかった! あ、あははっ、これは…… 

「私達のせいですか? ごめんなさい、開放的になっているのに更に開放していたから……」

「拘束するものがないと、いつでも食べれるからって、ちいが…… 痛っ! みい!?」

「それは内緒だって話し合ったじゃないですか! 好きな時に好きなだけ食べるために桃太さんを誘惑……」

 あっ! そ、そう言えば千和と葵は何してるのかなー? 俺、ちょっと見てくるよ!

「……あっ! こらっ、桃太!」

「もう! 輝衣ちゃんのせいでおだんご食べそびれました」

 ……危ない危ない。
 どうもおかしいと思ったんだよ、移動すれば打ちやすい位置があるのに、二人ともわざわざ俺が座っているソファーの目の前で桃を見せつけながら打とうとするし。

 とりあえず千和と葵の方に避難だ、確かトレーニングルームに行くって言っていたような…… おっ、いたいた…… っ!?

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁーん」

「き゛も゛ち゛い゛い゛て゛す゛わぁぁぁー」

 二人揃ってマッサージチェアに座っていた。 
 肩凝りが酷いと言っていたから肩のマッサージをしているのだろうが……

「……あ゛っ、あっ、桃くぅぅーん! 気持ち良いよぉ、ぉ、ぉ、っ!」

 ……スイカさん! ブルブルと震えてますけど大丈夫ですか!?

「も、桃太様ぁ、ぁ、ぁ、っ、楽し、んで、ます、かぁ、ぁ、っ?」

 ……こっちのスイカは大暴れしている! 暴れん坊スイカだ!

 二つの意味で刺激が強すぎるんじゃないか? そこまで振動すると逆に凝りそうだけど。

「え、え、へ、へ、っ! ……ふぅっ、気持ち良かったぁ…… えへっ、桃くーん? おだんご食べて欲しいのかなぁ? ……それ」

「っ、っ、! ……はぁ、楽になりましたわぁ…… あらっ? ふふっ、桃太様のもマッサージが必要かもしれませんね」

 いや、これは…… あ、あははっ!

「桃太の番だぞ! 何してるんだ…… あっ!」

「いつまで待たせるんですか? ……まぁっ! うふふっ……」

 輝衣と美鳥も俺を追って来ちゃった! ちょっとみんな? 目が! 目が怖いよ? ねぇ、今は楽しく遊ぶ時間じゃないの? 

「食べ物で遊んじゃ駄目なんだけど、ねっ?」

「食べ物が遊んで欲しそうにしてますもの…… ねっ?」

「まったく、仕方ないなぁ…… へへっ」

「私達が遊び疲れるまでたっぷり遊んであげますね…… うふふっ」

 そして…… 俺達は娯楽部屋でめちゃくちゃ娯楽して、トレーニングルームでめちゃくちゃトレーニングした。


 ◇


 へへっ…… 派手に遊んじゃったな。

 トレーニング器具のシートの上でだらしなく倒れているちいとあお。
 大きな鏡の前で幸せそうな顔をしながら座り込むみい。

 あたしはマッサージチェアに座りながら振動と共におだんごを食べる遊びをしていて、気が付いたらお腹いっぱいになって寝ていたらしい。

 桃太は…… あれ? 居ない…… どこに行ったんだろう。

 補習は大変だったが高校を無事卒業して、あたしは吉備団子店に就職することが決まった。

 団子作りも店での仕事も大好きだが、一番は桃太のそばにいたいから。

 両親とは卒業式の日に改めて直接桃太と報告したけど、すんなり許してくれた。
 両親に桃太の団子を食べさせ、その素晴らしさを一生懸命伝えた結果だと思う。

 フルーツ団子も食べさせて実家の果物も定期的に仕入れさせてもらう約束もしたし、それに……  許してくれた一番の要因は『孫』だろうな。

 とにかく、祝福してもらえたんだから遠慮はいらない。
 開放的な姿で桃太の周りをウロウロして、好きな時に好きなだけ、そうしていればきっと…… というのが今回の計画。

 昨日の夜から飛ばし過ぎなような気はするが開放的なのは効果抜群、思惑通りというか想像以上に桃太は張り切っている。

 きっと『太れ! 太れ!』って思いながら食べさせているんだろうな…… とにかく生おだんごが凄く美味しい……

「おっ、輝衣、大丈夫か? 飲み物持って来たぞ」

 桃太…… 飲み物を取りに行ってくれてたのか、サンキュ…… んぐっ、んぐっ、んぐっ…… ぷはっ! あぁ、美味い。

「また風呂入んないと駄目だな、あと…… 掃除もしないと」

 へへっ…… マッサージチェアも口から垂れたみたらしと練乳で汚れちゃった……
 でも、桃太が一生懸命作ってくれたおだんごだから、仕方ないよな。

「んっ? どうした輝衣?」

 へへっ…… どうしてこんなに好きになっちゃったんだろう? ずっとクラスは一緒だったのに。
 ……本当、あたしは男を見る目がなかったんだな。

 だからこうして出会えた素敵な旦那様を絶対に離さない。

 もっともっと食べて、食べさせて…… 今よりももっと絆を強めるんだ。

「へへっ…… 桃太、愛してるぞ!」

「うん、俺も愛し……」

「ふふっ、わたくしも愛してますわ!」

「うふふっ、私もです!」

「みーんな大好きで愛してるよ! えへへっ」

 ……せっかく桃太が言ってくれそうだったのに! 恥ずかしがり屋でなかなか言ってくれないんだから。

 へへっ、まあいいや! あたしもみーんな大好きだからな! みんなで幸せになるぞー!

「俺もみんなを……」


 ◇

 
 少しトレーニングし過ぎたのか、みんな汁…… じゃなくて汗だくになってしまったので冷蔵庫に飲み物を取りに行った。

「何だよ、マムCドリンクって……」

 怪しい飲み物を発見したが、見なかった事にしてスポーツドリンクやお茶のペットボトルを手に取った。

 そしてトレーニングルームに戻ると、若干虚ろな目で笑いながら力が抜けているような状態で座っている輝衣が目に入った。

 慌てて飲み物を渡すと輝衣はペットボトルのスポーツドリンクを一気に飲み干し、飲み終わった時には普通の目に戻っていた。

 よく見ると口からみたらしなどが垂れたままになっているし、ちょっと張り切って食べさせ過ぎて無理をかけてしまったかな? 少し反省しよう。

 その後、輝衣と同じような目をした三人が飲み物を飲むためにヨロヨロと起き上がり俺の方に近付いてきた、そして……


「俺もみんなを愛してる…… だからずっと一緒に居てくれ」
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