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ひ・み・つ、かな?

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「千和ー、最近スイーツが美味しいって話題のお店が出来たんだけど、帰りに一緒に行かない?」

「美々《みみ》ちゃん? うん、いいよ!」

「ふふっ、千和さんが真っ直ぐ帰らないなんて珍しいですね、それなら私もご一緒してもいいですか?」

「麗菜《れいな》も一緒でいいよな?」

「ふふっ、うん、皆で行こう」

 委員会活動で少し遅くなってしまったけど、美々ちゃんと麗菜ちゃんとスイーツを食べに行ったら更に遅くなりそう…… 美鳥さんに連絡しとこ、ふふっ。

 いつもは桃くんのお手伝いをしたいから真っ直ぐ帰る事が多いけど、たまには友達と遊びに行くのもいいよね?

「千和、最近彼氏とどうなの?」

 彼氏って…… 桃くんの事? 

「うーん、彼氏…… ではないんだけどね? まあまあかな?」

「気になってたんですけど、彼氏ではないのに毎日のように家にお邪魔してお世話してるんですか?」

「お世話…… とは思ってないんだけど、アルバイト的な事もしているし」

 もちろんアルバイト代も貰ってるし、何より『おだんご』のご褒美があるから…… ふふっ、いくら仲が良い友達でもその事は言えないけどね?

「そうなのかー? あたしは怪しんでるけどな、千和、正直に話せー!」

「あぁーん! 美々ちゃん、どこ触ってるのぉ!」

「おぉ…… すげぇズッシリ、麗菜も触ってみろよ」

 やめてぇ、あん、女の子同士だからって遠慮ないんだからぁ。

「本当ですね…… どうしたらこんな大きく育つんでしょうか」

 それは…… ふふふっ、ひ・み・つ、かな? 

「千和は隠しているつもりだろうけど、どうせ彼氏に色々されてるんだよ」

「んっ…… そんな事ないよぅ」

「こんな幼い顔をして、ますます色っぽくなりやがって! このこのー!」

「いやぁん! 美々ちゃん、やめてよー」

「…………」

 麗菜ちゃんも無言で触り続けないでぇ!

 
 そして話題になっているというスイーツ店に入った私達は、それぞれ注文をしてから席に着いた。
 ちなみに私が注文したのは桃をいっぱい使ったケーキ。

「千和、いい加減本当の事を教えてくれよー」

 本当の事って言われても…… 正直に話してるんだけどなぁ。

「それよりも美々ちゃんは彼氏さんとどうなの?」

「あ、あたし!? う、うん、それなりに仲良くやってるよ……」

 ふふっ、彼氏さんの話になった途端、赤い顔をして…… きっと何かがあったんだね? 

「あたしの事はいいから! 麗菜だって彼氏と最近仲良くしているって話じゃないか!」

 あっ、話を反らした…… 麗菜ちゃんは年上の彼氏さんだったかな? この間聞いた話だと……

「私達は…… 仲良くしてますよ、とっても、ふふふっ」

「で、どうなんだ?」

「その、最近は段々慣れてきたのと、光太郎さんがとても優しくて…… ふふっ、美々さんだって、あの後……」

「うっ…… うん、まぁ…… 誠司の奴、すっかりハマっちゃって…… でもあたしも悪い気はしないし……」

 うふふっ、二人とも赤い顔をしてるけど、とても幸せそう…… うん、私もその気持ち分かるよ。

「そんな事より千和だよ! あたし達だって話したんだから教えろー!!」

 うーん、そうだなぁ…… 私は……


 ◇


 千和が友達と遊んで帰るから遅くなると連絡が来たらしいので、今日は美鳥が俺の家に来て、色々とお世話してくれるみたいだ。

 手伝おうとしても断られ、リビングでボーッとテレビを観てるだけ…… これでいいのかな?

 最近は団子屋の仕事以外は千和や美鳥にお世話になりっぱなし、何かお礼をしたくても、二人は口を揃えて『おだんご』と要求するだけだし……

「桃太さん、もう少しでご飯が出来ますから待ってて下さいね?」

「うん、ありがとう…… って、何で抱き着くんだ?」

「いいじゃないですか…… うふふっ」

 頬にキスをしてからまたキッチンに戻っていった…… さっきからこんな事ばかりだ。
 美鳥が楽しそうにしているから特に何も言わないが、更に美鳥との距離が縮まり若干戸惑っている自分がいる。

 なんせ美鳥は『HATOKO』としてグラビアアイドルをしている有名人。
 そんな美鳥としがない団子屋の息子が仲良くして、身の回りの世話までしてもらって大丈夫なのだろうか。

 そんな事を本人に言うと泣き出してしまいそうなので絶対言わないけどね。

 千和は『有名人としてじゃなくて、美鳥さんという一人の女性して見てあげて? せっかく桃くんの魅力に気付いた仲間なんだし』なんて事を言っていたけど……

「桃太さん、出来ましたよー」

「ああ、ありがとう」

 一人の女性として見ても、美人で色々と気が利くし、俺には勿体ないくらいの女性なんだよな。

「どうしたんですか? まじまじと見られると照れちゃいます…… うふふっ」

 
 食事を終えると風呂の準備もされていて、美鳥に言われるがまま風呂場へと向かった。

「美鳥、なぜ付いてくる?」

「お背中を流してあげようと思いまして、うふふっ、大丈夫ですよ、ちゃんと水着を着て入りますから、こんな事もあろうかと千和ちゃんと一緒に用意していたんです」

 ……用意って、それ? 布は? 

「いいじゃないですか、今更ですよ?」

 うん、今更って言えば何でも許されると思ってる? そういうのはいけないよ?

「まあまあ、そう言わずに…… はい、脱いで下さいねー?」

 ……美鳥って意外と強引なんだね、仕方ない今日だけだからな?

「うふふっ、ありがとうございます、精一杯頑張って洗いますから」

 いや、頑張る必要はないと思うけど……


 ◇◇◇


「んっ、ふぅ…… うふふっ」

 すっかり綺麗に洗ってもらい、二人で湯船に浸かっていると、美鳥が俺に寄りかかってきた。

「桃太さん、私、来週からグラビアの撮影を再開する事になりました」

「……そっか、大丈夫なの?」

「はい、桃太さんと千和ちゃんのおかげで色々と自信がついたので大丈夫です」

 人に見られるのが苦痛だったみたいだが美鳥が選んだ事だ、応援してあげよう。

「桃太さん…… 私、もっと自信をつけたいです、もっと頑張って桃太さんのお役に立ちたいんです」

 いや、俺のためになんていいんだよ、できれば自分のために頑張って欲しいな、でも無理は駄目だぞ?

「うふふっ、はい、桃太さん…… あの、自信をつけるために…… その……」

 美鳥さん、ちょっと何してるのかな?

「おだんご食べたらもっと自信がつきそうなんです…… だから、桃太さんのおだんご、これからもいっぱい食べさせて下さい」

 おだんご…… ねぇ。

「湯冷めしないようにしないといけませんね、早く上がりましょう!」

 そんな急かしてどうしたんだよ、お腹空いたのかな?

「……おだんごが冷めないうちに」

 うん、そっか…… ちょっと、どこ見てるの?


 ◇


 ついつい話が盛り上がって予定より遅くなっちゃった、ふふっ。
 それにしても桃くんとの事、そんなに驚かなくてもいいのに。

 ただ、今は好きな時におだんご食べ放題だから、ついつい食べ過ぎちゃって、お腹いっぱいで気を失った事があるってだけの話なのに…… 

 んー、桃くんの家に帰って来たけど、もう大丈夫かな、美鳥さん。
 せっかくの二人きりの時間だから、少しでも長く楽しんで欲しかったんだけど。

「ただいまー」

「おっ、おかえり千和」

 あれ? 桃くんがリビングに一人でいるなんて……

「美鳥さんは?」

「あー…… ちょっと食べ過ぎて寝てるよ」

 あらら…… ふふっ、二人きりだったから張り切って食べちゃったのかな? あまり欲張り過ぎると桃くんったら遠慮なく食べさせ続けるから…… 凄いんだよね。

「そっかぁ…… それにしては桃くんは平気そうだね?」

「うん…… まぁ、平気って訳じゃないけど」

 それでもまだ食べさせる余裕はありそう…… 

「桃くん、私、これからお風呂に入ろうと思うんだけど、一緒に入らない?」

「うーん、どうしよう、美鳥と入ったしなぁ……」

 そうだよね、一緒に買った水着を早く見せたいって言ってたし…… ふふっ

「私もお腹空いてきたなぁ……」

「……分かった、一緒に入るか」

 その後、お風呂でおだんごを食べさせてもらい、食べ足りなくなってしまった私は、寝ている美鳥さんの横で、桃くんにたっぷりおだんごを食べさせてもらった。
  
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