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第三章

変な仕掛けとか作るなよ?

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「珍しいだよ! 馬達がこんなになつくなんて!」

 あの後、馬達は無事牧場に戻って来たので、これで御者人形の実験が再開できる。

 ところが前回の人形の時は言うことをきかなかった馬達だったけど……

「あれ~? すんなり馬車を引っ張って動いてるよ~?」

「本当だな……何でだ?」

 ユニコーンには、今回はちゃんと服を着させたソフィアの人形が、そしてバイコーンには、服は着ているが薄着の俺の人形に御者をやらせているのだか、みんなちゃんと馬車を引っ張ってくれている。

「おらには何があったか分からねぇが、馬達はあんた方が自分の主人だってぐらい従順だべ! これなら馬車を引くにも問題ねぇだ!」

「そうですか…… それならオ・シボリー町への馬車の往復も問題ないですか?」

「ああ! ユニコーンもバイコーンもそれぞれあんた方の人形で操れば問題ねぇだよ!」

「やったー! それなら馬車の問題は解決するな!」

「でも私達の人形っていうのが恥ずかしいわね……」

「しょうがないけど言うこと聞いてくれなきゃ意味ないし……」

「帽子でも被せておけばいいんじゃない?」

「そうだな、そこらへんは考えとくとして…… ジュリ、とりあえず人形をもうちょっと作っておいてもらってもいいか?」

「わかったです! まかせといて下さいです! 腕がなるです……ぐふ腐♪」

「変な仕掛けとか作るなよ?」

「わかったです~♪」

「はぁ……信用ならねぇ……まあいいか」

 とりあえずヤオの町での仕事も済んだし、ネイトさんの所に寄ってから街に帰ろう。

「じゃあ俺達は帰るよ! ジュリ、人形出来たら教えてくれな?」

「わかったですよ~! じゃあまたです~♪」

 そして俺達は途中までアリサと一緒に帰り、ネイトさんの所に行くので別れた。

 そしてネイトさんの家に着いて、馬車の事を説明した。

「そうですか! それにしても、人形で操るなんて…… とても思い付かなかったですよ! 助かりました、これでレジャー施設の建設がより進みます!」

「それは良かったです! 後は人形が完成してからちゃんと往復できるか実験しますんで、とりあえず今日は帰ります、また手伝いに来ますんで」

「分かりました、またよろしくお願いします!」

 そして長い1日が終わり、家にもう少しで着くというところで

「……ハル?」

「えっ? 姉ちゃん?」

 家の近くを歩く姉ちゃんとその友達に会ったのだが……

「……あの、あなた達がハルさんとソフィアさんですか?」

「は、はい……」

 その中の1人、見た事ない人だな? でもどこかで会ったような……

「……先ほどはありがとうございました、おかげでH・Tの洗脳が解けました」

「えっ? 何の話……」

「あなた達のコンビネーション……とても素敵で、愛を感じました……そのおかげで私は……でも人の事は言えないですが、あんな格好であんな事を……よっぽど愛し合っている2人じゃないととても……」

「ち、ちょっと待って! 一体何の話なの!?」

「私、チージョと名乗ってましたが、本当の名前はフィオと言います、お2人のおかげで洗脳は解けましたがあれはいくらなんでも……」

「……あれは凄かったけど、お姉ちゃん的には複雑」

「クリスの弟さん? 人前であんな事やったらいけないですわよ?」

「ソフィアさん……でしたよね? いくらなんでもあんなプレイ……クリスの弟くんもだよ?」

「何? 何なの!? 本当分かんないから教えて!」

「本当にありがとうございました! 実は私も弟がいて……その弟が反抗期で……困って心が弱っている所をH・Tにつけこまれて……」

「……チージョ、いやフィオも姉だった……ただそれだけの話」

「姉というのは心を強く、そして包み込むように優しく弟に接しなければならないですわ!」

「ただフィオの気持ちも分かるから、これから喫茶店で弟トークするとこだったの!」

「……その前にハル達に謝りたいって言うから待ってた、これから喫茶店行って話し合うから遅くなるってパパとママに言っといて」

「それじゃあ私達はこれで……」

「弟さんソフィアさん、それでは失礼しますわ♪」

「じゃあね~♪」

「……バイバイ」



 ……行ったよ、行っちゃったよ! 結局何だったの!? 気になるよ! 教えてよ姉ちゃん!

「何だったのよ……」

「……ソフィア、もう帰ろう」

「……ええ」

 モヤモヤするなぁ……

 後日、新聞に『謎のほぼ裸の男女が悪を成敗!!』という見出しがあったが、俺とソフィアは見ないふりをした。
 ……ジュリのやつーー!!
 

 その後、ジュリが作った人形で馬車を往復させる実験は大成功して、本格的に人形の量産に入った。

 馬車の数が増え、建設資材の運搬もスムーズになり、どんどんレジャー施設の完成に近づく。

 そして今日はネイトさんと一緒に、建設の様子を見に来ていた。

「いやー! 馬車が無人で動いてくれるだけでこんなに助かるとは思いませんでした!」

「喜んでもらえて良かったですよ! あとは馬達が頑張ってくれてるからですよ」

「ヤオの町の馬達も素晴らしいですよ! こんなに力のある馬達を育てて、しかもこんなにたくさん」

「ずっと同じ馬を働かせる訳にはいかないから、余分に貸してくれたのは助かりましたよね?」

「はい! これもハルさんのおかげですよ、ありがとうございます!」

「いえ、僕は……馬の事も、元はと言えばソフィアが思いつきで行動したからですよ」

「ソフィアさんですか! ところでハルさん、ソフィアさんとはどうなんですか?」

「どうとは?」

「ははっ、僕もそうですが周りの人ももどかしいですね……」

「えっ?」

「あっ! ハルさんいい事教えてあげますよ♪ 実は今度完成する観覧車……」


 ネイトさんと色々話をして、その日は帰った。

 そして2ヶ月後……

 待望のレジャー施設は完成した。


 
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