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第二章

ねっ♥️

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 両親それぞれの実家への就職の挨拶も終わり、いよいよ仕事も忙しくなると思っていたが、そうはならなかった、なぜなら……


「母さん! いい加減離れてよ! トイレ行くだけだから!」

「ダメ! そう言ってまたママを捨てるつもりなんでしょ!?」

「だから捨てないって何回も言ってるだろ!? いい加減仕事もしないと……」

「ハルちゃんが冷たい…… やっぱり捨てるのね?」

「大丈夫だよ! とにかく漏れるからトイレ行かせて!」

「じゃあママも一緒に行く!」

「勘弁してくれ!」


 こんな感じで、何をするにも母さんが離れなくなってしまった。
 ソフィアが言っても聞かないし、父さんが言おうものなら…… 

「マリー? もうそろそろハルにも仕事を……」

「はぁ?」

「いえ、何でもないですぅ……」

「ふん!」

「うぅぅ~、マリー……」

 父さんと母さんは絶賛ケンカ中で、父さんが何も言えなくなってしまってる。
 早く何とかしないと……するとソフィアが


「今日はみんなで、外で食事しない?」

「いいけど、突然どうしたの?」

「あそこのレストランがリニューアルしたみたいなのよ」

「ああ! あそこか! それならみんなで行こうよ! 父さん、母さん!」

 そしてみんなでレストランに行く事になった。
 ちなみに姉ちゃんは友達と3人で仕事に行ったので、今日はいない。
 この間紹介してもらったけど、ノインさんとニナさんっていったっけ? ノインさんは最近街に引っ越してきたみたいで、ニナさんは良いとこのお嬢様みたいな喋り方の人だったな……姉ちゃんとは気が合うみたいだけど、どんな話をしてるんだろう?

 そんな事を考えてるとレストランに着いた。

「あっ! ここって……」

「そうよマリー、あなたとユートはよく覚えてるでしょ?」

「そういえば、最近は来てなかったわね……」

「ほらユート! ボーッとしてないで、ちゃんとマリーをエスコートしなさい!」

「あ、ああ! さぁマリー! こっちの席にどうぞ♪」

「……ええ、 ……ありがと」

 俺とソフィアは顔を見合せ笑った。

 この店は父さんと母さんが初デートの時に来たレストランで、ワフー料理をメインとしたレストランだ。

 父さんの実家の味でもあり、俺達家族も好きな味で、昔はよくみんなで来ていた。

 初デートの時にこの店を進めたのはソフィアで、それから2人はよく遊ぶようになり、付き合いが始まったので、2人には思い出の店だと思う。

「ソフィア、よく思い出したね!」

「私はハルが生まれる前からあの2人を見てるのよ? マリーも意地っ張りだから、きっかけがないと中々謝らないし……それにここなら、あの時の気持ちを思い出すんじゃないかと思って」

「ホント助かったよ……あとは……」


「マリー、これ美味しいよ! 食べてみないかい?」

「……うん、あっ! 美味しい……お義母様の味に似てるわね♪」

「そうかな? 僕はマリーの味付けも好きだけどね♪」

「……ユートに美味しい物食べてもらいたくて、お義母様に教わりに言ったりしたわね……」

「マリーの家の味とは全然違うだろうから、大変だったよね? マリーが頑張って作ってくれて、凄く嬉しかったよ!」

「……ユートが喜んで食べてくれた時は嬉しかった……ごめんなさいユート……ここの所冷たくして……内緒にされてたのが悲しくて……それでもヒドイ事してごめんなさい……」

「……僕の方こそゴメン、最近、僕にかまってくれないから、マリーを独り占めしたくて……僕が大人げなかったよ……」

「いいえ、私の方こそゴメン……愛してるわユート」
 
「僕も愛してるよマリー」

 見つめ合い微笑む2人。
 よかったよかった! 2人が仲直りしてくれて。

「ソフィア、ありがとう!」

「ふふっ♪ いいのよ♪」

 そしてみんなで楽しく食事をして、帰る前に父さんと母さんがもう1軒行きたいと言うので付いていく。

 着いたのはコン太の家で、シズネさんの飲み屋だった。

「「「「いらっしゃいませ~♪」」」」

「あ! ユートさんにマリーさん! 今ママを呼んで来ますね♪」

「ソフィアさんと若ちゃんもいらっしゃい♪ コン太ちゃんも呼んでくる?」
 
「あっ若さん! 久しぶりだね♪」


 俺達に話かけてきたのは、シーカとレイナだった。

 昔、コン太が助けた女の子達で、行く宛のない2人をシズネさんが引き取り、みんなで暮らしている。

 2人ともコン太が大好きで、色々アピールしてるけど、中々気付いてくれないらしく、たまにコン太について相談される。

「……いらっしゃいませ、……久しぶりね」

 そしてもう1人現れたのは……


「久しぶりだね、ミヅキ! 元気だった?」

「私は元気よ♪ 店のみんなも優しいし、それに……」

「若! どうしたでござるか!? 急に家に来て」

「ああ、たまたま父さん達が来たいって言ってたから、付いてきただけだよ!」

「そうでござるか! さあ、こっちの席へ!」

 父さん達はシズネさん達と、別の席で楽しそうに喋っているので、俺達は別の席で話す事にした。

「コン太、ミヅキは働いててどうだ?」

「ミヅキは頑張ってるでござるよ! お客さんにも人気があるでござる!」

「そんな……私なんかまだまだ……」

「とても頑張っていて、家で一緒に暮らしているでござるが、手伝いもよくしてくれて、みんな喜んでいるでござる!」

「……コン太くん」

 ミヅキはあの事件以来、シズネさんの店で住み込みで働いている。

 昔、男に騙され貢いでしまって、男性不信だったミヅキを見てシズネさんが
「それなら男の人からお金を貢いで貰えばいいのよ♪ もちろん健全な方法でね♪」
 と言うことで今は店で働いて、男に貢がせていると言っていた。

 実際は男の人に楽しんでもらって、ちゃんとしたお金を貰っているので全く問題はない。

「シーカもレイナも仲良くしてくれるし、コン太くんも優しいし……ここで働けてよかったわ」

「ミヅキとは私達仲良しよ♪ それに……ねっ♥️」

「ミヅキちゃんも私達と一緒で……ねっ♥️」

「うぅぅ……」

 はは~ん、さてはミヅキもコン太に惚れたな? 

 コン太は女の子にはとことん優しいし、女の子ばかりに囲まれて育ったから、細かいところも気づいて、そんな所が女の子にしたら嬉しいみたいだ。

 それにミヅキの方が年上で、年上から絶大な人気を誇るコン太(本人は気付いていないけど)を好きになってしまったんだな?

 コン太、モテる男はツラいな! 

「何の話でござるか?」

 当の本人はニブくて、全然気付いていないが……

「そういえばミヅキ、カーマ達は?」

「リーロはいつも子供に好かれるから、保育園で働く事になって頑張ってるわ! それで兄……姉さんは……」

「ハルちゃ~ん♥️ 久しぶりね~♪ ブチュー♥️」

「ぎゃーーー!!!」

 いきなりほっぺたに、ブチュー! っとされて振り向くと……

 相変わらず、スキンヘッドにヒゲのムキムキゴリマッチョが立っていた。
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