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第二章
私は満足
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予定を繰り上げ、急いで街へ戻る俺達3人。
「姉ちゃん! 母さんがどうしたの!? いい加減教えてよ!」
「……ママはかなり危ない状態、私では……」
「父さんは!? 父さんはどうしたの!?」
「…………パパは瀕死の状態……」
「何で!? あの父さんが?」
「……特大の魔法を受けたみたい」
「……クソっ! ……父さん、母さん……」
「ハル! ユートとマリーはきっと大丈夫よ! だから……」
父さん…母さん……無事でいてくれ……
ソフィアに抱き締められながら、街へ向かう馬車に乗ってる。
こんなに時間が長く感じるなんて……早く着いてくれ!
そして家に着き、玄関を開けると……
「あれ? 今変な感じがしたんだけど……」
「これは……マリーの結界魔法ね」
「結界? 家の中に?」
「というか、家のどこかで使ってるみたいね……今の変な感じは、結界の外側に触れた感覚よ」
「じゃあ父さんと母さんはその中に?」
「……パパはこっち」
姉ちゃんに案内されてリビングにいくと、
虚ろな目で、頭を抱え座り込む父さんがいた。
「……父さん?」
「……あ、あっ……そんな……やめ……うわぁぁぁーー!!! ……ウソ……だ……ごめ……」
「父さん! どうしたの!? 父さん!?」
「うぅっ……あぁ……」
「これは……」
「ソフィア? 何か分かったの!?」
「ええ、これは魔法と言うより、呪いね……」
「呪い!? 誰がそんな事……」
「……これは……マリーの魔法ね」
「母さんが!? どうしてそんな……」
「……ママに直接聞きにいこう?」
「そうだよ! 姉ちゃん、母さんはどこにいるの!?」
「……多分ハルの部屋」
「俺の? なんで……」
「……行けば分かると思う、ハルなら結界を破れる」
そして俺の部屋に近付くにつれ、さっきの変な感じがどんどん強くなる。
「姉ちゃん……これ以上進めない……」
「……私もここまでしか来れなかった、ハルなら行けると思ったけど……」
「クソ! 母さん……大丈夫かな? って! サクラばあちゃんに貰った短剣が!」
俺の部屋に近付けなくて困っていると、短剣が急に光輝き始めた。
「ハル! それで結界を斬りつけて!」
「そんな事して大丈夫なのか!?」
「大丈夫よ! いいから早く!」
「分かったよ! はぁぁぁー!!!」
そして結界に向かって短剣で斬りつけると……
「結界が……消えた! 母さん!」
結界が消えたので、急いで俺の部屋のドアを開けると……
「な、なんだ? ……これは!」
部屋のドアを開けると、そこには散乱した俺の服、バラバラと散らばる写真、そして……
俺のベッドで抱き枕? を抱え、すすり泣く
母さんがいた。
「母……さん?」
呼び掛けてみると、母さんはガバッと起き上がりこっちを見て
「ハル……ちゃん? ああっ! ハルちゃん! ハルちゃんハルちゃんハルちゃ~ん!」
「か、母さん! どうしたの!?」
「ハルちゃ~ん! ママを……ママを置いていかないで~!」
「置いてく!? 父さんの実家と母さんの実家に行ってただけだよ? 聞いてたよね?」
「ママ聞いてな~い! だからハルちゃんがママを捨てて、置いてったのよね?」
「捨てる!? 何でそうなるの? 俺はてっきり父さんが言ってるとばかり……」
「パパはママに秘密にしてたって言ってたもん! みんなで計画して、ママからハルちゃんを引き離すつもりだったのよ!」
「そんな事しないよ! ……それにしてもこれはやりすぎだよ……」
ベッドには謎の抱き枕? と俺が写ってる写真、そして俺の下着が母さんを取り囲むように置いてあった。
「ていうか、あの抱き枕……妙にリアルなんだけど……あれ何?」
「あれは前にジュリちゃんが作ってくれた、等身大ハルちゃん人形よ♪」
「あいつ! こんなもん作りやがって!」
ジュリとは、コン太やアリサと一緒で俺の幼なじみだ。
今は引っ越してこの街にはいないが、魔法で人形を作るのが得意で、よく人形を作っては動かして遊んでたよな……
それにしても、俺の人形まで作ってたなんて……
「はぁー、父さんや母さんに何かあったと思って焦ったよ……」
「クリス! あなた大体分かってたんでしょ!?」
「……大体はね? でも結局ハルが帰って来ないと解決しないと思って」
「じゃあそれならそうと言えばいいじゃない! 私もビックリしたわ!」
「……ごめんねソフィア、でもハルの困った顔が見たくて……ハルの泣きそうな顔、久しぶりに見た、スゴく可愛かったから、私は満足」
「あなたね……」
「姉ちゃん! 俺の困った顔見たさにここまでやるなんてヒドイよ!」
「……ごめんね? でも私は満足、明日からまた頑張れる!」
「……」
姉ちゃんには本当困ったもんだが、何もなくてよかった……
あれ? 何か忘れてるような……
「あ…ぁ…ま、まりぃ……」
「「「…………」」」
「母さん……父さんにどんな魔法かけたの?」
「えっと、『ユートなんて大嫌い』って頭の中でずっと聞こえる魔法よ!」
「……それでこんな状態なんだ……」
「マリー! いい加減、魔法解いてあげたら?」
「ダメよソフィー! 私とハルちゃんを引き離そうとした罰なんだから!」
「……ママ、でもパパがこの状態のまま、ここにいたら邪魔だよ?」
「じゃあ物置にでも入れとこうかしら?」
それから、俺が母さんを何とか説得して、父さんの魔法は解いてもらえたが、母さんにしばらく口を聞いて貰えなくなって、落ち込む父さんだった。
「姉ちゃん! 母さんがどうしたの!? いい加減教えてよ!」
「……ママはかなり危ない状態、私では……」
「父さんは!? 父さんはどうしたの!?」
「…………パパは瀕死の状態……」
「何で!? あの父さんが?」
「……特大の魔法を受けたみたい」
「……クソっ! ……父さん、母さん……」
「ハル! ユートとマリーはきっと大丈夫よ! だから……」
父さん…母さん……無事でいてくれ……
ソフィアに抱き締められながら、街へ向かう馬車に乗ってる。
こんなに時間が長く感じるなんて……早く着いてくれ!
そして家に着き、玄関を開けると……
「あれ? 今変な感じがしたんだけど……」
「これは……マリーの結界魔法ね」
「結界? 家の中に?」
「というか、家のどこかで使ってるみたいね……今の変な感じは、結界の外側に触れた感覚よ」
「じゃあ父さんと母さんはその中に?」
「……パパはこっち」
姉ちゃんに案内されてリビングにいくと、
虚ろな目で、頭を抱え座り込む父さんがいた。
「……父さん?」
「……あ、あっ……そんな……やめ……うわぁぁぁーー!!! ……ウソ……だ……ごめ……」
「父さん! どうしたの!? 父さん!?」
「うぅっ……あぁ……」
「これは……」
「ソフィア? 何か分かったの!?」
「ええ、これは魔法と言うより、呪いね……」
「呪い!? 誰がそんな事……」
「……これは……マリーの魔法ね」
「母さんが!? どうしてそんな……」
「……ママに直接聞きにいこう?」
「そうだよ! 姉ちゃん、母さんはどこにいるの!?」
「……多分ハルの部屋」
「俺の? なんで……」
「……行けば分かると思う、ハルなら結界を破れる」
そして俺の部屋に近付くにつれ、さっきの変な感じがどんどん強くなる。
「姉ちゃん……これ以上進めない……」
「……私もここまでしか来れなかった、ハルなら行けると思ったけど……」
「クソ! 母さん……大丈夫かな? って! サクラばあちゃんに貰った短剣が!」
俺の部屋に近付けなくて困っていると、短剣が急に光輝き始めた。
「ハル! それで結界を斬りつけて!」
「そんな事して大丈夫なのか!?」
「大丈夫よ! いいから早く!」
「分かったよ! はぁぁぁー!!!」
そして結界に向かって短剣で斬りつけると……
「結界が……消えた! 母さん!」
結界が消えたので、急いで俺の部屋のドアを開けると……
「な、なんだ? ……これは!」
部屋のドアを開けると、そこには散乱した俺の服、バラバラと散らばる写真、そして……
俺のベッドで抱き枕? を抱え、すすり泣く
母さんがいた。
「母……さん?」
呼び掛けてみると、母さんはガバッと起き上がりこっちを見て
「ハル……ちゃん? ああっ! ハルちゃん! ハルちゃんハルちゃんハルちゃ~ん!」
「か、母さん! どうしたの!?」
「ハルちゃ~ん! ママを……ママを置いていかないで~!」
「置いてく!? 父さんの実家と母さんの実家に行ってただけだよ? 聞いてたよね?」
「ママ聞いてな~い! だからハルちゃんがママを捨てて、置いてったのよね?」
「捨てる!? 何でそうなるの? 俺はてっきり父さんが言ってるとばかり……」
「パパはママに秘密にしてたって言ってたもん! みんなで計画して、ママからハルちゃんを引き離すつもりだったのよ!」
「そんな事しないよ! ……それにしてもこれはやりすぎだよ……」
ベッドには謎の抱き枕? と俺が写ってる写真、そして俺の下着が母さんを取り囲むように置いてあった。
「ていうか、あの抱き枕……妙にリアルなんだけど……あれ何?」
「あれは前にジュリちゃんが作ってくれた、等身大ハルちゃん人形よ♪」
「あいつ! こんなもん作りやがって!」
ジュリとは、コン太やアリサと一緒で俺の幼なじみだ。
今は引っ越してこの街にはいないが、魔法で人形を作るのが得意で、よく人形を作っては動かして遊んでたよな……
それにしても、俺の人形まで作ってたなんて……
「はぁー、父さんや母さんに何かあったと思って焦ったよ……」
「クリス! あなた大体分かってたんでしょ!?」
「……大体はね? でも結局ハルが帰って来ないと解決しないと思って」
「じゃあそれならそうと言えばいいじゃない! 私もビックリしたわ!」
「……ごめんねソフィア、でもハルの困った顔が見たくて……ハルの泣きそうな顔、久しぶりに見た、スゴく可愛かったから、私は満足」
「あなたね……」
「姉ちゃん! 俺の困った顔見たさにここまでやるなんてヒドイよ!」
「……ごめんね? でも私は満足、明日からまた頑張れる!」
「……」
姉ちゃんには本当困ったもんだが、何もなくてよかった……
あれ? 何か忘れてるような……
「あ…ぁ…ま、まりぃ……」
「「「…………」」」
「母さん……父さんにどんな魔法かけたの?」
「えっと、『ユートなんて大嫌い』って頭の中でずっと聞こえる魔法よ!」
「……それでこんな状態なんだ……」
「マリー! いい加減、魔法解いてあげたら?」
「ダメよソフィー! 私とハルちゃんを引き離そうとした罰なんだから!」
「……ママ、でもパパがこの状態のまま、ここにいたら邪魔だよ?」
「じゃあ物置にでも入れとこうかしら?」
それから、俺が母さんを何とか説得して、父さんの魔法は解いてもらえたが、母さんにしばらく口を聞いて貰えなくなって、落ち込む父さんだった。
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