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第二章

そのボディよ!

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 学校を卒業した俺は、本格的に父さんの元で働き始めた。

 といっても基本今までと変わらず、ソフィアと街の見回りと、街の人の頼み事を聞いたりしている。

 それとたまにだが、母さんの護衛の仕事を頼まれるぐらいだ。
 そのたびに父さんは恨めしそうに俺を見てくるが、いい加減慣れてくれよ……

 そんなある日、父さんに呼び出された俺は、父さんの部屋向かっていた。

「ハル? ユートの部屋の前で何してるの?」
「えっ? ソフィアか、父さんに呼ばれたんだけど、何か怒られるような事したかな~? って考えてたんだよ」

「また怒られるような事したの?」
「いや、心当たりもないし、違うと思う……多分」

「じゃあさっさと入っちゃいなさいよ! ユート入るわよ!」
「ち、ちょっ! ソフィア!」

 ノックもしないでソフィアが父さんの部屋を開けると……
 父さんが母さんの写真集にキスをしていた……

「「「…………」」」

「こ、これはその! ……」
「父さん……」
「何やってるのよ……本物が家にいるんだから、本物にすればいいじゃないのよ……」

「だって! ハルが学校卒業して、いつも以上にマリーはハルにべったりで……」
「息子に嫉妬してどうするのよ! ……でハルに話って何?」

「……ああ! そうだハル! お前も正式に働き始めたから、父さんの実家と母さんの実家に言って、就職の挨拶をしておいで」

「ああ、じいちゃんばあちゃんの所か~! そういえば卒業以来、全然行ってなかったな~」

「そうね、ちゃんと挨拶しておかないとダメね」

「とりあえず街の見回りは他の人にやってもらうから、近い内に行ける様に調整しておくから」

「わかったよ!」
「それなら私も行くわ、ギンジローのお墓に手を合わせておきたいし」

「じゃあ先に、父さんの実家に行くことにしようか!」

「うちからユートの実家へ行ってから、マリーの実家行くんだったら1週間くらい帰ってこれないわね……私も近所の人の手伝いとか断っておかないと……」

 そして数日後、

「じゃあ行って来るよ!」
「ああ! 気をつけて行くんだぞ!」
「留守の間、マリーと仲良くね!」


 最初に行く父さんの実家は街の中心から見て南西の方向にある。

 それで母さんの実家は南東だ。
 俺の家があるのは中心から少し北に行った所で、それぞれの家はかなり離れている。

 何故近くにしなかったかというと、このかなり広い街の周りにある、隣の村への対応や、もしも外から魔物などに襲われても、それぞれの家で素早く対応をして、被害を少なくしようと言う狙いがあるみたいだ。

 だからお互いの家に行く時には馬車を使って移動していて、今は馬車に乗っている。

「馬車は楽でいいな~! そういえば父さんの実家に着いたら、すぐギンジローじいちゃんのお墓に行くの?」

「う~ん、とりあえずサクラちゃんに挨拶してからにしようかしら」

「そっか~、ところでソフィアから見てギンジローじいちゃんってどんな人だったの?」

「そうね……私はハルにそっくりだと思うわ」
「俺に? 母さんじゃなくて?」

「顔はマリーに似てるわよ、ただ性格というか、考え方が似てるのかな?」

「そうなの? 父さんから聞いた話では結構しっかりした人みたいな話だったけど……」

「それは父親だもの、息子の前ではしっかりとしてないと、ギンジロー本人はハルにそっくりで、普段はだらしなくて、やる気もないしスケベだし……でもやるときにはやる人だったわ」

「スケベは余計だよ! でもやるときにはやるって、俺とは違うと思うな……」

「まあ、ハルよりはもっと上手くやったと思うけどね♪ 着いたらサクラちゃんにも聞いてみなさい」
「わかったよ……」

「何か納得いかない顔ね? 大丈夫よ、ハルにはハルの良いところがいっぱいあるから♪」
「そりゃどうも……」

「そんな不貞腐れないでよ……ハルは本当に良い子なのは分かってるから♪」

 不貞腐れてはいないけど……ギンジローじいちゃんか~、父さんが子供の時に死んじゃったらしいけど、俺と同じ銀髪って事は知ってる……

「って、不貞腐れてないから、頭撫でなくていいよ!」
「別にいいじゃないのよ~」

 そうしているうちに、父さんの実家の近くまで来たので馬車を降りた。
 
「やっと着いたな~!」
「そうね、サクラちゃんも待ってるだろうから、寄り道しないで行きましょうか?」

「ハルにソフィア! やっと来たわね♪」

 声がする方へ顔を向けるとルナおばさんがこちらに手を振って立っていた。

 ルナおばさんは父さんの妹で、サクラばあちゃんと一緒に住んでいる。
 少し前に結婚して、今お腹には赤ちゃんがいる。

「ルナおばさん! 久しぶりだね! 待ってなくてもよかったのに」

「久しぶりねハル♪ 相変わらず義姉さんにそっくりね! かわいい甥っ子だもん、いくらでも待つわよ♪」

「ルナ、久しぶりね! つわりは大丈夫?」
「ソフィア! 相変わらず凄いわね! つわりはそこまで酷くないから大丈夫よ♪」

「何が凄いのよ?」
「それはもちろん、そのボディよ! 特に……」

「ホント、ルナったら……久しぶりに会って一言目がそれなの!?」

「だって、私も母親になるって思ったら余計に目に付くわよ、それで何人育てるつもりなのよ? 10人産んでもまだ余るくらいあるじゃない! ハルも大変ね~?」

「そこで何で俺に話を振るんだよ! 別に俺は……」
「大丈夫よ! ハルの分も残しての話だから♪」

「ルナ! いい加減にしなさいよ!?」
「冗談よ、冗談! それとも案外当たってたりして……」
「何言ってるの! まだ……」
「「まだ?」」

「何でもない! サクラちゃん待ってるから行くわよ!」
「はーい♪」
「……」

 ルナおばさんは相変わらずだな……

 父さんもルナおばさんには結構からかわれているし、それでも妹はかわいいのか、特に怒ったりしないんだよな~。

 3人で歩いていると、父さんの実家が見えてきた。

「あ! お母さんが立って待ってるわよ!」
「本当だ! お~い!サクラばあちゃん、来たよ~!」

 家の外でサクラばあちゃんが俺達を待っててくれたので、手を振って駆け寄る。

「ハル、よく来ましたね♪ 疲れたでしょう? さあどうぞ家の中へ」

「おじゃましま~す!」
「サクラちゃん久しぶりね♪ 元気だった?」
「ソフィアさん、お久しぶりね、相変わらず若くていいですね♪」

「見た目だけはね? それじゃあ私もお邪魔するわ♪」
「はいどうぞ♪」

 そして無事サクラばあちゃんの家に着いて、お邪魔することになった。





 その頃マリーは……


「それでね? 朝起こそうと思ってハルちゃんの部屋に行ったら、かわいい寝顔してるから思わず添い寝しちゃったのよ♥️ そうしたらハルちゃん寝惚けて私の事、ギューってしてきたの♥️ 私その時、もう幸せで……♥️」

「いいわね~♥️ 私も久しぶりにコン太と添い寝したいわ~♥️ この間のホテル以来ないもの……コン太のベッドに行っても、いつもレイナちゃんかシーカちゃんが先に忍び込んでるからな~」

「コン太くんもモテモテね~♪ ってあら?もうこんな時間! ハルちゃんが待ってるから、私帰るわね! それじゃあシズネちゃん、また今度ね♪」
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