聖剣におまかせ!~元聖剣の女の子に振り回される俺~

ぱぴっぷ

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第一章

ソフィアの昔話 その1

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「世界を救う為に! すまないソフィア……」
「私やります……それで世界が助かるなら……」



 私はソフィア、多分今年で12歳になる。

 多分と言うのは、私は生まれてすぐに捨てられていたみたいなので、それから12年が経ったという事だ。

 私は孤児院で拾われ、そのまま育てられた。
 貧しいけれど孤児院の人達がいて、みんな仲良く暮らしていたので、寂しい思いはしたことなかった。

 それと、私は魔力がとても高いらしい。
 普通の人は聖魔法は使えないらしいが、私は使え、さらにその効果もかなり高いと言われた。
 私はよく分からないけど、今では使える人がいない魔法でも、私の魔力なら簡単に使えてしまうぐらいらしい。

 私自身、魔法の事はよく分からないが、昔1回だけ、孤児院で一緒に暮らす子が瀕死の大ケガをしたときに、私が「治って!」と強く願うと、その子のケガがあっという間に治ってしまい、みんなを驚かせた事があった。

 その噂を聞きつけた勇者一族の人に私は引き取られ、今は勇者一族の里で暮らしている。

 みんなと別れるのは辛かったが、私が引き取られる事によって孤児院には莫大なお金が入り、今の貧しい生活が少しは楽になるだろうと思ったからだ。

 孤児院のみんなは引き留めてくれたが、私は必要とされているみたいなので、勇者一族の里に行く事を決めた。

 今勇者一族と魔王一族は戦争をしていて、毎日怪我人が運ばれてくる。
 その人達のケガを治してあげるのが私の主な仕事になっている。

 勇者一族の人は良くしてくれて、無理な事はさせないし、仕事がない時には一緒に遊んでくれたりしてくれた。

 そんなある日突如、巨大な黒い竜が現れた。
 次々と街を破壊し、たくさんの人々が被害にあった。

 その黒い竜は、魔王一族の研究者が密かに強化して改良がされていた竜で、その研究者が反乱を起こし、その際に竜を解き放ってしまったらしい。
 研究者自体も、暴走した竜にどうする事も出来ず、殺されてしまったみたいだ。

 魔王一族の里も甚大な被害を受け、このままでは被害がさらに拡大してしまうということで、勇者一族と魔王一族は協力して、黒い竜に立ち向かう事にした。

 しかしこの黒い竜は、ダメージを受けてもすぐに回復してしまい、協力して攻撃しても倒す事は出来ず、追い返す事で皆精一杯だった。

 そうこうしているうちに被害はどんどんと広がり、次々と人が死んでいった。

「もう人類は終わりかもしれない……」

「勇者一族、魔王一族の精鋭を向かわせても追い返すので精一杯、戦える者も徐々に少なくなってきたな……」

「……当主様、我々勇者一族に伝わるあの剣を何とか使えれば……」

「あれはおとぎ話だろう? 今は何の力もない」

「しかし言い伝えによると、聖なる力を満たすと復活すると……」

「そんな本当かどうか分からない事が出来る訳がないだろ! もしそれが本当なら、聖なる力を持つ者を犠牲にしなきゃいけなくなるんだぞ!」

「それでも、1人の犠牲で大勢が助かるなら……」
「そもそもそんな力を持つ者など……」

「ソフィア……」
「もしやソフィアなら!」

「バカを言うな! あんな小さな子にそんな残酷な事ができるか!」

「しかしこのままでは……」
「他の方法を考えるぞ!」
「……はい」


 私を犠牲に? 偶然通りかかって聞いてしまった私は怖くなり、自分の部屋へ逃げた。

 さっきは何もしないと言っていたが、いつか勇者一族の人は、私を犠牲にするつもりなのか?
 怖い! ……でも外には黒い竜がいるので逃げる事なんてできない。
 王子様! 私を助けて!

 昔、孤児院で読んだ絵本、囚われのお姫さまを助けてくれる王子様……あの本が好きでよく読んでいたが、私はその架空の王子様が助けてくれないか必死に願った。

 しかしそんな王子様などいるわけもなく、黒い竜に怯えながらの生活が続いたが、ある日……

「ソフィア! 孤児院が!」
「え……」

 そう言われた時には、私はもう走りだしていた。
 そして孤児院の近くまで来たが……

 私が育った孤児院は失くなっていた。

 建物は全壊して燃えている。
 必死に叫びみんなを探すが、誰1人見つからず、声も聞こえない……
 私は呆然として動けなかった。

 これが現実かも分からず涙も出てこない、そのまま立ち尽くしていると、勇者一族の当主様が私を探しに来てくれた。

「ソフィアすまない! お前の家族を守る事が出来なかった! 本当にすまない!」
「……」

 そして私は決意する。

「当主様……私の力を使って下さい!」
「ソフィア!?」

「偶然聞いてしまったんです、勇者一族に伝わる剣の事を……」
「もうこれ以上誰も死んで欲しくない! よくしてくれた勇者一族のみんなにも!」

「だから私の力を使って、あの黒い竜を倒して下さい!」
「ソフィア……」



 そして私は今、その剣を握っている。
 勇者一族に伝わる儀式を終え、あとは私のすべての力を注ぐだけだ。

「ソフィア……」

「分かりました当主様、それに皆さん、今まで良くしてくれてありがとうございます、あとはあの黒い竜を倒して皆さん仲良く暮らして下さいね?」

「ソフィア……すまない! そしてありがとう! 後は我々に任せてくれ」

「はい、それじゃあ始めます!」

 そして私は力を込め、剣を握る。

 そして…………
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