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珍しい3人
しおりを挟む「あら?どうしてそんな事思うの?」
分かっていた質問だが、少し驚いた風に見せる。
「…初めに気づいたのは、ドイムです。
『いつもと様子が違わないか?』と、言われ今まで様子を見ていましたが…
一部。そうですね…。
少なくとも、殿下とお付き合いされる事になる半年ほど前の記憶がない。と仮定した場合、辻褄が合うことが多いからです。
お嬢様も、カレルド殿下も。そしてマルセル殿下もです。」
簡単に説明し、すぐに答えが知りたそうなエノワールを見つめる。
“ドイムねぇ…”
すると、コンコン。と部屋の扉がノックされる。
「セナです。ただいま戻りました!」
はぁ…と、深いため息をつくエノワール
「そう急いで答えを求めると、足を掬われるわよ。」
最後の一口の紅茶を飲み、扉の外のセナに言う。
「どうぞ。入って大丈夫よ。」
直ぐに扉が開かれ、セナの姿が見える。
「あれ?エノワール様?
ニーナさん達はどうされたのですか?」
私達の雰囲気には気にも止めず聞く。
「エノワールは、セナの代わり。
ニーナ達は部屋の準備をしてもらっているわ。
それで?どうだったの?」
「あ、なるほど!
はい!驚いてはいましたが、来るそうです!」
「そう。ありがとう。」
そう言いながら立ち上がり、机に座り紙とペンを取り出す。
その隙にセナがエノワールに言う。
「ありがとうございました!
戻りましたので、もう大丈夫です!」
何も悪気のないセナを見て、エノワールも紅茶を一口を飲み言う。
「…はぁ。よく殿下がタイミングが悪いと仰ってましたが。その通りですね。」
「あ!お話の邪魔してしまいましたか?!
私に構わず続けられて大丈夫ですよ?」
「いいえ。出来る話しと出来ない話があるのは分かるでしょ?」
「私口固いですよ?」
「そう言う問題じゃありません。」
2人の話を聞きながらサッとペンを走らせる。
「ふふ。私にとってはとては良いタイミングで帰ってきてくれたわ。」
パッと私を見て嬉しそうな顔をするセナ。
「初めて言われましたー!」
「まぁ!」
クスクス笑いながら、書いた紙を折りたたみ封筒に入れる。
もう一枚紙を取り出し、サラサラとまたペンを走らせていると、侍女らが帰ってきた。
“こっちもタイミングばっちりね。”
「あ!戻られたんですね!お帰りなさい!早かったですね?」
エマがセナを見て言う。
「はい!さっき戻りました。場所は大体検討が付いてましたからスムーズでした。」
エマに笑いかけた後、私の方も向くセナ。
何かを書いていのが分かったのか、ニーナは黙って私の机のそばに来る。
書き終え、封筒に入れながら紅茶を一気に飲み干しているエノワールに言う。
「どうする?アナタだけに話す事はしたくないから。少し待ってもらう事になるけど?」
ピラッと二つの封筒を見せる。。
もう話は終わったのだと思っていたのだろう、驚く表現を見せるエノワール。
「よ、宜しいのですか?」
「いいわよ。」
そう言いながら、ニーナとエマに目配せする。
直ぐに、私の前に来る2人に一枚づつ封筒を渡す。
「ニーナはカレルド殿下に。
エマはマルセル殿下に渡してきて頂戴。
あの2人の事だから直ぐに開くとは思うけど、返事を貰ってきて頂戴ね。」
「「かしこまりました。」」
封筒を受け取り、すぐに部屋を出る2人を見送る。
「マルセル殿下に手紙は分かるのですが、なぜカレルド殿下にまで?」
机の上を片付け、椅子から立ち上がる私にエノワールが聞く。
「ん?もう少しエノワールをお借りします。って書いただけよ。」
「はは。ありがとうございます。」
私と、笑うエノワールを見て不思議そうな顔をするセナ。
数分で帰ってきたのはニーナ。
「好きにしろ。との事です。」
「ふふ。でしょうね。」
カレルドに関しては想定内。
空になったカップを見て、直ぐに新しいお茶の準備をするニーナ。
私も立ち上がり、お湯のポットの前に行きそっも手をかざす。
「熱いから気をつけてね。
それと、もう一つカップを準備してて欲しいの。」
「かしこまりました。」
テキパキと動くニーナに任せて私はソファに、座り直す。
「魔鉱石を使いこなされてますね。」
エノワールの言葉に1番に反応したのはセナだった。
「あ!なるほど!お湯を沸かしなおしたのですね!!凄いです!!」
相変わらず、魔鉱石の話をなると目を輝かせるセナ。
「ふふ。そうよ。」
クスクス笑いながら返事をする私と一緒にエノワールも笑う。
軽く会話をしていると、扉が鳴る。
「ドイム様をお連れ致しました。宜しいでしょうか。」
エマの声が聞こえる。
“早かったわね。”
そう思いながら返事をする。
「えぇ。どうぞ。」
扉がエマにより開かれ、ドイムが私の部屋に入ってくる。
エノワールの姿が見えたのか、何とも言えない表現を見せるドイムに言う。
「いらっしゃい。忙しいのにごめんなさいね。」
「いえ。問題ございません。」
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