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皇女の侍女ら3

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 必死なエノワールに笑ってしまいながら、答える。

「ふふ。両陛下ですが?」

 皇女の侍女らを見ながら答える。
 明らかに不機嫌なカレルドも来て、すっかり黙り肩を寄せ合っていく。

 予想外だったのか、エノワールは驚きを見せたものの安堵の表情にかわる。

 すると、横にいるカレルドが一瞬笑い呟く。
「ふっ。だからか。」

 笑ったカレルドを見たのは初めてなのだろう、皇女の侍女らはカレルドから目が離せない様だった。

 皇宮侍女らも、カレルドの笑った顔が見えた位置にいる者たちから
『きゃー!』っと小声ながらも黄色い悲鳴が聞こえた。

 そんな事を気にすることなく、カレルドが言う。
 
「今、后皇に呼ばれ、皇女の事を聞かれてきた所だ。
 お前か。余計な事言ったのわ。」
 皇女の侍女らを見た後、私を見下ろす。

 “あぁ…確かに、『聞き出さなくちゃ。』って仰ってたわね。”

「ふふ。余計な事ではなく、皇女様からお聞きした事をお伝えしただけです。」
 ニコリとカレルドに言い、皇女の侍女らに向き直す。

「さて。思わぬ形ではありますが。
 私が昨晩、皇女様にお会いした事が証明されましたけど?」

「ひっ…」
 小さな悲鳴のみで、もう反論すらしてこなくなった。

 “話にならないわね。”
 はぁ。とため息を吐きさらに続ける。

「話を戻しますが、皇女様ご本人のお言葉で聞きしたいのです。
 アナタ達からの要望はもう応えられません。
 ですので、この様に厨房前で今後騒がない様に。」

 ずっと黙り、小さくなっていた料理長がパッと笑顔になる。
 皇宮の侍女らからも、微かに嬉しそうな声がする。

「来て頂くのが難しいのならば、私が伺っても構いません。
 私は基本、部屋にいます。
 皇宮の者なら誰でも場所を知っているから、用があるなら聞いて来て頂戴?」

 黙り頷くだけで、少しずつ後ろに下がっていく皇女の侍女ら。

 返事すらまともに出来ないのを見て、少し強く言う。

「…ねぇ。一言返事すら出来ないの?
 私なら、そんな侍女いらないのだけど。」

 目を細め、軽く見下ろす様にしてキッと睨む。

「は…はいぃ!!!」
 絞り出した返事をし、後退り去ろうとするのをカレルドが止めた。

「おい。ちょっと待て。」

 ビクッ!っと身体を震わせ、その場で止まった。

「皇女に伝えとけ。
 会話と言うのは、言葉を交わす事だ。とな。」

 カレルドにも睨まれた、皇女の侍女らはまた絞り出す様に返事をし、慌ただしく帰っていった。

 “皇女様の指示でやってる訳じゃなさそうね…”
 そう思いながら料理長に言う。

「もう大丈夫だと思うけれど、また来たら私の所へ行けって言っていいから。」

 ニコリと笑うと、料理長は腰を勢いよく曲げる。

「本当にありがとうございます!!」

 それに釣られ皇宮侍女らも深くお辞儀をする。

「ふふ。どういたしまして。」
 笑いながら周りを見渡す。

 大勢が私に頭を下げる姿。
 “圧巻ね。”

 すると、ゆっくり顔を上げて申し訳なさそうな表現をして料理長が口を開く。

「あ、あの…
 じ、実はもう一つ困ってる事がありまして…」

「あら?何?」
 首を傾げると、料理長は口篭った。




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