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例の侍女ら2
しおりを挟む「それで、その仰られた皇女様はどちらに?」
「昨晩あまりおやすみになられなかった様なので、お部屋でおやすみになられていますが。」
私の問いに、『だったらなに?』と言わんばかりの顔をする。
「では、次からは皇女様も連れて来て下さる?ご本人のお言葉で、何が濃ゆく、味がしないのかお聞きしたいので。」
「は?わざわざお連れしろと?」
眉をひそめ、眉間に少しシワがよる皇女の侍女ら。
「あら?ご自身の事なのに、おいでにならないの?」
一歩だけ皇女の侍女らに近づき、口元に手を当て見下ろしクスッと笑う。
「…皇女殿下は、ろくな食事が出されず憔悴されているのです。無理にお連れする事はできません!」
苦し紛れな言い訳をし、他の者がそれに賛同する。
「憔悴?おかしいわね。昨晩お会いしましたが、その様な様子ではなかったわよ?」
どんどん口籠っていく。
『なに?嘘なの?』
『え?そうなの?』
私の後ろの皇宮侍女らがざわざわと騒めき立つ。
「そ…そんな嘘を言われては困ります!」
私を嘘つき呼ばわりした事に怒ったのか、ニーナであろう鋭い視線を後ろから感じる。
それに気づいたのか、目を背ける仕草をする者が数人。
「嘘?私が?なぜ?」
また一歩近づき、腰を少し折りさっきから私に難癖を言う1人の者に顔を近づけ囁く。
「それはアナタ達ではなくて?」
目が合いビクッと身体を震わせたのが分かる。
スッと姿勢を正し、すっかり黙ってしまった皇女の侍女らにさらに言う。
「嘘だと思うなら、証人でもお連れしましょうか?」
ニコリと笑うと、私の後ろから誰かの気配がし振り返る。
後ろの侍女らが一斉に道を開けお辞儀をしている間を通ってきただろう男が2人。
「その証人とやらは、俺でも出来るのか?」
相変わらず、真っ白なスーツに身を包んでいる彼は機嫌の悪そうな顔をし、私を見下ろす。
その後ろに、エノワールがクスクスと笑っている直ぐ横に、顔を赤くし俯くニーナの姿。
「おはようございます。カレルド殿下。
ふふ。どこから聞いてらしたのですか?」
問いに答える前に聞いたのは、どこから説明すればいいのか知るためだった。
「馬鹿でかい声で
『嘘言われても困るー』の辺りからだが?」
カレルドは鋭い目つきを、皇女の侍女らに向ける。
ヒィッ!と小さな悲鳴が聞こえたが、別に構わなかった。
“大分前から聞いていたのかと思ったけど、違うのね。”
「昨晩、皇女様とお会いした。と話したら嘘だと言われたので、その証人ですので。」
そこまで言うと、自分ではないと分かったのだろう、鋭い目つきが私に向けられる。
エノワールも誰なのか分かったのか、カレルドの後ろから小さくフルフルと首を横に振り合図をするのが見える。
「それで?その証人とやらは誰なんだよ、コイツらにも教えてやれよ。」
明らかに不機嫌な声。
エノワールは首を振りつつ、『だ、め!』と声には出さないが口が動く。
必死なエノワールに笑ってしまいながら、答える。
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