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マルセルと魔鉱石
しおりを挟む「水と氷は疲れないですね。
風を操ろうとするとかなり疲れますが。」
「おぉー。得意なのが水と氷。ですか。」
お酒を飲みながら言うコルンを見る。
「やはり、相性みたいなのがあるのですね。」
「そうですなぁ…
得意不得意はあります。
ですが、氷は別です。何なのでしょうなぁ…
カレルド殿下とお嬢様は出来る。
何か共通点があるかもしれないですが。
わかりませんな!」
ははっと笑いお酒を少し口にする。
“私とカレルド殿下との共通点…”
「私にも分かりません。」
焚き火の、ゆらゆら揺れる炎を見ながら言う。
パチパチと音を立てる焚き火を見ていると何だか落ち着く。
「カレルド殿下で思い出しました!
お嬢様は、魔鉱石の光らせ方とかお聞きになりました?」
コルンが私の顔を覗き込む。
「ふふ。光らせるだけなら出来ますよ。」
急に目の前に現れたコルンを見て笑う。
コルンの、左手の親指についている赤みがかったオレンジ色の指輪を光らせて見せる。
「おぉ?」
“やはり、ピンクに光るわね…”
驚いているコルン。
それをジッと見つめるだけのマルセルに言う。
「マルセル殿下は、首からかけてらっしゃいますよね?」
「あれ?俺アルヤに話したっけ?」
「実は、光っている所を偶然見てしまいまして。すみません。」
「光ってる?あぁ。あの時か…
別に謝る事はないよ。」
マルセルは片手でネクタイを緩めながら言う。
カレルドとは違い、いつもしっかり締めているネクタイをマルセルが緩める姿に思わず見惚れる。
「これだろ?」
少し長めなチェーンを引き出す。
何も飾りのない、小ぶりの赤みがかったオレンジの丸い石が見える。
“あれがマルセル殿下の魔鉱石…”
ニコリと笑い、マルセルの魔鉱石も光らせる。
「なぜピンクがかるのかは、私にも分かりませんが。
分かりやすくていいでしょ?」
カレルドに言われた様な事を言う。
「そうだね。光ればすぐに駆けつけるよ。」
軽く微笑みながら、マルセルは魔鉱石をシャツの中に入れる。
まだほんのり残る光は、マルセルの心臓辺りを指していた。
“あの長さは、わざとなのでしょうね…”
「はは!確かに分かりやすいですな!
私にも、何かご用でしたらコレでお呼び下さい。
殿下のお二人よりは遅れますが、すぐ駆けつけますので。」
「ありがとうございます。
、
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