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優しさ
しおりを挟む「…ダナン様ですか?」
マルセルとカレルドは頷くだけで、コルンはため息をつきながら片手で頭を掻く。
「…あと1人がわかりません。」
そう言いマルセルを見る。
「ドイムだよ。」
なんの躊躇いのなくサラッと言う。
「え…あなたの側近ですよ?疑うのですか?」
「まぁね。」
鼻で笑い、カレルドが言う。
「あんな奴を側近にしているからだろ。」
「うるせぇなー。お前に関係ないだろ。調子のるなよ?」
ムッとマルセルが睨み言い返す。
「負け犬の遠吠えだな。」
蔑む目で見下ろす。
喧嘩が始まりそうになり雰囲気になりコルンが口を挟む。
「おーっと。喧嘩は外でして下さいよ。
皇宮ではないのですから、魔鉱石はお控えくださいねー。」
フッと笑いカレルドが席を立つ。
「おぉ?剣術で俺に勝てると?
魔鉱石なしならお前なんか敵じゃないんだが?」
マルセルも席を立ち言う。
「いつの話だ。」
「訓練でもしたか?その割には変わってなかったようだったが。」
そう言ながら2人はテントから出て行った。
“あーぁ。”
2人が出て行った後を見ながら思う。
「止めなくてよかったのですか?」
目の前の笑顔なコルン。
「えぇ。止めても聞くわけないですし。
それに…ここで席を外したのは、あのお二人の優しさだとも思うので。」
「優しさ、ですか。」
そう言いながらコルンも席を立ち、私の座る右側に来て、片膝を付き頭を下げる。
「重ね重ね、お詫び申し上げます。
我が一族が、多大なご迷惑を掛けているご様子。
大変申し訳ございません。」
「先程も言いましたが、コルン様が謝られる事ではないでしょう?
顔をお上げください。」
座ったままコルンに身体を向け言う。
「いいえ。私も、ミラディンを名乗っている以上関係あるのです。」
「…そうですね。
ですか、ココには私とあなたしか居ないではないですか。
そして、この話は私達しかしらない。」
コルンが顔を上げ、私を見た。
「お優しいですね。」
「ふふ。皆私を優しいと言いますが、それは違います。」
「ほぉ?」
「色々考えるのが、面倒なだけなのですよ。」
ニコリと笑うとコルンも笑う。
「はははは。よく分かります。」
すると、外から剣が交わる音がした。
「はぁ。本当にはじめられましたね…」
音をした方を二人で見る。
騎士たちだろう、ざわざわとする声も聞こえる。
「まぁ、いいのではないですか?
お互いの力を確認し合い、自分の甘いところを見つけられますし。」
コルンが立ちながら言う。
「狩猟大会でやり合ったばかりなのに…
剣術だけでは、マルセル殿下がお強いのですか?」
「一応、師弟関係なので下手なことは言えませんが…
解説はできますよ?」
そう言い私に手を差し伸べる。
「ふふ。では、お願いしようかしら。」
コルンの手を取り外に出る。
1つだったテントの周りに多くのテントが建てられていた。
“マルセル殿下達もここで野営なのね。”
騎士たち全員が外に出て2人のやり合う姿を見ている。
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