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前公爵
しおりを挟むカレルドは黙ったままだったが、コルンは話をし出す。
「約半年ほど前に前公爵は刑を終え、国外追放されました。
隣国に行き、我が国との堺の森に邸宅を建てられ、今はそこで暮らしている様です。
そのまま大人しく余生を過ごせば良いものの、どうやら…ならず者等に金を渡し、お嬢様を連れてこい。と大勢に命令しているようです。」
聞き終え、少し俯き大きなため息きが出る。
“想像はしていたし、覚悟を決めて聞いたものの…実際に言われると違うわね。”
フッと顔を上げると、3人は私の反応を確かめているのかコッチを見ていた。
「大丈夫ですよ。…想像はしていましたから。」
マルセルが少し安堵したような表情になる。
微笑みをマルセルに向け、コルンを見る。
「なぜ、コルン様がその話しを知っているのか、お聞きしても宜しいですか?」
「私達、第八騎士団の仕事は国境周辺ですので前公爵の動きは嫌でも目に付くのです。
それを、カレルド殿下やたまに陛下にも報告しておりました。
詳細は、先日陛下とお会いしお聞きしました。」
「そうでしたか…」
“あぁ…この前陛下が皇宮を出られた時ね。”
そう思い、大きく息を吐く。
「はぁ。いつからですか?」
カレルドに聞く。
「コルンの報告を受けたのは、三ヶ月ほど前。
実際にお前を付け狙う奴らが確認できたのは、狩猟大会の夜だ。」
「え、あの夜ですか?」
“いつそんな事を…帰り際にまだ片付けが残っていると言ってたのは、この事だったの…”
「そうだよ。俺が捕まえて回ったからね。
間違いないよ。」
組んでいた足の膝を抱えてマルセルが合う。
「捕まえて回ったって、そんなにいたのですか?だってあれは急に決まった事で…
事前に準備なんか出来なかったはず…」
コルンがカレルドに聞く。
「何人でしたか?」
「14グループ、46人だ。」
「そんなにですか!?」
思わず声が大きくなる。
「あぁ。動機は違うが、全員お前目当てだった。
その内の半数以上が、公爵に金で雇われていた奴だった。」
「半数以上ですか。確かに随分多いですね。」
考える様な仕草をしながら、コルンが言う。
「元々近くに居たのが集まったか。
情報をいち早く公爵に伝えた人間が居たか。
陛下は、どちらもだろう。と言っていたよ。」
マルセルの言葉で思い出す。
“あの時…執務室の前に行った時陛下の怒鳴り声が聞こえていたけど…
この事を話していたのね…”
「どちらも…と、言う事は、公爵と繋がっている者が近くにいると?」
マルセルの方を向き聞く。
「誰なのか、特定する話はしていないけど、候補は俺の中で2人。
推測でしかないのだけどね。」
ニコリと私に笑いながら言う。
「俺の中では1人だけだが。」
カレルドが張り合う様に言う。
そして大きくため息をつくコルン。
黙る私にマルセルが言う。
「チラチラと君を見ている奴がいるだろう?
俺らから見るとかなり頻繁だけど。」
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