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遠征訓練
しおりを挟む「案内くらいしてやってこい。」
陛下に言われ、マルセルが皇女の元に行き謁見室からゾロゾロと出ていくのを見送る。
「申し訳ございません。言い過ぎましたよね。」
皇后に謝ると、大声で笑い出す。
「いいのよ!私こそ邪魔してごめんなさいね!」
「いえ。邪魔だなんて…」
陛下も近づいてきて言う。
「中々堂々といい返しだったと思うよ。
喧嘩売ってきたのは皇女からだ。気にしなくていいよ。」
「そうですか?」
「あぁ。見れば分かるのにわざわざ
貴女がそうだったのですか。なぞほざいている時点で気に食わなかったから、良くやってくれたよ。」
笑う陛下。
両陛下と階段を下りるとカレルドが来る。
「ちょっと来い。話がある。」
「?はい」
ニーナ達を見つけ目で合図し、コチラに来るのを確認する。
「それでは、失礼いたします。」
両陛下にお辞儀をしカレルドに着いていく。
「どこ行かれるのですか?」
ゆっくり歩くカレルドの少し後ろから着いていく。
「遠征が明後日に決まった。
メンバーも決まったから顔合わせだ。」
「え…」
”てっきり無しになったのかと思ってた…”
「来たくないなら来なくて良い。」
カレルドの横に並ぶ。
「いじわるですね!」
「それは、お前だろ?」
フッと笑うカレルド。
「ふふ。確かに!
意地悪ついでにお聞きしていいですか?」
「なんだよ。」
「今日の私に合わせて、黒のスーツなのですか?あの時、後で見てらしてましたもんね?」
歩きながらカレルドの顔を覗き込む。
「…あぁ。だったら何だよ。」
やっとカレルドと目が合う。
「いえ。お似合いですよ!」
「そりゃどーも。」
ジーッとカレルドを見つめる。
「わかったわかった。お前も似合ってるよ。」
「ふふ。ありがとうございます。」
少し歩くと第二騎士団の皆が見えてきた。
セナが剣を振り回している。
「セナって本当に来ないんですか?」
「あぁ。アイツには違う仕事を任せる。」
“ふぅーん。ただのお留守番ではないのね。”
セナを見ながら思う。
騎士団長が私達に気づき近づいてくる。
「遠征メンバーだけでいい、並ばせろ。」
すぐに号令がかかり、私たちの前に並んでいく。
「新人24人、中堅9人。ベテラン5人。後お前用に女騎士2人。の40人だ。と俺だな。」
「意外と多いですね。」
「訓練でもあるからな。こんなもんだろ。
1週間程の予定だ。」
“そうなんだ…”
「いいか、次期皇后を護衛しつつの遠征訓練だ。傷1つ付けることも許されないからな。
もしもがあれば、お前らの首なんぞで許される話ではなくなる。
心して臨め。」
騎士たちに向かって言うカレルド。
“怖いこと言うわね”
「「はい!」」
騎士全員の声が響く。
ニコリと笑い言う。
「よろしくお願いしますね。」
取り敢えず目の前の騎士達に言うと、私の言葉に全員膝を付き1人の騎士が言う。
「こちらこそ、よろしくお願い致します。」
「コイツが今回の指揮官だ。」
「あら、殿下じゃないのですか?」
「あぁ。俺は基本何もしない。
お前ら、助けてもらえると思うなよ。」
カレルドが冷たく騎士達に言い放つ。
「「はい!」」
また騎士全員の声が響く。
「もういいぞ、戻れ。」
解散になりそれぞれの訓練に戻っていった。
「あれ、そう言えばロベルト居ませんよ?」
「走ってんだろ。」
“まだ走らされてるのね”
ふふっと笑うとカレルドに聞かれる。
「今からどうするんだ?」
「そうですねぇ…。ここまで来ましたし、お散歩でもしてから部屋に戻ろうと思いますけど?」
「その散歩は辞めといたほうが良さそうだぞ。」
カレルドが、私の後を見ながら言う。
「どうしてですか?」
すると、大勢の足音が後ろから聞こえてきた。振り返ると、マルセルと皇女が並んで歩いてくる。
その後ろには、10人程の侍女らしき女性を引き連れている。
“ぅげ…”
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