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皇女の要求
しおりを挟む「お久しぶりでございます。
ネストルア帝国、皇帝の父の命により参りました。
第一皇女、コシャールでございます。
この度滞在許可頂き、ありがとうございます。」
「やぁ。遠い所よく来たね。
ゆっくりしていくといいよ。」
「ありがとうございます。
父から手紙を預かっております。」
皇女は、後ろで男が持つ手紙を手にする。
「貰おうか。」
陛下が言うと、ロイヤルナイトの一人が受け取りに行き陛下の元へ運ぶ。
「すぐに確認してほしいとの事でした。」
「ほぉ。」
手紙を受け取った陛下はすぐに手紙を広げた。
「この話は断ったはずだがなぁ。」
「そう仰らずに、皇太子殿下のどちからを我が帝国の皇帝にと言っているのです。
悪い話ではないはずですよ。」
陛下を見つめて、ニコリと首を傾げると皇女。
「だ、そうだ。どうだ?皇太子。」
陛下が手紙から顔をあげマルセルとカレルドに言う。
「お断り致します。」
マルセルの声が聞こえ、次にカレルドの声がする。
「同じく。」
「こう言っておるのだ。
大体、我が帝国の次の皇帝も決まっておらんのだが。」
「連れて帰ってこいが私の受けた命なので。
噂によると、次期皇后はお決まりになったのでしょ?その方が次期皇帝をお決めになると聞きましたが?」
皇女が私を見た。目が合う。
「そうだよ。紹介しよう。
私達が可愛がっている子でね。」
陛下に言われ少し前に出て挨拶する。
「次期皇后を拝命しました。
アルヤと。申します。宜しくお願い致します。」
「あぁ貴女がそうだったのですね。
こちらこそ、よろしくお願い致します
そうだわ、今ここでお選びになられてはどうですか?」
両手を合わせ私に笑顔を見せる。
「今私が選んだとしても、そちらの国に行かれるとは限らないのでは?はっきり断られたばかりではありませんか。」
私も笑顔で返す。
「それは、やってみないと分からないではありませんか。」
すると皇后がクスッと笑う。
ムッとした表情を一瞬見せた皇女。
「ふふ。ごめんなさい。邪魔する気はなかったの。」
「ダメですよ。皇后様。皇女殿下は真剣なのですから。」
座る皇后に顔を見せるように笑顔を傾ける。
「そうよね。ごめんなさい。」
陛下を見ると陛下も少し口元が緩んでいた。
姿勢を戻し、前に垂れてきた髪を払う。
「…珍しい髪色ですわね。
異国の方なのですか?」
皇女が話を帰る。
「いえ。産まれも育ちもこの帝国です。」
「そうなのですか?
我が帝国とだけ交流のある、イモルキ国と言う国の方の髪色に似ていると思いましたが…。
あちらの方は白っぽい綺麗な銀髪でしたわ。
アルヤ様の様に、色なんて入っているのは見た事ありません。
国遠でもされた方とどこかで混じってしまったのでしょうね。」
クスクス笑う皇女。
“性格悪いわね。この場で国遠なんて言葉まで出して。
でも、思わぬ収穫だった。
唯一イモルキ国との交流のある国でも、この髪の意味を知らない。”
少し黙る私に、勝ち誇ったような表情を見せる皇女を見る。
心配したのか陛下と目が合った。
笑顔を向け、笑う。
「ふふ。意味がわかる日が来ることを、願っていますわ。」
笑う私に、皇女はキョトンとした顔を見せる。
「は?」
満面の笑みを見せ、皇后の後に下がる。
ふふ。っと笑い声がする。
陛下が笑っていた。
皇后も口元を手で隠す。
マルセルもカレルド肩を震わせるが見えた。
皇族だけ笑い、あと皆黙っている不思議な空間が広がる。
「な、なんですか?」
皇女がムッとした顔をしている。
「いやぁ。すまなかった。
まぁ。皇太子はきみの国に行く気はないようだが、ゆっくり滞在していけばいい。
部屋に案内させようか?」
陛下が立ち上がる。
「では…第一皇太子のマルセル殿下。よろしくお願い致します。」
「俺?」
「案内くらいしてやってこい。」
陛下に言われ、マルセルが皇女の元に行き謁見室からゾロゾロと出ていく。
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