記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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陛下の思惑2

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フッと笑い陛下は答えた。
「あぁ、そうだよ。
金さえ出せば数カ月訓練参加を認め、親族の出入りを制限しないと、貴族数人に言ったら噂が広まってね。
かなり集まった。
騎士団内は小さな社会だからね。どう乱れ対処していくか見たかった。」

「…どうでしたか?」

「マルセルは、精神的に弱い部分が垣間見え、追い出し、疑心暗鬼に陥りもしてたな。

カレルドも、精神的弱い部分は見えたが、エノワールがそれを押さえなんとか保っていた様だ。それでもやり過ぎだったが。
詳しく聞きたいかね?」

「いえ。十分です。ありがとうございます。」

「2年程前の話だからな。今やると変わる結果がでるかもしれんが…」
ニヤリと陛下が悪い顔を見せる。

「ふふ。私も巻き添えされそうな事はやめてくださいね。」

「まだ色々と個人的にイジメてるが、聞きたいかね?」

「そんなにイジメていらしてるのですか?」

「まぁね…
強くなってもらわないと、私が困るんだよ」

ふぅ。とため息をつき背もたれに持たれ陛下は続けた。


「私は早めに皇帝を退こうと思っている。
跡を継がせ、ロザリアを連れて各国を旅行でもして回ろうと思ってるんだよ。」
フワッと優しい顔を見せる。

「素敵なお考えだと思います。」
ニコリと笑顔を向ける。

「そうかい?ありがとう。
私は、この国の皇帝になって20年以上経つ。
慌ただしく国の再建をしてきてあっという間だったさ。
ロザリアも、嫌な顔せず付いてきてくれた。
彼女なりに楽しんでる様に見せてくれているが、やはりツラかっただろからな。
今まで我慢させてた分、あちこちに連れていきたい。
そんな旅行中に、何かあって呼び出されるなんて嫌だろ?
この前、昔話しただろ…
この帝国がなくなるーとか噂が流れ、どうにかしてくれ。と私の所にまた来られても困んるだよ。
だから、強くなってもらわないと困る。」

背もたれから身体を起こし、お茶を口にする陛下を見つめる。

「その通りですね。」

「苦労は必ずする。
私みたいに、地に落ちた皇帝の後ではなく、
再建させた私の後だ、余計にな。
何となくで皇帝になり潰れてもらっては困るんだよ。
死にものぐるいで皇帝をやってもらわないとな。」

私を見てニコリと笑う。
皇帝に興味がない。と言った二人のやる気を出す為の私なのは理解した。

”陛下の気持ちが、あの二人に伝わっているか疑問だけど…”

「私には何故、お二人が私に固執するかわかりませんけど…」

「そうかい?私はわからなくもないけどな?」

「…え。」

「まぁそれは本人に聞けばいいさ。」

「はい…」

「さぁ。これからだが、自ら次期皇后だと名乗りなさい。
私等が言うのと意味が違ってくるからね。
アイツらのやる気にもなるだろう。
キミを手にする為には皇帝になるしかないのだからな。
苦労するだろうが、よろしく頼むよ。」

陛下は立ち上がる。
私も立ち上がり頭を下げる。
「こちらこそ。よろしくお願い致します。」


「どうせアイツらは廊下で待ってると思ったがやけに静かだな。」
そう言いながら陛下は扉を開けた。

「おや。いないな。」

すると、ニーナの声がした。
何か陛下に言っているようだ。







やっば。陛下イケオジだ。
色がチグハグなのはAIさんに言ってもろて…

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