記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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覚悟

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「…その通りだと思うよ。」

「まだ、間に合います。…私ではなく、」
 最後まで言う前に陛下に止められる。

「おっと。その先は言ってほしくないな。
 言ったろ?
『益々君を手放すことは出来ない』と。」

「ですが!」

 陛下が、机にもたれ掛かるカレルドに言う。
「その本取ってくれ。」

 机の上にあったであろう本を受け取り言う。
「二人して真剣にこの本を読むわけだな。」
 笑いながらテーブルに本を置きめくる。

「これが初代皇后の記録だ。この2ページしかない。これによると、初代皇后は子が出来なかったんだ。
苦悩もココに書かれている。」

「え…」

「初代皇帝の弟の子を1人養子にしている。
 側室はとらなかったようだな。
 だから、キミの言う初代皇后の考えあっての事だと言うは忘れていい。」

 黙る私を見て陛下は続ける。

「まぁ、真実かはわからない。本当に考えが合ったのかもしれないが、それを知るすべはない。それにココにサインがあるだろ。
 初代皇帝と皇后のサインだ。
 この本の内容に2人は容認している。この事を真実だと受け取ろうではないか。」

「…はい。」

「それと、イモルキ国の皇女の娘だと言う話だが。
 キミがこの国で産まれた記録もある。
 キミの母上はシャンドリ伯爵と結婚し、キミは養女にもなっている。
 デカイのが保護者であるキミの母上の養女承諾のサインがしっかりある事だ。
 この国の民だと言うことは十分証明出来る。
 成人すれば、キミの意思で決める事だってできる。
 成人まであと半年程なんだ。まぁ、問題ないだろう。」
 呆気にとられ聞き入っている私に陛下が笑う。

「…もうそんなにお調べになったのですか?」

「まぁね。昨日の手紙を見てすぐ調べようと思ったよ。」

 私が黙っていると、マルセルが言う。
「本当に問題ないんでしょうね?」

「何だ?気になるなら自分で調べたらどうだ?」
 陛下は背もたれに腕を回し、マルセルを見る。

「はぐらかさないでくれますか?」
 マルセルが珍しく陛下を睨んでいる。

「やめてください。マルセル殿下。
 イモルキ国の情報が少ないのです。言い切れないのは当然だと思います。」

 私が言うとマルセルは黙り陛下はまた私の方を向き笑い、カレルドを見て言う。

「お前は?」

 カレルドは私を見て言う。
「…一番最悪なのは、本当の父親だと言う奴が来る事だが、まぁないだろうな。」

「まぁ、内戦中の国なんだ。コチラに構ってるような余裕はないだろう。
 成人の前にコチラに来たとしても、なんだかんだ言って成人まで先延ばしにしてあげるよ。
 後は、君が決めればいい。」

 陛下にそう言われ立ち上がり、ソファに座っている陛下の近くに行く。

 ドレスの両裾を持ち上げ、座っている陛下よりも頭を低くするため、いつもより足を引きお辞儀をする。

「次期皇后となる決心が付きました。
 遅くなり、申し訳ございませんでした。」

「ははは。いいねぇ。顔を上げなさい。」
 陛下が立ち上がるのが分かり、ゆっくり顔をあげ陛下を見る。

「覚悟の決まった女性の顔は、いつみても美しいね。」
 私の前に来て言う陛下。

 マルセルと、カレルドからため息が聞こえてきた。
「なんだ?お前たち?」
 不思議そうに陛下が言う。

 思わす笑ってしまう。
「ふふ。実はですね…」

 昨夜の、『話によっては皇宮を出る。』と話したことをつたえる。

「ははは。安堵のため息か!
 バカだなぁ、そんな事私がさせるわけ無いのは少し考えればわかりそうだがな!」

 釣られてクスクス笑う私を睨むカレルド、マルセルは片手で顔を覆っていた。

「ふふ。すみません。」
 笑顔で二人に謝る。






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