記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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ワガママ

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「私のワガママを、聞いてくださいますか?」

 先にカレルドと目が合った。
「まだ何かあるのかよ。」

「はい。」
 不機嫌な顔のカレルドにニコリと笑う

「聞けることなら。」
 いつも通りのマルセルが言う。

「ありがとうございます。
 ワガママの前に、聞きたいことがあります。」

 二人は黙って私を見る。

「…私の事。好きですか?」

 風でなびく髪を耳にかけ直しながら言う。

 いきなりの質問に少し間があったが先にマルセルが答える

「もちろん。好きだよ。」

「あぁ。」
 淡白に答えるカレルド。


「私、最低ですよ?今の話でわかったでしょ?
 自分でマルセル殿下に婚約とか言っておきながら最後まで聞かずに先走り、
 カレルド殿下とお付き合いしているんですよ?」

 何か言いたそうなマルセルの前で言う。

「私は、私が嫌いです。」

「おい。何が言いたい。」
 カレルドに言われる。

「…忘れてもらえませんか?今までの事。」

 マルセルと、カレルドの声が重なる。

「「は?」」

「お二方との関係を1度終わらせたいのです。

 私は、まだ思い出せていない記憶があります。
 日記はありますが、やはり全てカバーできません。
 今の、マルセル殿下の話で思いました。
 もう、誰が嘘を付いているのではないかと、考えるのは嫌です。
 過去を探るの疲れました!
 今からについて、考えたいのです。
 だから、初めからやり直したい。

 マルセル殿下は、今話した婚約の事を
 カレルド殿下は、私とお付き合いしていることを忘れてほしいのです。
 私のワガママ、聞いてくださいますか?」

「ははは。中々なワガママだね。」
 マルセルが笑う。

「私もそう思います。
 嫌いになってもらって構いませんよ?」

「いいや。それはないし、俺はそのワガママ聞いてあげるよ。今後一切、あの時の婚約の話はしない。」

「ありがとうございます。」
 ニコリとマルセルに笑いかける。

 指輪を外し握りしめ、カレルドの前に行く。

「あなたにとって、理不尽な話な事はわかっています。
 沢山、助けていただいておいてこんな事言う最低な女です。もちろん嫌いになって頂いてかまいません。

 …聞いていただけますか?」

 真剣にカレルドの顔を見て話、手を取り指輪を大きな手のひらに返す。

「わかった。お前のワガママを聞いてやる。」

「いいんですか?」
 自分で言っておきながらカレルドをみて驚く。

「あぁ。」
 フッと笑うカレルド。

「…殺したり、監禁とかだめですからね!?!」
 温室で言われた事を思い出し不敵に笑うカレルドに焦って言う。

「うわ、怖。コイツそんな事言ったの!?」
 驚くマルセルに頷く。

「しねぇよ。昔の事をグチグチ言ってる事がなくなるなら良いと思っただけだ。
 それに、そんな覚悟が決まった顔されたら聞かざる負えない。
 まあ、お前のことを、隅々まで知ってる俺の方が有利なのは変わらん。」
 マルセルを見て笑うカレルド。

「ちょっと!何言ってるんですか!!?」
 顔を赤くし、慌ててカレルドの前を離れる。

「うわー。公平感なくなるー。」
 ムスッとしたマルセルが私を、見て言う。

「そう言われましても…」
 フッとカレルドの勝ち誇った顔が見えた。

 
 ならばと思い、マルセルの前に行く。
 マルセルの両手を掴み、グッと下に押し腰を曲げるような体制にさせる。

 顔が少し近づきマルセルの耳元で囁く。
 言ってすぐに離れニコリと笑う

「ホントに?」
 驚くマルセル。

「はい。少しは公平になりましたか?」

 顔片手で覆い、少し赤い顔を隠す

 チッとカレルドの舌打ちも聞こえる。
「んで?」

 その1言で理解する。

「本当は明日、陛下と話してからお二人にこの話をしようと思ってました。
 まさか、今日三人になれるとは思ってなかったので勢いで話してしまいました…
 なので言える事は少ないですが…

『皇后になる覚悟ができました。』

その為にやり直したかったのです。」

 皇后と言う言葉に二人は反応する。

「ですが…話によっては、私は皇宮を出ます。」






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