記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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拷問器具?

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 エマとセナが似ていて思わず笑う。
「ふふ。セナは魔鉱石に興味津々ですね。」

「入団当時から魔鉱石、魔鉱石言ってるからな。」

「お嬢様が、どうやって殿下を呼んだかが一番気になります!」
 セナが私に詰め寄りカレルドを見る。

 “また言ってる。”
 クスクスと笑う私にカレルドから睨まれる。

「私は、魔鉱石は便利ねって言っただけですよ。」

「私が団長になったら!魔鉱石で呼ばれるのですか!?どう言うふうにですか!?」

「団長になれば教えてやる。黙ってろ。」
 カレルドに睨まれて不貞腐れるセナ。

 私が座っている前の椅子に腰掛ける私に言う。
「今日から、俺の部隊から3人女騎士が交代でお前を警備する。寝ている時も側にいる。
 慣れないかもしれないが、侍女が一人増えたと思えばいい。」

「わかりました。」

「ラドラインの事は、全騎士団に伝えられた。
 また現れたら、侍女にその辺にいる騎士を呼ぶように伝えてある。
 お前は俺を呼べ。
 日中、出歩くときは騎士と侍女二人は必ず連れて行け。」

 頷く。

「明日、残りの二人も連れてくる。
 お前にお願いがあるそうだぞ。」
 カレルドがセナを見る。

「私にお願いですか?」
 私もセナを見る。

「はい!お嬢様にドレスでの戦い方と振る舞いを教えて頂きたいのです!」
 胸を手を当て私に言う。

「た、戦い方?それは私が教わる方なのでは…」

「ロベルトとの戦いを拝見し、ぜひ教えて頂きたいと殿下に申し出ておりました!」

 カレルドを見ると目が合う。

「他の二人も同じこと言っててな。
 戦い方はともかく、振る舞いは教えてやってほしい。コイツ等は、男では入れない所の潜入やらするからな。
嫌なら無理することない。断っても構わない。」

「構いませんけど…私と殿下の剣術は同じでは?私が変に言わないほうが…」

「問題ない。好きに教えてやれ。」

 セナを見ると目を輝かせて私を見る。

「ふふ。そんな目で見られると断れないわ。」

 パーッと顔を明るくさせる。
「ありがとうございます!」

「戦い方を教えるときは俺の部隊の訓練所に来い。曜日によって違うが、コイツが知ってる。」
 そう言いカレルドが立ち上がる。

「わかりました。」

 腰を折り、私の耳元で言う。
「俺はこれからちょっと出てくが、マルセルが来たり、何かあれば呼べ。エノワールを来るようにしてある。」

「こんな時間からですか?」

「あぁ。深夜には戻る。じゃーな。」
 そう言い部屋から出ていった。

「やった!お嬢様ありがとうございます!」
 セナがカレルドが出ていくとともにはしゃぐ。

「立ち振る舞うに関しては、ニーナが気合が入ってそうだけどね。」

 チラっとニーナを見るとニコリと笑っている。

「え…何か怖いんですけど…」




 次の日の午前中、私の執務室にカレルドが言っていた通り他の女性騎士二人を引き連れてやって来る。

「連れてきたぞ。」
 エマによって開けられた扉から入ってくるカレルドと女性が二人。

 だが直ぐに足を止める

「何してるんだ?」

 そこには、床に伏せるセナの姿。

 伏せたまま、セナが言う。
「…殿下。私、ドレスまで着れないかもしれません。」

「は?」
 その言葉を聞きカレルドはソファに座りクスクス笑う私を見た。

「ヒールをあまり履いた事ないって言うから、1時間程履いて立ってもらってただけですよ。」

「はぁ?お前副団長だろ?そんなヤワなら降格するぞ。」
 カレルドがセナを見下ろす。

「じゃー履いて1時間立ってみてくださいよ!!激痛ですから!」
 ガバッと顔をあげる。

「意気込んで一番高いヒールにするからよ、初めは皆痛いわ。」

「コレで平然と歩けるなんて…血まみれの足跡になりますよ…
 何ですかこの拷問器具は…
 まだロベルトと皇宮内を5周走ってた方がマシです。」
 ヒールを脱ぎながらセナは絶望の表情を浮かべる。

「え…」
 カレルドの後ろの女性騎士が青ざめていく。

「大袈裟な。」
 カレルドが鼻で笑う。

「履いてないからそんな事言えるんです!
 お嬢様助けてくださいー!」
 セナが半泣きで私に助けを乞う。

「ふふ。流石に殿下が履けるようなヒールはないわ。
 つま先立ちでもしてもらったら?」
 私の提案に、全員がカレルドを見る。

「俺にそんな時間あるかよ。」

「あら、突っ立ってる必要はありませんよ?
 何かしながらで大丈夫です。
 今から皇后様のお部屋に行くのも殿下が付いてきてくれるのでしょ?」

「お前なぁ…大袈裟なだけだろ。」
 カレルドはセナを睨む。

「大袈裟ではなかったら?」
 ニコリとカレルドに聞く。

「そうだな…コイツらにドレス1式買ってやる。
大袈裟だったら、降格な。」
 勝ち誇ったように笑い言う。

「だそうよ。どうする?セナ?」
 床に座ったままのセナに最終判断を委ねる。

「わ…わかりました!この苦しみを味わって頂きたいです!!」
 もう、ヤケクソになっているセナを笑う。























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