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女性騎士

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 薄暗い部屋で目が覚める。

 “寝ちゃったわね…”
 でも、スッキリした。

 身体を起すとニーナの声がした。
「おはようございます。お嬢様。」

「おはよう…」
 髪をかき上げながら言う。

「明かりつけますね。騎士の方もいらっしゃってますよ。」
 ニーナが明かりをつける。

「お嬢様。お久しぶりでございます。
 第二騎士団副団長のセナでございます。」
 ベットの前で膝をつき挨拶をする。

 “セナ…あ、何度かあった事あるわね…”

「久しぶり。忙しいのにごめんなさいね。」

「いえ!事情は聞いております。大変でしたね。体調もよろしくないとお聞きしまさしたが大丈夫ですか?」

「ええ。眠ったらスッキリしたわ。」

 後ろで聞いていたニーナが、安心したような表情をみせる。

「よかったです。今日は私が居ますね。」

「ありがとう。」

「あ、起きたら俺を呼べってカレルド殿下が仰ってしたよ?
 お嬢様に言えば分かると言われましたが分かりますか?」

「そうなの…
 分かるけど、先にシャワー浴びたいわ。汗かいちゃった。」

 チラっとニーナを見る。

「かしこまりました。すぐ準備しますね!」

 じーっとセナが私を見る。

「…お二方だけの暗号みたいなのが、あるのですか?あの殿下と?」

 思わず笑ってしまう。
「ふふ。あの殿下とって…魔鉱石は便利ねってだけよ。」

「なるほど…。でも団長とそんな会話聞いたことないですけど…」

「それは私にはわからないわね。そんなに気になる?」

「はい!絶対初の女騎士団長になって、魔鉱石をゲットするんです!」
 両手で拳をつくり、胸元で強く握る。

「ふふ。頑張って。応援してるわ。」

 ニーナが浴室から出てくるのを見て立ち上がる。

 ふと、左腰を触る。
「まだ痛みますか?」
 ニーナが心配そうに駆け寄る。

「少しね。でも問題ないわ。」

 そう言い、シャワーを浴びる。
 すぐ近くでニーナが待機する。

 “1人の時間はもう持てないわね…
 まだ日記も全部読めてないのに。”

 シャワーで汗を流し、浴室の鏡で左腰に付けられた印を見る。
 赤みがだいぶ引いて黒くなってきている。

 ”ラドラインが何がしたいのか分からないわね…”
 そう思いながら浴室を出て着替えて寝室に戻り髪を拭く。

「そういえばエマは?」
 髪をとかしてくれているニーナに聞く。

「食堂に行ってますよ。」

 ふっと時計を見ると19時だった。
 “そこそこ眠ってたのね…”

 目を瞑り心の中でカレルドを呼ぶ。

「お嬢様?」
 目を瞑る私にニーナが不思議に思う。

「大丈夫よ。今、殿下を呼んだから。来ると思うわ。」

「え?今ですか!?」
「え。」
 セナとニーナが反応する。

「ええ。」

「どうやってですか!?どれくらいで来られるのでしょうか!?」
 セナが興味津々で聞いてくる。

「ふふ。殿下に聞いてちょうだい。
 どれくらいで来るのかは…どこにいて、何をなさっているかわからないから殿下次第ね。」

 目の前の水を飲みながら言う。

「髪を乾かしてからの方がよかったのでは…?」
 ニーナが言う。

「乾かしてる時間があるなら呼べ。とか言われそうじゃない?」

「うわ、言いそうですね…」
 セナが苦い顔をして言うので笑ってしまう。

 すると、コンコン。
 扉がなる。

 “随分早かったわね…”
 そう思っているとニーナが扉を開け言う。
「あら、エマ。もう帰ってきたの?」

 エマが部屋入ってきて言う。
「そうですか?ゆっくりしてきたつもりですけど?」

「おかえり、エマ。」
 ニコリとエマを迎える。

「お嬢様!起きられたんですね!もう体調はいいのですか?」

「ええ。心配かけてごめんなさいね。」

 胸をなでおろすセナ。
「もう殿下が来られたのかと驚きました…」

「俺が来ると驚くのか?」
 まだ閉めてなかった扉から低い声が聞こえる。

「ひゃ!?殿下!」
 セナがお辞儀をし、ニーナと、エマもお辞儀をする。
 部屋に入ってくるカレルドに言う。

「おはようございます。」

「ああ。大分顔色がよくなったな。」

「はい。眠れましたし、シャワーも浴びてスッキリしました。」
 ニコリと笑う私にカレルドがパチンと指を鳴らす。

 まだ湿っている髪がフワッと舞ったかと思うと、サラッと乾いた髪が落ちてきた。

「わっ。あ、ありがとうございます。」
 一瞬で乾かされた髪を触る。

 “この前、皇后様が言ってたのはコレね…”

「便利!」
 エマが思わず口に出す。

「それも魔鉱石ですか!?」
 セナが目を輝かせる。



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