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予想外な力
しおりを挟む「そりゃ、精鋭部隊だからね。力はあるさ。」
私の言葉にマルセルが言う。
“なるほど…”
「マルセル行くぞ?アルヤ嬢は見てると良い。」
陛下が私達に言う。
「いや、俺はアルヤと見てる事にする。
まだ身体バキバキなので。」
「おお、そうか、無理するなよー」
と、陛下は歩いて行く。その後ろを皇后もついて行っている。
「行こうか。」
マルセルは私に言う。
「はい。…身体大丈夫なのですか?」
「大丈夫だよ。ああやって平然と動いてるカレルドが異常なんだよ。」
ははっと笑うマルセル。
「そうなのですね。」
先頭を歩くカレルドを見る。
”チラッとコチラを見た様な気がしたけど気のせいかな?”
さっきより広いところに着く。
少し離れた所からマルセルと皆んなを眺める。
「アルヤも凄かったね。初めてであそこまで出来る人は初めて見たよ。」
優しい目で私を見て言うマルセル。
「目を瞑ってましたし、カレルド殿下の言った通りにしただけなので…実感がありません。」
少し困った顔をする。
「そうなんだね。でも初日からあそこまでするのは飛ばし過ぎだ。
大体コレくらいから始めるんだよ。」
マルセルは人差し指を出すと小さな火が出てきた。
「わぁ」
「朝、陛下が言ってたのはコレくらいで良いって事だったんだよ。」
笑うマルセル。
ジーっとマルセルの指の火を見ていると
「やってみるかい?」
と、言われる。
「…出来るでしょうか?」
「出来る出来る!
さっきカレルドにも言われただろうけど想像するんだよ。
指を出して小さな火を想像してごらん。」
頷き、指を出し想像する。
すると、小さな赤い粒が出てきたと思ったらマルセルと同じ様な火が私の指に乗っている。
パァっと笑いマルセルを見る
「出来ました!!」
目を開けて全てを見たせいか自分でやったと言う実感ができて嬉しかった。
「はははっ、おめでとう。」
喜ぶ私を見て笑うマルセル。
すると、ブワッと強い風が吹く。
「おお、なぜ教えるのに剣を抜く必要があるのかねぇ。」
マルセルの目線にあるものを見ると、カレルドが剣を振り回しているのが見える。
「少し見てない間に何が…」
「さぁね。」
変な想像をしてしまい思わず笑ってしまった。
「ふふ。」
「?どうした」
不思議そうな顔をするマルセル。
「すみません。ちょっと変な想像してしまって。」
「変な想像?」
「はい。カレルド殿下の持ってる剣が、お花に変わると素敵だなって。変ですよね。」
「ははっ面白い事いうね。なぜだかアルヤなら出来そうな気がするよ。やってみたら?」
冗談なのは分かっているが何となくやってみる。
「お花にかわれぇー」
冗談で、カレルドの剣が薔薇の花びらに変わるのを想像した。
はははっと笑うマルセルに釣られて私も笑う。
ここで空気が一変する。
カレルドの持っていた剣が、丁度横に振りかぶった時に薔薇の花びらに変わる。
「え…」
皆固まる。
息を飲み思わず手で口を隠す。
はじめに動いたのは、カレルドだった。
私を睨みつけコチラに近づいてくる。
自分でも、何が何だかわからなく固まる。私を庇う様にマルセルが前に来て片手でカレルドを止める仕草をするが、止まるわけがない。
「わ、私…」
震えながらマルセルを見上げる。
「大丈夫だ。俺も横で見ていた。心配ない。」
段々と目の前が真っ白になり意識が遠のく。
「アルヤ!!」
マルセルの声が聞こえたのが最後だった。
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