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願い
しおりを挟む「殿下!!」
私の声が聞こえたのか、しゃがみ込んでいるカレルドが立ち上がる。
「お前まで来る事ないのに。」
肩で息をしているカレルド
「お怪我はありませんか!?」
カレルドの両腕を掴み聞く。
「あぁ、大丈夫だ。」
見たところホントに怪我はしてなさそうだった。
「良かった…」
ポロッと涙が溢れる。
ふと、下を見ると氷に捉われているマルセルがピクリともしてない。
「マルセル殿下…?」
反応がない。
「マルセル殿下!」
近寄ろうとするとカレルドに腕を掴まれる止められる。
「大丈夫だ。死んでなんかないし、怪我もない。」
そう言われ、もう一度マルセルを見ると手を上げてくれている。
「よかったぁ…2人とも怪我してなくて、本当に良かった…」
ボロボロと涙を流す私の頭をポンポンと、カレルドが手を置く。
「そこは、俺だけの心配でいいんだけどなぁ。」
ここで陛下と皇后も到着した。
「アルヤ嬢早いのぉ!
おーい、マルセル生きてるかー
氷の中に捉われている気分はどうだー?」
陛下がしゃがみながらマルセルを覗く。
「ええ。生きてます
冷たくて気持ちいいですよ。」
負けを認めたのか、諦めたような声でマルセルが言った。
「本当に氷なのねー、すごーい」
皇后が触りながら言う。
「この氷はどうやって溶かすのか?炎?」
陛下がカレルドに聞く。
「まぁ、それでも溶けるが時間がかかる。」
そう言うとパチンを鳴らす。
その瞬間氷が一気に水に変化し空中で水の玉になった。
「ほぉ、この水の塊が宙に浮くのも不思議だな。
水だけで浮いてるのか?」
「…あぁ」
カレルドは陛下の問いに簡単に答えて水玉を後ろに投げた
ははははっと笑い声がした。
その主はマルセルだった。
「無茶苦茶だな。バケモンかよ。」
座っていたマルセルがパタリとその場に寝転ぶ。
その言葉に陛下も笑う
「確かにバケモンだな!
次の訓練で全ての種明かしをするのだぞ?良いな?」
「はいはい。」
面倒くさそうにカレルドが返事をした。
「さぁ!こんな所だが勝ったのはカレルドだ。
何をアルヤに願うか決めたか?」
陛下が観衆をチラッと見て言う。
「あー、」
と言いながら、私の頭から手を離すカレルド。
「なんでも良いのか?」
「あぁ、アルヤ嬢がいいと言うなら。」
ニコリと、陛下が私に笑う。
「じゃぁ、この場でプロポーズしてもいいわけ?」
真顔で言うカレルド。
「え!?」
ビクっと反応し思わず声が出る。
はははと笑う陛下。
「ああ、いいとも、アルヤ嬢が受け入れるのなら文句はない。」
ふーん。
と、言いながらカレルドは私の前で膝をつく。
観衆から
きゃーーーっと声がする。
顔をあげ私み見つめながらカレルドは言う
「俺と…
夜、露店を周ろう。」
そう言い私に手を差し出す
「露店ですか…?」
「あぁ、ダメか?」
ふふっと笑ってしまうが私はカレルドの差し出された手に手を重ねる。
「楽しみにしています。」
「あぁ。」
そう言いカレルドは立ち上がった。
「てっきりプロポーズするのかと思ったぞ!ビックリするなぁ!」
はははっと笑う陛下と皇后。
「こんな荒地でそんな事しねぇよ。」
カレルドが悪態をつく
「あら?別の場所ならしてたの?、」
皇后がニヤニヤと言う。
「ああ。」
と、少し笑いながら言った。
陛下は観衆の方へ向き両手を上げると、
静かになった。
「カレルドが願いを言った!
今夜、2人で露店デートするそうだ!
皆!邪魔するでないぞ!はははは」
歓声と共に『告白じゃねぇのかよ!』などの、声も聞こえる。
「言われてるわよー!カレルド!」
皇后が煽る。
「言わせておけ。」
カレルドは私を持ち上げるとスタスタと壇上へと足を進める。
「マルセル大丈夫ー?立てる?」
皇后が、地面に寝転んでいるマルセルに言う。
上半身を起こしながら答える
「ええ。」
「良かったわね、プロポーズとかじゃなくて。」
ふふっと笑う
立ち上がるマルセル。
「そうですね。」
「で、どうするの?」
「心配しなくても、諦める事はないですよ。」
マルセルはカレルドの後ろ姿とを見ながら言う。
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