記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

文字の大きさ
上 下
38 / 220

願い

しおりを挟む





「殿下!!」

 私の声が聞こえたのか、しゃがみ込んでいるカレルドが立ち上がる。

「お前まで来る事ないのに。」
 肩で息をしているカレルド

「お怪我はありませんか!?」
 カレルドの両腕を掴み聞く。

「あぁ、大丈夫だ。」
 見たところホントに怪我はしてなさそうだった。

「良かった…」
 ポロッと涙が溢れる。

 ふと、下を見ると氷に捉われているマルセルがピクリともしてない。

「マルセル殿下…?」

 反応がない。

「マルセル殿下!」
 近寄ろうとするとカレルドに腕を掴まれる止められる。

「大丈夫だ。死んでなんかないし、怪我もない。」

 そう言われ、もう一度マルセルを見ると手を上げてくれている。

「よかったぁ…2人とも怪我してなくて、本当に良かった…」

 ボロボロと涙を流す私の頭をポンポンと、カレルドが手を置く。

「そこは、俺だけの心配でいいんだけどなぁ。」

 ここで陛下と皇后も到着した。

「アルヤ嬢早いのぉ!
 おーい、マルセル生きてるかー
 氷の中に捉われている気分はどうだー?」

 陛下がしゃがみながらマルセルを覗く。

「ええ。生きてます
 冷たくて気持ちいいですよ。」

 負けを認めたのか、諦めたような声でマルセルが言った。

「本当に氷なのねー、すごーい」
 皇后が触りながら言う。

「この氷はどうやって溶かすのか?炎?」
 陛下がカレルドに聞く。

「まぁ、それでも溶けるが時間がかかる。」
 そう言うとパチンを鳴らす。

 その瞬間氷が一気に水に変化し空中で水の玉になった。

「ほぉ、この水の塊が宙に浮くのも不思議だな。
 水だけで浮いてるのか?」

「…あぁ」

 カレルドは陛下の問いに簡単に答えて水玉を後ろに投げた

 ははははっと笑い声がした。
 その主はマルセルだった。

「無茶苦茶だな。バケモンかよ。」 
 座っていたマルセルがパタリとその場に寝転ぶ。

 その言葉に陛下も笑う

「確かにバケモンだな!
 次の訓練で全ての種明かしをするのだぞ?良いな?」

「はいはい。」
 面倒くさそうにカレルドが返事をした。



「さぁ!こんな所だが勝ったのはカレルドだ。
 何をアルヤに願うか決めたか?」

 陛下が観衆をチラッと見て言う。

「あー、」
 と言いながら、私の頭から手を離すカレルド。

「なんでも良いのか?」

「あぁ、アルヤ嬢がいいと言うなら。」
 ニコリと、陛下が私に笑う。

「じゃぁ、この場でプロポーズしてもいいわけ?」
 真顔で言うカレルド。

「え!?」
 ビクっと反応し思わず声が出る。

 はははと笑う陛下。
「ああ、いいとも、アルヤ嬢が受け入れるのなら文句はない。」

 ふーん。

 と、言いながらカレルドは私の前で膝をつく。

 観衆から
 きゃーーーっと声がする。

 顔をあげ私み見つめながらカレルドは言う

「俺と…


 夜、露店を周ろう。」

 そう言い私に手を差し出す

「露店ですか…?」

「あぁ、ダメか?」

 ふふっと笑ってしまうが私はカレルドの差し出された手に手を重ねる。

「楽しみにしています。」

「あぁ。」
 そう言いカレルドは立ち上がった。

「てっきりプロポーズするのかと思ったぞ!ビックリするなぁ!」
 はははっと笑う陛下と皇后。

「こんな荒地でそんな事しねぇよ。」
 カレルドが悪態をつく

「あら?別の場所ならしてたの?、」
 皇后がニヤニヤと言う。

「ああ。」
 と、少し笑いながら言った。

 陛下は観衆の方へ向き両手を上げると、
 静かになった。

「カレルドが願いを言った!
 今夜、2人で露店デートするそうだ!
 皆!邪魔するでないぞ!はははは」

 歓声と共に『告白じゃねぇのかよ!』などの、声も聞こえる。

「言われてるわよー!カレルド!」
 皇后が煽る。

「言わせておけ。」
 カレルドは私を持ち上げるとスタスタと壇上へと足を進める。





「マルセル大丈夫ー?立てる?」
 皇后が、地面に寝転んでいるマルセルに言う。

 上半身を起こしながら答える
「ええ。」

「良かったわね、プロポーズとかじゃなくて。」
 ふふっと笑う

 立ち上がるマルセル。
「そうですね。」

「で、どうするの?」

「心配しなくても、諦める事はないですよ。」

 マルセルはカレルドの後ろ姿とを見ながら言う。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご
恋愛
夫に何かを期待するから裏切られた気持ちになるの。 もう期待しなければ裏切られる事も無い。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。 その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。 シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。 皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。 やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。 愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。 今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。 シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す― 一部タイトルを変更しました。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

(完結)「君を愛することはない」と言われて……

青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら? この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。 主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。 以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。 ※カクヨム。なろうにも時差投稿します。 ※作者独自の世界です。

処理中です...