記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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狩猟大会開始

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 陛下が前に立ち、皇后と私は席に戻る。


「今日はイレギュラーが良くおこるなぁ!」
 陛下の一言で笑いが起こる。


「さぁ!狩猟の時間だ!
 思う存分力を発揮すればよい!

 だが、決闘が気になる者もいるだろう。
 狩を一時中断しても何も言わないから好きにしろ。
 中断している時を狙って獲物を探すもよし!

 ただし、騒ぎで隠れている獲物や気が立っている獲物もいる!十分注意し、またイレギュラーを作るでないぞ!!

 それでは、狩猟。開始!!」


 陛下の掛け声で新人騎士たちは森へ走って行く。

 観衆からは歓声が上がる

 まだ決闘の時間にはまだはやい…

 貴族らは次々と壇上の前にきて陛下と皇后、ついでに私にまで挨拶し賭け金を言う。
 退屈な時間がきた。

 軽く後ろを向きニーナに言う。
「お化粧道具とか持ってきてる?」

「エマが持ってます。どうかしましたか?」
 キョトンとすらニーナに髪で隠していた、首の赤いアザをチラッとをみせて言う
「これ隠せるかしら?」

 ビックリするニーナ。
「まぁ!やりましょ!すぐ行きましょ!」

 こくりと頷き陛下と皇后のそばに行く。

「申し訳ございません、少し席を外します。」

「あぁ、いいよ。激励でもしてきてやれ」
 笑う陛下と皇后。

 お辞儀をし、ニーナと壇上を降りる。

 皇宮侍女の待機場に行きエマとお化粧道具を調達し、近くの離宮に入り赤みを消す。

「まだ少し赤みはありますがこれが限界ですね…」

「目立たなくなればいいわ。ありがとう」

 エマは聞きたくて聞きたくて仕方ない様子でソワソワしている。

「ふふ。エマは分かりやすいわね。」

「え!?な、なにがですかー?
 …に。二択ですし…」
 ボソッと言う。

「ふふ。そうね。
 さぁ、戻りましょう。」

「え!教えてくださらないのですか!?」
 そう言うエマに、ニーナが言う。
「ちょっと!やめなさい!」

 私は笑いながら口元に人差し指を持っていく。

「そんなー。」
 エマが扉をあけながら言う。

 ふふッと笑いながら廊下を歩いていると、カレルドとアノルが丁度目の前の部屋から出てきた。

 カレルドはゲッ。とした顔をして言う
「な、何でお前がいる。」

「お化粧を直しに…」
 言いながらカレルドの後ろのアノルを見る。

「…え?!怪我ですか!?」

「おい、大きな声出すな。」

「殿下、隠し事はダメですぞ?」
 笑いながらアノルが言う。

 チッと舌打ちをし
「着いてこい。アノルは戻って良いぞ。」
 と言いマントをふわりとさせながら歩く

 アノルに軽く挨拶をし
 言われた通り後ろから着いて行く。

 外に出て人気の少ない木陰に連れてこられた。


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