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演武

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 壇上に登ると、真ん中には豪華に金で装飾された赤い大きいな椅子が2つ並んでいる。

 両陛下の椅子だ。
 その右に2つ豪華な赤い椅子
 左にも1つ豪華な赤い椅子が置かれている。

 その椅子の横を通り過ぎて端までいくと見えてきた。

「あれ見て!」
 楽しそうな皇后を尻目を私は驚く

「なんですか…あれ」

「手前から陛下、私、アルヤ、マルセル、カレルドの順番のプレゼント置場よー!
 アルヤの所にあるあのデッカいの!開けるの楽しみね!是非開けるとき呼んで頂戴ね!」

 異彩を放つ超巨大なプレゼントボックスから目が離せない。

「今年はプレゼントの量は圧倒的にアルヤねー!」

「あ。ありがとうございます…」
 ニガ笑いで返事をすると後からマルセルと陛下の声がし、振り向いた。

「なんだあれ、危険じゃないのか?」
 マルセルが言う。

「早朝からあったそうだ、誰からか分からないらしい。
 調べさせたが異常はないようだ。
 それにしてもデカイのぉ」
 陛下が、笑う

「さぁ、座ろうか。
 準備も出来ているようだし、はじめよう。」
 陛下に言われる。

「アルヤは私の横ね!」

 っとまた私の手を引っ張る

 皇室の者以外はけして座れないこの椅子に座らされる。
 皇后の言うことには逆らえない。

「さ!座って!」

「ありがとうございます。」
 そう言い座る。

 見届けた皇后は横の自分の椅子に座った。

 ふと、横を見るとマルセルとカレルドが並んでいる座ってる。

 “あの二人が並んでる…信じられない光景ね…”

 そう思っていると後からニーナが来た。
「お嬢様、大丈夫でしたか?」
 しゃがみ耳元で話す。

「ええ。後で説明するわ。それにしても落ち着かない席ね…」
 皇后に聞こえないように言う。

「皇宮で暮らし始めてからずっとココです。
 そろそろ皆さん慣れましたよ。大丈夫!」

 励ましてくれるニーナ。

「エマは?」

「一人しか従者は入れないので皇宮侍女の待機場にいます。」

 “なるほど。”
 と思い後ろを見ると1人ずつ横に立っている。
 マルセルの後ろは、ドイム

 カレルドの後ろに、エノワールが立っている

 陛下が立ち上がる。
 ざわざわしていた声が止む。

 “始まるのね。”



「今年もこの時期がやってきた。」
 皇帝陛下が壇上の下にきれいに整列している新人騎士に祝の言葉を言う。

 “シャンドリ領からくる騎士もいると聞いたけど。
 見た目じゃわからないわね…”

 そう思っていると皇后が話しかけてきた。

「アルヤ、あそこにお兄さんいるわよ。」
 と、指差す

 指を刺された方向を見ると確かにお兄様に似た人が立っている。

 視線に気づいたのか、こっちを見てニコリと笑い、手を胸に当てお辞儀をした。

 皇后と軽く手を降った。

 “お兄様も、少し変わられたわね…”

 陛下の言葉も終わり、新人騎士が壇上の下に整列をし、今度は広場に、ロイヤルナイトと各騎士団長が剣を持ち配置につく。



「始め!」
 陛下の合図で演武が始まる。



 あちこちから炎や水、ピカッと光るのは雷だろうか。
 大迫力に見入っていると、カレルドが立ち上がり陛下に耳打ちし壇上から降りて何処かに行った。

 “どこにいくのかしら?”

 迫力はどんどん増していき身体にドンドン!と響く音に圧倒される。

 貴族や、平民。関係なく皆迫力に、押されているが、私も例外ではない。

 10分ほどの演武が終わる。

 大きな拍手とともにロイヤルナイトと騎士団長は速やかに、持ち場に戻る。

 陛下がまた立ち上がり言う。

「今年は我が息子らも演武を披露してもらう!
 第一皇太子。前へ!」

 呼ばれるとマルセルが立ち上がる。

 歓声と黄色い声援が会場を包み込む。

 “大人気ね。”
 と、他人事に思っていると。マルセルが私の前に来て膝を付いた。

 “え?”

 ニコリと笑い私の手を取り手袋越しだが手の甲にキスをされた。
「しっかり見ててね。」

 そう言うと立ち上がり広場に向かう。

 皇后がニヤニヤしながら私に言う。

「きゃー!甘酸っぱいわねー!」
 楽しそうな皇后にとりあえず笑顔を向ける。

 “カレルドに見られなくてよかった。
 …どこに行ったのらかしら、戻って来ないと次はカレルドの番なのに。”

 そう思うがマルセルがずっと私を見ているからカレルドを、探す事はできない。

 マルセルは腰にさしていた剣を抜き取り剣先を地面に近づけた。

 すると、ドン、ドン、ドン、ドンっと物凄い音をたてながら高い火柱が4本地面から出てきている。

 一人なのにさっきと同等の身体への振動が凄さを物語る。

 その火柱を剣で切り裂きマルセルの演武が始まった。

 踊るように炎、水、雷、風を匠に操り剣を振るう。

「スゴイ‥」

 思わず声がでるがマルセルが放つ音が凄まじく誰も聞こえていないだろう。

 約10分程のマルセルの演武が終わった。

 今日一番の歓声と黄色い声援が会場を包み込む。

 思わず拍手する私。
 マルセルは私をみてニコニコと笑う。

「我が息子ながら恐ろしいものだ!」
 と、陛下が言うとあちこちから笑いが飛び交う。

 “カレルドは帰ってきたのかしら…”
 チラッと見ると反対側の壇上へ上がる階段を登ってるカレルドが見えた。

 少し陛下と話をする。
 やっぱり何かあったのだろうか。

 陛下は頷きすぐに戻り声を張り上げる。

「次、第二皇太子!前へ!」

 陛下が声を張り上げている後ろで、カレルドはエドワードと少し話をしたと思えば
 キッっと私を睨みつけ、向かってきた。



 “え?なに?”




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