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マルセルのエスコートで
しおりを挟むコンコン。
と、扉が鳴る。
“来たわね…”
大きく深呼吸をし、扉の前にいる2人に目配せする。
扉がゆっくり開かれマルセルの姿が見えた。ドレスの持ち上げ挨拶をする。
「マルセル殿下、お迎えありがとうございます。」
「わぉ、…綺麗だ。」
マルセルが近づいてきて言う。
顔をあげ言う。
「ありがとうございます」
マルセルも普段見ない装いだった。
赤いネクタイに、白いシャツ。
ジャケットは黒で黄金の装飾が付けられている。
左側には剣が腰につけられ
肩から伸びる長いマントは外側は黒だが内側は赤い。
「マルセル殿下も、とってもお似合いですね」
満面の笑みを見せる。
これは本当だ。
ただの、社交辞令の言葉ではなく心から思った。
“カッコ良すぎるわね…
女性人気が高いのがよくわかる。
なんかこう、王子様!って感じね…”
見惚れてしまっているとマルセルが言う。
「あはは、そんに見つめられると照れるな。」
手を頭の後ろにやり照れくさそうに笑う。
「あ、申し訳ございません!私ったら…」
恥ずかしくなり両手で顔をおおった。
「ははは。大丈夫だよ。
さぁ、行こうか。」
そう言い右の肘を軽く曲げる
「…はい。」
軽く曲げられた腕の隙間に手を入れ軽くかける
廊下に出るとマルセルが連れてきたであろう男の人がいる。
“だいぶ体格のいい方ね…そんな方居たかしら?側近…?”
外にでると豪華な馬車が準備されていた。
「わぁ、すごいですね…」
「ちょっと良いものを準備したんだ、気合いが入ってるのが丸わかりで恥ずかしいな…」
照れるマルセル。
“か、かわいい…”
そう思った瞬間、カレルドの怒った顔が浮かんだ。
“は!いけない…”
「君たちは後ろの馬車を準備したよ、そっちで来てね。」
マルセルは後ろから付いてきている2人に言う。
「お心遣い、ありがとうございます。」
ニーナが言いお辞儀をする。
それにエマも続く。
マルセルは馬車へ乗り込む為の台の横に着て私に手を差し出す。
「気をつけて。」
「ありがとうございます」
私は手を取り馬車に乗り込む。
すぐにマルセルも乗ってき向かい合わせになった。
「さぁ、行こうか。」
そう言いとコンコンと合図をし、馬車がゆっくり動き出した。
ニーナたちに手を振る。
「とっても、綺麗だね。」
マルセルが言う。
「ありがとうございます。
侍女が4時半から頑張ってくれました。」
ニコリと笑う。
「すごいね、もう既に疲れただろ?」
「私はされるがままなので、そうでもないですよ
侍女らは馬車の中で寝ちゃうかもしれませんね。」
ふふッと笑う
“よし、良い感じ、乗り切れそう!”
「ははは。道が良ければ心地いい揺れだしね」
笑い合い穏やかな馬車の中
昨夜のカレルドと話していたのはマルセルではなく、別人のように感じるほどいつも通りだった。
「あの、とても失礼なのですが…
さっきの体格いい方はマルセル殿下の側近の方ですか?」
「そうだよ。子供の頃から居たからあった事あると思うんだけど…」
“…?子供の頃から…
記憶にない…”
あ。とマルセルが何かを思い出したようだった。
「随分、体型かわったからね!
俺とよく一緒にいたほっそい子覚えてるかな?ドイムだよ!」
「細い…ドイム様…」
“カレルドと違って慕って付いてきてた子は多かったからなぁ…”
なんて思っていたら思い出した。
「え…あの一番細くて背も小さめだった?」
「そうそう!!」
「え!?なにがあったのですか!?別人じゃないですか!」
“あの、ちーーっちゃかったドイム!?もう突然変異ね…”
なんて思いながら付いてきてるであろうニーナ達の馬車を見ようと、後ろの小窓を見る
あれ…
「あれ?付いてきてませんよ?」
嫌な予感がした。
「うん、ちょっと俺らは遠回りさ。
大丈夫。会場に行けば会えるし、間に合うから。」
悪気ない笑顔が逆に怖かった。
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