記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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伝説の

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 狩猟大会が明日にせまる。 

 日に日にモヤモヤと心が晴れない日々を過ごす。

 記憶はまだ戻らない。

 ここ数日は平和だった。

 マルセルは狩猟大会の準備で忙しいらしく廊下でたまにすれ違い軽く話す程度。

 カレルドはあの日の夜以来会っていない。
 やはり狩猟大会の準備で忙しいのだろうか。

 お兄様から手紙がきた。
 やはり狩猟大会関係で忙しいらしい
 大会のお昼頃会いに来ると書いてあった。

 たまに皇后様の突然の訪問で慌てるくらいだ。
 お茶をし愚痴をこぼし帰っていく。
 妃教育のやり直しの件は大会が終わって落ち着いたら開始すると言われた。

 私は図書館に通い植物の本を読み漁る毎日。
 たまに息抜きで庭園を散歩するくらいでのんびりとした日々を過ごしている。


 机に向かい借りてきた薔薇に関する事が載ってそうな本をペラペラとめくる。

 “この本であらかた読み終えてしまった。”

 もう既に後数ページで読み終わる。

 まだカレルドからもらったバラの意味は分からなかった。

 “もうお手上げね。。。直接意味を聞くしかないだろうか…”
 そう思いページを捲り続ける。

 ある項目が目に入る。


『薔薇でプロポーズをしよう。』


 この項目はどの本にも書いてある
 どの本も似たような事ばかりだ。

 “んー、やっぱりないわね。”
 諦め最後のページを捲る。


『伝説の再現をしても素敵♡』


 “なにこれ。初めて見た。伝説?”

 すると探し続けた文章が目に入る。



『赤い薔薇束の中に一本だけの白い薔薇』
 ドクンっと心臓が跳ね上がる。


 はやる気持ちを抑え読む。



 初代皇帝陛下がプロポーズの際に薔薇の花を準備した。

 中央広場に赤薔薇がずらりと並ぶ、その数989本だったとか!

 陛下は、10本の赤い薔薇束の中に1本だけ白い薔薇をいれた
 特別にラッピングした物を準備し愛する女性の前に立たれる。

 膝を着き薔薇束の中の白い薔薇抜き取り女性の前に差し出した。


『この、一本の白薔薇は私の不安だ。
 この帝国でキミを幸せにできるかと言う不安。
 断られたらと思う不安
 この白薔薇を受け取り私の不安を取り除いてほしい。

 恋人関係はお終いにして妻として愛して行きたい。』

 そんな不安を述べてのプロポーズ。

 女性は白薔薇を受け取った。
『不安は取り除いたわ。
 一緒にすばらしい帝国にしていきましょう。』

 初代皇后陛下の誕生の瞬間に皆が湧き立ち歓声をがあがった。

 陛下が持っていた10本の薔薇束と1本の白い薔薇以外の
 989本の薔薇は集まった観衆に配られた。

 陛下の10本の薔薇を加えて999本の赤い薔薇。

 陛下が渡した薔薇束は10+1で11本の束。

 たくさんの花言葉を使ったプロポーズ!
 素敵すぎますよね。

 一時期、初代皇帝陛下と同じ様に
 赤い薔薇に1本の白い薔薇束を作り白い薔薇を先に渡すプロポーズが流行ったそうですよ。

 時代は変わりますが白薔薇を先に渡さず薔薇束と一緒に渡すプロポーズも流行った時期もあるそうです。

 その流行を知った初代皇帝陛下はその花束の意味お作りになられました。

 それは…





 ここでガタン!っと立ち上がってしまった。


「「お嬢さま?!」」
 部屋にいたニーナとエマが駆け寄ってくる。

 最後の一ページだった本は押さえていた手がなくなりヒラリっとめくれ真っ白でなにも書かれていないページになった。

 両手で顔を覆う。
 “そんな…”  

 ドクンドクンと心臓が跳ね上がる。

「お嬢さま!?どうしました?!む、虫ですか?!本に虫!?」
 エマが騒ぎ立て本を持ち上げたりしている。

「虫なんていませんよ!」
 ニーナも虫に引っ張られる。

「大丈夫よ…なんでもないわ…」

 無理矢理笑顔を作る。

「そう言われましても…」

 “そうね。。。この状況で何でもないは無理があるわよね…”

 すると。コンコン。
 と扉が鳴る。

「カレルド殿下の使いで参りました。エノワールです。」

 “ナイスタイミング”

「エマ。お願い。」

「は、はい!」
 エマに出るように言う。

 横にいるニーナに小声で聞く
「エノワールってカレルド殿下の後ろについて回っていたあの?」

 心を落ち着かせるために違う事を必死で考える。

「はい。今では昔の面影はなく立派にカレルド殿下の側近になられておられます。」

「側近…」

 扉の隙間からチラッと顔が見えた。

 昔の自信がなさそうな姿とは違い、背筋が伸び凛々しい姿になっている。

 目が合わないように後ろの窓の方に向く。

 すぐにパタンと扉がしまりエマが言う。
「お嬢さま、カレルド殿下からのお手紙だそうです。すぐ確認して欲しいと…」

 私の横にきて手紙を渡してくれた。

「ありがとう。」
 心配そうな2人を無視して手紙を開く。

 手紙の内容が見えないように2人は一歩下がる。

 白い便箋の中に一枚の紙が入っていた。





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