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両陛下お出迎え準備
しおりを挟む「お嬢さま。おはようございます!朝ですよ!」
呼ばれて目を覚ます。
「ニーナ?」
ゆっくり身体を起こす。
いつの間にか眠ってしまって朝になっている。
「おはよう。」
「おはようございます!カーテン開けますね」
眩しい朝日が部屋を照らす。
「あれ?これ何ですか?」
ニーナが拾ったのは昨日カレルドが持ってきた薔薇束のラッピングだ。
”そう言えば雑に捨ててたわね。”
「あ、それ夜にカレルド殿下がきて薔薇を持ってきてくださった時のね。」
「え、殿下が来られたのですか!」
そう言い花瓶に目をやるニーナ。
見るなりギョッと目を見開いた。
「ニーナが言ってた1本じゃなくて5本もって来てその内1本は白薔薇なの。
殿下はコレで完成だと言っていたけどよくわからなくて。」
「え…これって…」
ニーナがすごく驚いている。
「え?意味知ってるの?」
そう尋ねると同時に勢いよく扉が開いた。
「おはようございます!お嬢さま!朝食持って来ました!」
エマだ。
「こら!そんな勢いよくはいって来ないで!」
ニーナがエマを叱る。
えへへっとエマはテーブルに朝食を置く。
「昨日食べられてたポトフとパンを持って来ました!」
「ありがとう。エマは朝から元気ね」
立ち上がり朝食が置かれたテーブルまで移動する。
ニーナが椅子を引いてくれて座る。
「はい!とっても元気です!
それに、聞いてください!」
目を輝かせるエマが朝食を食べる私に言う。
「ん?」
「今日、両陛下がお昼前にお嬢さまに会いにくるそうなんです!」
食べる手が止まる。
“会いにくるって、私が行くのではなくて?!”
「あら!大変!色々準備しなくてわ!」
後ろにいたニーナが言う。
「そうなんです!
なのでアノル様にお嬢さまをお風呂に入れて差し上げてもいいか聞いて来たら、体調に問題なければ良いそうなんです!!
お嬢さま!体調はいかがですか!?」
ずいっとエマの顔が近づいて来た。
「え、ええ。どこも悪くないわ」
私がそう言うとエマとニーナが顔をあわせる。
「私は浴槽の準備とクリームやタオルの準備をしてきます!」
と、エマ
「じゃぁ、ドレスとアクセサリーの準備は任せて!」
と、ニーナ。
バタバタと準備が始まる。
“懐かしいわね、この感じ。”
そう思いながらパンをちぎり食べる。
ニーナがウォークインクローゼットから私に声をかける。
「お嬢さまはご希望ありますか?色とか、形とか…」
「ないわ。あなたに任せるわ。」
楽しそうなニーナを見ながら朝食を口に運ぶ。
エマも寝室の左側の扉に行ったり来たりしている。
あの奥に浴室がある。
右側の扉の奥は執務室。勉強部屋と言った方が今は正確だろう。
ここは皇后陛下が皇太子妃時代の時の部屋だ。
シャンドリ邸をでて皇宮に越してきた時に教えてもらったことだ。
部屋の壁をぶち抜いて部屋同士を繋ぎ改装をし使いやすいようにしたと皇后陛下に聞いた事がある。
大胆なお方だ。
「お嬢さま!コチラとコチラ!どちらがよろしいですか!?」
ニーナが二つのドレスを持ってきて聞く。
「んー、オレンジのほうかな。」
「わかりました!合わせてアクセサリーを選びますね!」
両陛下が尋ねてくるのだ。気合いが入るのは当然だ。
「あ、ニーナ!帰られたら着替えるからその準備もできる?」
「わかりました!」
朝食を食べ終える。
少なめだが今の私の胃の大きさにはコレくらいがちょうど良い。
丁度エマが帰ってきた。
「準備終わりました!いつでも入れますよ!」
「ありがとう。ニーナの準備が終わったら入りましょ。」
「久々のお風呂ですねー!気合いが入ります!!」
やる気がみなぎっているエマ
「ふふ。お手柔らかに。」
「準備できました!さぁ!お風呂です!」
ニーナもやる気がみなぎっている。
髪や身体を丁寧に洗い湯船にはいる。
チャプン。
足からゆっくり入り浸かる。
「気持ちいいわね…」
深く息を吐く。
「次は髪のトリートメント!お肌のパックと…あ!香りは何にしますか?」
エマが言いながら髪にトリートメントを馴染ませる。
「香りはいらないわ。石鹸の香りで十分よ。」
「えー!そうですかー?色々ありますよ?
バラ、ラベンダー、カモミール…」
「石鹸の香りがいいの。」
「はーい…」
不服そうだがエマは従う。
“石鹸の香り…”
深夜のカレルドの香りを思い出す。
ふわっと石鹸の微かな香り。
抱きしめられた感覚も残っている。
薔薇の事が頭から離れない。
“ニーナが何か知ってそうだったな…
エマも知っているのかな”
チラッとエマを見る。
次の準備をしているのだろう。
楽しそうだ。
“知っていたとしても。
これは自分で調べなきゃ行けない気がする。
ズルはダメよね。宿題だもの。”
思いだし、ふふっと笑ってしまった。
「次はお顔のパックです!
塗りますから触らないで下さいねー」
そう言うとエマがハケで私の顔にパック
をおでこから下へと塗る。
「そう言えばニーナは?」
「ニーナならお茶の準備と軽く執務室の掃除をしてくるそうですよ!」
「そう。」
「さぁ。お口周りを塗りますよー!」
すると、ドタバタと廊下の方が騒がしくなった。
「な、なに?」
とっさにエマの顔を見る。
どんどんドタバタが近づきてくる。
『…陛下!』
???
「今、陛下って聞こえませんでした?」
エマが言う。
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