記憶喪失の令嬢は皇太子に激執着される

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記憶喪失

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 “ああ、頭が重く痛い。”


 目を瞑っているのか、暗闇の中で思った。

 誰かがそっと私の頬に優しく触れて、
何か言っているが小さい声で聞き取れなかった。

 目を開け誰か確認ようにも瞼が重く開けられない

 身体にも力が入らなくて動かない。  


 “私、どうしちゃったんだろ…”


 段々と意識が遠のいていくと同時に、私に触れていた手が離れていく

 “いや、離さないで” 

 私の思いが届くはずもなく、意識が薄れ深い眠りについた。







 スッ…

 目が開いた。 
 視界がボヤける。

 “ここは…どこなんだろう。”

 少しずつボヤけている視界がクリアになっていく。

 天井だ。立派なシャンデリアがぶら下がっているのが見える。

 視界を少し右にやると窓にカーテンが閉められ
 下から優しい光が薄ら入り込む。
 見覚え場ある…

 “皇宮?”

 すぅ…

 左の方から誰かの寝息らしきものが聞こえた気がして目線を左にやる。

 ベットの横で金髪の男性が腕と足を組み座って寝ていた。

 カーテンからの薄らした光で何となくわかる。

 “綺麗な髪…”

 第一印象は彼の髪だった。
 よく見るとまつ毛までもが金色だった。

 “お人形みたい…生きているのよね?”

 彼に触れてみたくなった

 身体に力をいれる。

 身体中がひどい筋肉痛のように痛む。
 けれど、動かないわけでわなかった。

 ゆっくりと痛む身体を起こしてみた。
 身体も痛いが頭痛も激しく軽く頭をかかえる。

 それでも、横にいる彼に触れてみたかった。
 彼の方にゆっくり手を伸ばす。

 パッ

 彼の目が開き、赤い瞳と目が合った。 

 “え?カレルド殿下?…でも私が知ってるカレルドはまだ…”

 驚きの表情を見せ、すぐに私を力強く抱きしめる

「…やっと…」

 息を詰まらせながら彼は言う

「イタっ、く、くるし…」 

 少し抵抗をみせると、すぐに離れてくれた

 ふぅ、と息を吐く。

「ちょっと待ってろ!」
 彼は立ち上がり、ドアを開け人を呼んでいる。

「おい!アノルを連れてこい!!」

「はい!」
 誰かが返事をしたのが聞こえた。

 正直、激しい頭痛で大きな声を出さないで欲しかった。
 また、軽く頭を抱えると

「身体を起こすな!横になれ!」
 彼は一度布団を剥ぎ、私を軽く持ち上げて寝かし直す。

「寒くないか?どこか痛いところは?」
 心配そうな顔をし布団を掛け直しながら言う

 すると、
 バン!

 勢いよく扉があけられ2人の女性が部屋の中に入ってきた。

「お嬢さま!!!!!」

 1人の女性が涙ぐみながら私に駆け寄ろうとする

「ちょっと殿下がいらっしゃるのよ!」
 ともう1人の女性が言う

 申し訳ありませんと謝罪する2人に対し彼が言う

「大丈夫だ。それよりまだか」

 “殿下?やはりカレルド殿下なの?”

 そう思うと同時に次々と色んな人が部屋に入ってきた。

 みんな私に向かって何か言っているようだ

 頭が痛い。

 みんなうるさい。頭に響く。

 段々と瞼が重くなり目が閉じていく

 さっき入ってきた2人の女性が目を閉じていく私に気づく。

「お嬢さま!?」

 “なに?泣いてるの?”

 近くで顔を見てようやくわかった。
 私の侍女のニーナとエマだ。

 でもいつもと雰囲気が違うような…

 ”大丈夫よ。少し眠たくなっただけだから…”

「アルヤ!!!」

 カレルドが私に近寄ろうとしているのがぼんやり見えた

 その後ろで私に向かってキッっと睨むような視線もあった気がする

 “少し眠るだけよ…おおげさね”

 私は深い眠りについた。




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