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2章
34.
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移動した先は深樹の森の入口付近。
生徒の他にも警察らしき服を着た連中もいる。
あの池田の姿も見られる。
まあ、この姿なら判断はつかなさそうだが、接触時には用心はしておくか。
木々と風の匂いで心が安らぐが、その奥からただようアヤカシの気配は尋常ではない。
明らかに数が多すぎる。
それに、俺たちが、いや、バスが到着したあたりからアヤカシがこちらの様子をうかがっているのがわかる。
そんなことを気にしているのは警察と教師たち、ナンバーズのみだ。
他の生徒は野外訓練ということで、はしゃいだ様子を見せている。
この尋常ではない森の様子をみて何も思わないのか。
チラリとアキを見ると、あちらも俺を見ていたのか視線があう。
首を横に振り、人差し指を口元にもってきている。
なるほど、黙って見ていろ、ということか。
1つ溜息をつき、俺は義樹達を観察する。
「な、なぁ…紅月先輩、この森の空気おかしくないか?」
「あぁ、どれだけいるか分からないが尋常じゃない気配だな。」
「いつもと違う訓練になりそうだね!」
4人とも様子はそれぞれだが、この森の異常さに気づいているみたいだった。
おのおのいつでも武器を出せるようにしながら、荷物の準備をはじめている。
ふと、ピリリと首筋に突き刺さる殺気。
さきほどから様子を見ていたアヤカシが気配を殺し、俺達に近づいてきている。
他の学生はもちろん、義樹達の様子を見ても気づく様子はなく話を続けている。
「…おい、何か近づいてきているぞ。」
紅月がアヤカシの接近に気づいたようだ。
ザッっ
その一言でおのおの武器を構える。
なるほど、位置は判断しずらいのか。
俺は懐から小刀を取り出し、いまだ談笑を続けている生徒に飛びかかろうとしていたアヤカシに投げつけた。
トスットスッ
『ぎゃーーー!!』
時間差で叫び声がし、どさどさっと複数のアヤカシが倒れていった。
「なっ!!」
「気づいていなかったんですか?」
驚き腰を抜かす生徒に、俺は冷ややかにそう言いながらアヤカシに刺さった刀を抜きに傍によった。
「大丈夫か?!」
運悪く走り寄ってきたのは池田。
「はい、問題ありません。」
まだ息のあったアヤカシに夏淡でトドメをさしながら答える。
『ぎ……ぎゃあ!!』
「ほぅ、凄いな。」
池田が感心したように呟いている。
「何がでしょうか?」
「いや…。それよりも皆、ここはもう戦場だ。ひとつの油断が仲間や自身を死に近づける。気を抜くな。」
池田は怯えている生徒や近くにいる生徒に告げるとその場を離れていった。
様子を見ていたアキは生徒に近づくと険しい顔で訓練の開始を告げた。
「先程警察の方が言ったように、ここは戦場だ。訓練とはいえ、お前たちのミスで死ぬ。良く考え、補佐に着いてくれている指導官の指示をよく聞き訓練にいどめ。…それでは開始だ!」
生徒の他にも警察らしき服を着た連中もいる。
あの池田の姿も見られる。
まあ、この姿なら判断はつかなさそうだが、接触時には用心はしておくか。
木々と風の匂いで心が安らぐが、その奥からただようアヤカシの気配は尋常ではない。
明らかに数が多すぎる。
それに、俺たちが、いや、バスが到着したあたりからアヤカシがこちらの様子をうかがっているのがわかる。
そんなことを気にしているのは警察と教師たち、ナンバーズのみだ。
他の生徒は野外訓練ということで、はしゃいだ様子を見せている。
この尋常ではない森の様子をみて何も思わないのか。
チラリとアキを見ると、あちらも俺を見ていたのか視線があう。
首を横に振り、人差し指を口元にもってきている。
なるほど、黙って見ていろ、ということか。
1つ溜息をつき、俺は義樹達を観察する。
「な、なぁ…紅月先輩、この森の空気おかしくないか?」
「あぁ、どれだけいるか分からないが尋常じゃない気配だな。」
「いつもと違う訓練になりそうだね!」
4人とも様子はそれぞれだが、この森の異常さに気づいているみたいだった。
おのおのいつでも武器を出せるようにしながら、荷物の準備をはじめている。
ふと、ピリリと首筋に突き刺さる殺気。
さきほどから様子を見ていたアヤカシが気配を殺し、俺達に近づいてきている。
他の学生はもちろん、義樹達の様子を見ても気づく様子はなく話を続けている。
「…おい、何か近づいてきているぞ。」
紅月がアヤカシの接近に気づいたようだ。
ザッっ
その一言でおのおの武器を構える。
なるほど、位置は判断しずらいのか。
俺は懐から小刀を取り出し、いまだ談笑を続けている生徒に飛びかかろうとしていたアヤカシに投げつけた。
トスットスッ
『ぎゃーーー!!』
時間差で叫び声がし、どさどさっと複数のアヤカシが倒れていった。
「なっ!!」
「気づいていなかったんですか?」
驚き腰を抜かす生徒に、俺は冷ややかにそう言いながらアヤカシに刺さった刀を抜きに傍によった。
「大丈夫か?!」
運悪く走り寄ってきたのは池田。
「はい、問題ありません。」
まだ息のあったアヤカシに夏淡でトドメをさしながら答える。
『ぎ……ぎゃあ!!』
「ほぅ、凄いな。」
池田が感心したように呟いている。
「何がでしょうか?」
「いや…。それよりも皆、ここはもう戦場だ。ひとつの油断が仲間や自身を死に近づける。気を抜くな。」
池田は怯えている生徒や近くにいる生徒に告げるとその場を離れていった。
様子を見ていたアキは生徒に近づくと険しい顔で訓練の開始を告げた。
「先程警察の方が言ったように、ここは戦場だ。訓練とはいえ、お前たちのミスで死ぬ。良く考え、補佐に着いてくれている指導官の指示をよく聞き訓練にいどめ。…それでは開始だ!」
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