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2章
22.
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メインキャラの2人目をようやく出せます!
2章スタートです
ーーーーーーーーーーーーー
李都兄ぃの部屋でもう1日泊まって、朝早めに学校にいった。
「あ、唯都!!」
「おはよう、具合大丈夫?」
「おはよう、義樹、光。大丈夫だよ、心配かけてごめん。」
教室に入ると二人が駆け寄ってきた。
二人と話していると、周りがうるさい。
「何、あいつ。オタクの分際でまた平良様と刈谷様に媚びうってる。」
「でも、手を出さない方がいいって。李都様の弟だよ?」
「あんなヤツ、どうせ何も出来ない落ちこぼれに決まってるよ!!」
うるさい…この前の試合見なかったのかな?
俺、大和に勝ったのに…
「ちょ…唯都、殺気もれてる!」
殺気を感じた義樹は慌てる。
「うるさい…やっぱ今日も休むね。アキ…煉城先生に言っといて。」
「俺が何だって?志野。」
振り向くと怖い顔のアキ。
「あ、先生。体調不良で休みます。」
「嘘だろ?逃がさんぞ、志野。」
出口を塞がれ行き場がない…
「はぁ…光、ここ何階?」
「3階だけど…?」
「じゃあ、またお昼に。」
そう言うと俺は窓から飛び降りた。
「ちょっ!志野ぉ!!」
アキが叫んでいたが、それも無視して俺はストンッと降り立つと森の方に足を運んだ。
そよそよと吹く風が歓迎するように俺の周りを包みこむ。
「ねぇ、何処か静かな所ってない?」
尋ねると、風はこっちだよと言わんばかりに唯都を導いていった。
しばらくすると、泉が見えてきた。
木々に囲まれ太陽の光があたって輝いている。
「ありがとう。」
風達に礼をいって俺は草の上に座った。
ゴロンっと寝転ぶと土の匂いが香り、落ち着く。
「……~♪」
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
Side:??
「委員長ー!!どこですかぁー!!今日こそは仕事してもらいますよ!!」
秋人が俺を探している。
でも俺は捕まる気はない。
森に入り、気に入っている場所に向かう。
そして、いつものように定位置で寝ようとしたが、人がいるのに気付いた。
「……ら………けー…」
何かを歌っているようだ。
俺はゆっくり近づいていった。
「♫(眠れ良い子よ 愛しい子よ
我ら風の子 天馬の血を継ぐ者
母はそなたを守り抜く
眠れ良い子よ 愛しい子
風に抱かれて …)」
そいつは歌いながら空を見上げた。
子守唄のようだが、そいつの目から涙が一筋零れたのを見て悲しい曲にも聞こえてくる。
そいつの容姿はオタクのようなのに、その一筋の涙はとても綺麗でその横顔から目が離せなくなる。
何故か分からないが、この懐かしいような感覚は…
オタクで思い出したが、確かこいつは外部生の志野唯都。
このまま声をかけるのは、と思い立ち去ろうとしたが、志野は俺の気配に気付いたようだ。
まだ結構な距離があるのに気づくなんて…
「!!! っ…」
よく表情はわからなかったが、驚いたようだ。
志野はぱっと立ち上がろうとしたが、ふらりとよろけた。
「大丈夫か?そんな急に立ち上がったら立ちくらみする。」
俺はとっさに走って志野をささえた。
「……ありがとうございます。」
志野は小さく呟くと、俺からサッと離れる。
そのまま立ち去ろうとした志野をとっさに服を掴む。
普段の俺ならそんなことはしないのに、何故かとっさに掴んでしまった。
「…離して。」
「座れよ。どうせお前もさぼりだろ?」
「……」
志野はしばらく考えた後、ストンッと座った。
お互いに無言のまま時間だけが過ぎていく。
呼び止めたはいいが、何を話していいか。
「なぁ…」
呼んでみると顔だけこっちを見あげてきた。
「っ!!」
大きな眼鏡をかけていたからわからなかったが、俺を見上げる志野の目は澄んだ碧色だった。
「?……何ですか?」
志野は淡々と見つめてくる。
その綺麗な目で俺をうつすがこれといった表情がない。
「いや…おま……志野、いや唯都って呼んでいいか?」
「お好きに。」
ふいっと俺から顔を背けた唯都。
「じゃあ、唯都……俺は紅月翔也だ。よろしく。」
「紅月…。…そうか、もう…」
この続きは聞こえなかった。
風の中に溶けとんだ声。
やっぱりずっと前に聞いた記憶があるが、思い出せない。
「目、碧いんだな…空みたいだ。」
ぼそりとつぶやくと志野、いや唯都は綺麗な目を見開いて俺を見つめてきた。
「な……んで…」
唯都は会って初めて表情が変わった。
「いや…なんで隠しているのか分からないが、
俺のように背の高い人から見たら眼鏡の意味がないな。」
「!!…カラコンしようとしたけど、目が受け付けなかったんですよ。」
先程よりかふてぶてしい様子の唯都。
そんな様子も可愛らしいと思いつつ、思った事を口走る。
「その目、綺麗だから見せればいいのに。」
すると、唯都は大きなめを更に見開いて走り去っていった。
2章スタートです
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李都兄ぃの部屋でもう1日泊まって、朝早めに学校にいった。
「あ、唯都!!」
「おはよう、具合大丈夫?」
「おはよう、義樹、光。大丈夫だよ、心配かけてごめん。」
教室に入ると二人が駆け寄ってきた。
二人と話していると、周りがうるさい。
「何、あいつ。オタクの分際でまた平良様と刈谷様に媚びうってる。」
「でも、手を出さない方がいいって。李都様の弟だよ?」
「あんなヤツ、どうせ何も出来ない落ちこぼれに決まってるよ!!」
うるさい…この前の試合見なかったのかな?
俺、大和に勝ったのに…
「ちょ…唯都、殺気もれてる!」
殺気を感じた義樹は慌てる。
「うるさい…やっぱ今日も休むね。アキ…煉城先生に言っといて。」
「俺が何だって?志野。」
振り向くと怖い顔のアキ。
「あ、先生。体調不良で休みます。」
「嘘だろ?逃がさんぞ、志野。」
出口を塞がれ行き場がない…
「はぁ…光、ここ何階?」
「3階だけど…?」
「じゃあ、またお昼に。」
そう言うと俺は窓から飛び降りた。
「ちょっ!志野ぉ!!」
アキが叫んでいたが、それも無視して俺はストンッと降り立つと森の方に足を運んだ。
そよそよと吹く風が歓迎するように俺の周りを包みこむ。
「ねぇ、何処か静かな所ってない?」
尋ねると、風はこっちだよと言わんばかりに唯都を導いていった。
しばらくすると、泉が見えてきた。
木々に囲まれ太陽の光があたって輝いている。
「ありがとう。」
風達に礼をいって俺は草の上に座った。
ゴロンっと寝転ぶと土の匂いが香り、落ち着く。
「……~♪」
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
Side:??
「委員長ー!!どこですかぁー!!今日こそは仕事してもらいますよ!!」
秋人が俺を探している。
でも俺は捕まる気はない。
森に入り、気に入っている場所に向かう。
そして、いつものように定位置で寝ようとしたが、人がいるのに気付いた。
「……ら………けー…」
何かを歌っているようだ。
俺はゆっくり近づいていった。
「♫(眠れ良い子よ 愛しい子よ
我ら風の子 天馬の血を継ぐ者
母はそなたを守り抜く
眠れ良い子よ 愛しい子
風に抱かれて …)」
そいつは歌いながら空を見上げた。
子守唄のようだが、そいつの目から涙が一筋零れたのを見て悲しい曲にも聞こえてくる。
そいつの容姿はオタクのようなのに、その一筋の涙はとても綺麗でその横顔から目が離せなくなる。
何故か分からないが、この懐かしいような感覚は…
オタクで思い出したが、確かこいつは外部生の志野唯都。
このまま声をかけるのは、と思い立ち去ろうとしたが、志野は俺の気配に気付いたようだ。
まだ結構な距離があるのに気づくなんて…
「!!! っ…」
よく表情はわからなかったが、驚いたようだ。
志野はぱっと立ち上がろうとしたが、ふらりとよろけた。
「大丈夫か?そんな急に立ち上がったら立ちくらみする。」
俺はとっさに走って志野をささえた。
「……ありがとうございます。」
志野は小さく呟くと、俺からサッと離れる。
そのまま立ち去ろうとした志野をとっさに服を掴む。
普段の俺ならそんなことはしないのに、何故かとっさに掴んでしまった。
「…離して。」
「座れよ。どうせお前もさぼりだろ?」
「……」
志野はしばらく考えた後、ストンッと座った。
お互いに無言のまま時間だけが過ぎていく。
呼び止めたはいいが、何を話していいか。
「なぁ…」
呼んでみると顔だけこっちを見あげてきた。
「っ!!」
大きな眼鏡をかけていたからわからなかったが、俺を見上げる志野の目は澄んだ碧色だった。
「?……何ですか?」
志野は淡々と見つめてくる。
その綺麗な目で俺をうつすがこれといった表情がない。
「いや…おま……志野、いや唯都って呼んでいいか?」
「お好きに。」
ふいっと俺から顔を背けた唯都。
「じゃあ、唯都……俺は紅月翔也だ。よろしく。」
「紅月…。…そうか、もう…」
この続きは聞こえなかった。
風の中に溶けとんだ声。
やっぱりずっと前に聞いた記憶があるが、思い出せない。
「目、碧いんだな…空みたいだ。」
ぼそりとつぶやくと志野、いや唯都は綺麗な目を見開いて俺を見つめてきた。
「な……んで…」
唯都は会って初めて表情が変わった。
「いや…なんで隠しているのか分からないが、
俺のように背の高い人から見たら眼鏡の意味がないな。」
「!!…カラコンしようとしたけど、目が受け付けなかったんですよ。」
先程よりかふてぶてしい様子の唯都。
そんな様子も可愛らしいと思いつつ、思った事を口走る。
「その目、綺麗だから見せればいいのに。」
すると、唯都は大きなめを更に見開いて走り去っていった。
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