食べるということ

花乃

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くだものを買う人

ベリー

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王子と電話した。
「ぼくだけど」
「友見。こんな時間にどーしたのさ」
「明日はヒマか」
「うん。何にも予定はないよ」
明日は日曜日だ。ぼくは勇気を出した。
「カフェに行かないか」
「いいけど。ぼくたち付き合ってもいないしさ」
「明日はぼくの誕生日だ。明日くらいいいだろ」
「わかったよ。バス停で待ち合わせるかい」
こんな時に王子は積極的になる。待ち合わせを決めるとぼくはおねだりをした。
「甘くないケーキが食べたい」
「わかった、朝一で作るよ」
ぼくは、王子からベリーケーキをもらった。甘くないクリームがたっぷりしたやつだ。ぼくは紅茶の美味しいお店に王子を連れて行った。自然と手をつないだ。街が混み合っていた。ぼくたちははぐれないようにしっかりと手を握った。王子からはベリーの香りがした。
「うわさになったら困るだろ」
「ぼくは構わない」
「わたしは困るの。恋人ができなかったらどーするのさ」
「子供の頃にはぐれて泣いてたことがあったな」
「そうだね。わたしたちは自分が思ってるよりまだ子供だからね」
「恋人の心配はないな。王子は自覚してないが人気がある」
王子の耳は赤くなっていた。ぼくらはしっかり手を握りあった。ぼくはベリーの香りを気にしなくなった。
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