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123 ユリーの溺愛

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「ゆりー、ゆりー」
「・・・はい。バジル様」
「えへへ。ゆりーどう?」
「・・・はい。とてもお上手ですバジル様」

二人だけのやり取りを広げる我が息子のバジルと専属侍女のユリー。ベッタリとユリーに甘えるバジルと、それを優しく受け入れるユリーの関係に俺は少しだけ予想外だった。

「レイナ。どう思う?」
「えっと・・・正直凄いですね。あのユリーがここまでデレデレになるのは想像できませんでした」
「だろうね。母上もそうだが、やはりバジルには女を引き寄せる魅力があるのだろうか」

ユリー程ではないがバジルは一部の侍女にはかなり人気があるようだ。この年からここまで女を魅了する我が息子に少しだけ畏怖と敬意を抱きそうになる。

「なんとなくカリス様の血が流れているのは納得できます」
「私はサーシャ以外にはモテないさ」
「そうでしょうか?それにしてもこのままだとバジル様とユリーは互いに依存しあいそうですね」

それは少しだけ危惧するべきなのだろうが、個人的には特に問題なかったりする。いや、依存というのは確かに危うい関係にも見えるが互いのことを想うことには違いないし、何よりそれをきちんとコントロールできれば問題はない。例えば仕事をしないで二人でイチャイチャだけなら困るが、互いの存在で何かを成し得るならそれは素晴らしいことだ。

「まあ、大丈夫だろう。私も可愛い息子相手に鬼になれるかわからないが、それなりにきちんと教育はするしね」
「そうなのですか?ミント様やローリエ様に怒った姿を見たことありませんが」 
「それは二人がきちんとしてるからさ」
「そうですね。そういえばローリエ様は特に凄いですよね。カリス様の教育の賜物ですか?」
「あの子は・・・ちょっと特別だからね」

転生前の劣悪な環境のせいで幼いうちに社会の闇を見てしまったのだ。それはしっかりもする。俺がもっと早くに転生して二人を救えていたらと真底思うくらいだ。そうすればサーシャをさらに可愛がれたし、ローリエの出産にも立ち会えて成長を見守れたのにね。悔しい気持ちにもなるが、過去ばかり見てるわけにもいかない。ミントとバジル、それにサーシャのお腹の新しい家族の成長には立ち会えるのだ。それを喜ぼう。

「そういえば、その首のネックレス綺麗だね」
「あ、ありがとうございます。大切な贈り物ですから」
「そう。こちらも仲良しみたいで私は嬉しいよ」

おそらくミゲルから贈られたのであろうネックレスを大切そうに握っているレイナを見ていると、ミゲルが男を見せたことがわかりホッとする。それにしてもこうして他人の恋愛を見ているのはなんだかギャルゲーや乙女ゲーをやっているような感覚になる。まあ、リアルとゲームは別物だけどね。

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