130 / 141
118 王妃様への謁見
しおりを挟む
「珍しいわね。私に会いにくるなんて」
本日は陛下ではなく王妃様に用があったので一人で王城におとずれていた。
「お久しぶりです。お変わりないようで何よりです」
「そちらもね。それでどんなご用かしら?」
俺が用事もなく訪れるとは思ってないからかそう聞いてくる王妃様に俺は頷いて言った。
「本日はご相談がありました伺いました」
「相談?」
「ここ最近、王妃様はセリュー様の変化を感じてるのではないですか?」
そう言うと王妃様は少しだけ眉を潜ませて聞いてきた。
「・・・セリューに何か吹き込んだのかしら?」
「その認識で間違ってません」
「そう、それなら原因はあの侍女かしら?」
流石に勘が鋭い。女というのはこの手の情報に敏感だし当たり前かもしれないが。
「ええ。セリュー様はどうやらあの侍女の好意を受け入れたようですね」
「それで?ローリエさんを王妃として側妃としてあの侍女を娶るなら問題はないわ」
「ええ。しかしセリュー様はあの侍女だけを愛する決心をしたようです」
「なら、王位を捨てるのかしら?いいえ、あの子のことだからまさか・・・」
「お察しの通りかと」
しばらく考えてから王妃様はため息をついて言った。
「なるほど。つまり貴方が今回私に会いに来たのはその協力の申し出といったところかしら?」
「ええ。セリュー様から直々に要請を受けました。そう遠くないうちにセリュー様を王位に担ぎ上げて他の貴族もそれぞれ新たに世代交代をする準備を進めてます」
「そう・・・まあ、セリューが決めたことなら仕方ないわね」
意外とあっさり納得する王妃様に少しだけ拍子抜けするが王妃様は苦笑しながらこたえた。
「ま、もともと今の政治情勢をリセットするのは賛成ですしね。最近は仕来たりだのが多くて王族も肩身が狭いから息子が国を変えるなら協力はしましょう」
「では、侍女・・・メフィの王妃教育の手筈をお願いできますか?」
「まったく、せっかくローリエちゃんに色々教えていたのに無駄になったわね。いっそのこと長男のグレイルの婚約者として嫁いでもらおうかしから」
「留学先でいい人を見つけているかと」
第一王子のグレイル様は現在他国の学園に留学している。もともと王位を継ぐ気はないようで弟に色々と投げてフラフラしているのだろう。
「グレイルならローリエちゃんと相性良さそうだけどね。あの子はセリューのような万能の才能はないけど、どこか貴方にそっくりだしね」
いない人間のことを話していても仕方ない。まあ、グレイル様にローリエが惚れるのかはわからないが、どうなろうとローリエの味方でいるだけだ。
本日は陛下ではなく王妃様に用があったので一人で王城におとずれていた。
「お久しぶりです。お変わりないようで何よりです」
「そちらもね。それでどんなご用かしら?」
俺が用事もなく訪れるとは思ってないからかそう聞いてくる王妃様に俺は頷いて言った。
「本日はご相談がありました伺いました」
「相談?」
「ここ最近、王妃様はセリュー様の変化を感じてるのではないですか?」
そう言うと王妃様は少しだけ眉を潜ませて聞いてきた。
「・・・セリューに何か吹き込んだのかしら?」
「その認識で間違ってません」
「そう、それなら原因はあの侍女かしら?」
流石に勘が鋭い。女というのはこの手の情報に敏感だし当たり前かもしれないが。
「ええ。セリュー様はどうやらあの侍女の好意を受け入れたようですね」
「それで?ローリエさんを王妃として側妃としてあの侍女を娶るなら問題はないわ」
「ええ。しかしセリュー様はあの侍女だけを愛する決心をしたようです」
「なら、王位を捨てるのかしら?いいえ、あの子のことだからまさか・・・」
「お察しの通りかと」
しばらく考えてから王妃様はため息をついて言った。
「なるほど。つまり貴方が今回私に会いに来たのはその協力の申し出といったところかしら?」
「ええ。セリュー様から直々に要請を受けました。そう遠くないうちにセリュー様を王位に担ぎ上げて他の貴族もそれぞれ新たに世代交代をする準備を進めてます」
「そう・・・まあ、セリューが決めたことなら仕方ないわね」
意外とあっさり納得する王妃様に少しだけ拍子抜けするが王妃様は苦笑しながらこたえた。
「ま、もともと今の政治情勢をリセットするのは賛成ですしね。最近は仕来たりだのが多くて王族も肩身が狭いから息子が国を変えるなら協力はしましょう」
「では、侍女・・・メフィの王妃教育の手筈をお願いできますか?」
「まったく、せっかくローリエちゃんに色々教えていたのに無駄になったわね。いっそのこと長男のグレイルの婚約者として嫁いでもらおうかしから」
「留学先でいい人を見つけているかと」
第一王子のグレイル様は現在他国の学園に留学している。もともと王位を継ぐ気はないようで弟に色々と投げてフラフラしているのだろう。
「グレイルならローリエちゃんと相性良さそうだけどね。あの子はセリューのような万能の才能はないけど、どこか貴方にそっくりだしね」
いない人間のことを話していても仕方ない。まあ、グレイル様にローリエが惚れるのかはわからないが、どうなろうとローリエの味方でいるだけだ。
1
お気に入りに追加
4,444
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
【完結】あなたの色に染める〜無色の私が聖女になるまで〜
白崎りか
恋愛
色なしのアリアには、従兄のギルベルトが全てだった。
「ギルベルト様は私の婚約者よ! 近づかないで。色なしのくせに!」
(お兄様の婚約者に嫌われてしまった。もう、お兄様には会えないの? 私はかわいそうな「妹」でしかないから)
ギルベルトと距離を置こうとすると、彼は「一緒に暮らそう」と言いだした。
「婚約者に愛情などない。大切なのは、アリアだけだ」
色なしは魔力がないはずなのに、アリアは魔法が使えることが分かった。
糸を染める魔法だ。染めた糸で刺繍したハンカチは、不思議な力を持っていた。
「こんな魔法は初めてだ」
薔薇の迷路で出会った王子は、アリアに手を差し伸べる。
「今のままでいいの? これは君にとって良い機会だよ」
アリアは魔法の力で聖女になる。
※小説家になろう様にも投稿しています。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる