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71 専属侍女
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新人が入ってから3ヶ月が経過した。3ヶ月ともなれば仕事にも慣れてくるであろう時期に俺は孤児院から連れてきた3人の女の子を呼び出していた。
明るい印象の短髪の少女のミリア。大人しい印象の黒髪のロングのユリー。そして、執事見習いであるミゲルの想い人、大人びた青い髪の少女のレイナ。
この3人を呼び出した理由はそろそろ時期かと思ったからだ。父上や母上も名残惜しそうに領地に戻ってから人手が少しでも欲しい状況なので俺は3人に向かって言った。
「呼び出してすまない。君たちに話があってね」
「えっと・・・私達何かしましたか?」
不安そうにレイナがそう聞いてくるので俺はそれに笑顔で言った。
「むしろこれから色々頑張ってもらいたくてね」
「・・・?」
「えっと、それは一体・・・」
無言で首を傾げるユリーと、純粋に疑問な表情を浮かべるミリア。その二人を見てから単刀直入に言った。
「結論だけ言おう。君たちには私の子供の専属侍女になってもらいたい」
そう言うと3人は思い思いの表情を浮かべてから先にミリアが嬉しそうに言った。
「本当ですか!?」
「ああ。具体的な配属だが・・・まず、ミリア。君はローリエの専属侍女だ」
「ローリエ様の・・・が、頑張ります!」
それに頷いてから俺はユリーを見て言った。
「次にユリーは、長男のバジルの専属侍女だ」
「・・・頑張ります」
静かにガッツポーズするユリー。そして最後に俺はレイナを見て言った。
「最後にレイナ、君は次女のミントの専属侍女だ」
「はい。お引き受けします。ただ、一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「すでに皆さん専属侍女がいますよね?そこに私は必要なのでしょうか?」
「ふむ・・・」
まあ、確かに専属侍女はすでにいるが・・・
「不足の事態やこれからのことを考えたら必要なんだよ。特にローリエはもうじき同年代との顔合わせがあるから忙しくなる。ちなみにミントとバジルも人がいなくなる影響で忙しくなるから覚悟はしておいてくれ」
「わかりました」
「それと・・・この際だから聞いておきたいことがある。もちろん答えたくなければ答えなくても構わない」
そう言うと3人が緊張するのがわかった。俺はそれに苦笑しながら言った。
「そんなに気張らなくてもいいよ。三人は好きな人がいるかどうか聞きたいだけだから」
「好きな人・・・異性でということですか?」
「ああ。私は仕えてくれている者には聞くことにしているんだ。自分の大切なものが何かというのをね」
若干セクハラの気配がするだろうがそんな気は微塵もない。むしろ親心的なものなのであしからず。
その言葉にまず最初に答えたのはミリアだった。
「私は・・・その、いません」
「気になる異性も?」
「その、男の子苦手でして」
まさかの弱点。あれ?もしかしてローリエの百合ルートを俺進めてしまったかと思ったが、それは流石に深読みしすぎだと自重する。
「・・・私もいないです」
ユリーが次にそう答える。口数があまり多くないから多分真実なのだろう。そして俺は最後に肝心のレイナに視線を向けることにした。ミゲルの想い人。流石にここでミゲルの名前が出てくるほど簡単なことはないだろうと思っていると、レイナは少しだけ恥ずかしそうに答えた。
「その・・・います」
「え?本当に!?」
キラキラした瞳を向けるミリアと、恥ずかしそうに頷くレイナ。やがて俺の前であることを思い出したのかミリアは恥ずかしそう元の位置に戻ってから俺はレイナに聞いた。
「私が知ってる名前かな?それとも知らない名前かな?」
「知ってると思います・・・」
「ふむ。同年代かな?」
「はい・・・」
あれ?なんかミゲルが条件的にドンピシャなんですけど・・・気のせいだよね。うん。
「私の知る名前の同年代は1人しかいないが・・・まさか当たっているかい?」
その言葉にこくりと頷くレイナ。え?マジで?レイナとミゲル両思いじゃん!いやまだ確定はしていない。俺はレイナに近づくと耳元でその名を囁いた。
「・・・ミゲル」
びくん!としてからこくりと頷くレイナ。確定!ミゲルさんとレイナさん両思いやんけ!やべーこんなベタな展開ありかよ!
そんなことを思いつつ俺はこほんと咳払いしてから言った。
「このことは口外しないので信じて欲しい。話してくれてありがとう」
「はい・・・」
こうして俺はまた一つ真実を知ってしまった。子供同士の両思い・・・ほんわかしながらも密かに応援するのだった。
明るい印象の短髪の少女のミリア。大人しい印象の黒髪のロングのユリー。そして、執事見習いであるミゲルの想い人、大人びた青い髪の少女のレイナ。
この3人を呼び出した理由はそろそろ時期かと思ったからだ。父上や母上も名残惜しそうに領地に戻ってから人手が少しでも欲しい状況なので俺は3人に向かって言った。
「呼び出してすまない。君たちに話があってね」
「えっと・・・私達何かしましたか?」
不安そうにレイナがそう聞いてくるので俺はそれに笑顔で言った。
「むしろこれから色々頑張ってもらいたくてね」
「・・・?」
「えっと、それは一体・・・」
無言で首を傾げるユリーと、純粋に疑問な表情を浮かべるミリア。その二人を見てから単刀直入に言った。
「結論だけ言おう。君たちには私の子供の専属侍女になってもらいたい」
そう言うと3人は思い思いの表情を浮かべてから先にミリアが嬉しそうに言った。
「本当ですか!?」
「ああ。具体的な配属だが・・・まず、ミリア。君はローリエの専属侍女だ」
「ローリエ様の・・・が、頑張ります!」
それに頷いてから俺はユリーを見て言った。
「次にユリーは、長男のバジルの専属侍女だ」
「・・・頑張ります」
静かにガッツポーズするユリー。そして最後に俺はレイナを見て言った。
「最後にレイナ、君は次女のミントの専属侍女だ」
「はい。お引き受けします。ただ、一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「すでに皆さん専属侍女がいますよね?そこに私は必要なのでしょうか?」
「ふむ・・・」
まあ、確かに専属侍女はすでにいるが・・・
「不足の事態やこれからのことを考えたら必要なんだよ。特にローリエはもうじき同年代との顔合わせがあるから忙しくなる。ちなみにミントとバジルも人がいなくなる影響で忙しくなるから覚悟はしておいてくれ」
「わかりました」
「それと・・・この際だから聞いておきたいことがある。もちろん答えたくなければ答えなくても構わない」
そう言うと3人が緊張するのがわかった。俺はそれに苦笑しながら言った。
「そんなに気張らなくてもいいよ。三人は好きな人がいるかどうか聞きたいだけだから」
「好きな人・・・異性でということですか?」
「ああ。私は仕えてくれている者には聞くことにしているんだ。自分の大切なものが何かというのをね」
若干セクハラの気配がするだろうがそんな気は微塵もない。むしろ親心的なものなのであしからず。
その言葉にまず最初に答えたのはミリアだった。
「私は・・・その、いません」
「気になる異性も?」
「その、男の子苦手でして」
まさかの弱点。あれ?もしかしてローリエの百合ルートを俺進めてしまったかと思ったが、それは流石に深読みしすぎだと自重する。
「・・・私もいないです」
ユリーが次にそう答える。口数があまり多くないから多分真実なのだろう。そして俺は最後に肝心のレイナに視線を向けることにした。ミゲルの想い人。流石にここでミゲルの名前が出てくるほど簡単なことはないだろうと思っていると、レイナは少しだけ恥ずかしそうに答えた。
「その・・・います」
「え?本当に!?」
キラキラした瞳を向けるミリアと、恥ずかしそうに頷くレイナ。やがて俺の前であることを思い出したのかミリアは恥ずかしそう元の位置に戻ってから俺はレイナに聞いた。
「私が知ってる名前かな?それとも知らない名前かな?」
「知ってると思います・・・」
「ふむ。同年代かな?」
「はい・・・」
あれ?なんかミゲルが条件的にドンピシャなんですけど・・・気のせいだよね。うん。
「私の知る名前の同年代は1人しかいないが・・・まさか当たっているかい?」
その言葉にこくりと頷くレイナ。え?マジで?レイナとミゲル両思いじゃん!いやまだ確定はしていない。俺はレイナに近づくと耳元でその名を囁いた。
「・・・ミゲル」
びくん!としてからこくりと頷くレイナ。確定!ミゲルさんとレイナさん両思いやんけ!やべーこんなベタな展開ありかよ!
そんなことを思いつつ俺はこほんと咳払いしてから言った。
「このことは口外しないので信じて欲しい。話してくれてありがとう」
「はい・・・」
こうして俺はまた一つ真実を知ってしまった。子供同士の両思い・・・ほんわかしながらも密かに応援するのだった。
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