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19 え?王族って天才の見本市?(私以外は)

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「ん?あれは········」

ある日の午後、リアに悪戯出来たことでホクホクしながらお気に入りの場所に向かうと、そこには先客がいた。

「ルーイ。何をしてるんだ」
「え?あ·······兄さん」

そこにいたのは我がグリム王国の第三王子のルートヴィッヒ・グリム·······まあ、俺の弟だ。愛称はルーイ。最近は忙しくてあまり会えてなかった弟は何かを隠そうとして俺だと分かるとホッとしてそのままにした。なんだ?

「何かしてたのか?」
「その·······皆に言わない?」
「ああ。約束しよう」
「あのね······これ」

そうして見せてきたのは近くの花壇を描いた絵なのだが········え?何このクオリティ。弟にこんな才能あったの?

「凄いな·······上手じゃないか」
「そう······かな?」
「ああ。少なくとも私が知る中では1番上手いと思うよ。でもなんで秘密に·······って、ああ、そういうことか」
「·······うん。お父様こういうの嫌がるから」

厳格な我が父は王族が······ましてや男がこの手の絵を書くのをあまり良しとしない。まあ、偏見だよね。だから隠そうとしたのか。

「ふむ·······ルーイよ。父上は私が説得しよう。だからこれからは堂々と絵を描きなさい」
「·······いいの?」
「ああ。お前は絵の才能がある。それに絵を描くの好きなんだろ?」
「うん·······」
「なら決まりだ。今から説得してくるから」

そう言って移動しようとすると、その前にルーイは俺の手を掴んで言った。

「あの······僕も一緒にいい?」
「ふむ、そうだね。絵を持って一緒に来てくれ。その方がスムーズに説得出来そうだ」
「わかった」

俺の言葉に素直に頷くルーイ。リアのためでもないのに何故こんなことをするか疑問に思う人もいるだろうけど······これも、リアの虫除けの一環なのです。

 ルーイがそっち方面に手を伸ばせば少なくとも乙女ゲーム関連には絡んでこない。それにこうして兄として色々していて好かれればその婚約者に手を出そうとすると罪悪感が生まれる。

まあ、それが快楽に繋がらないとも限らないが········少なくともルーイはその手の感情で女を抱けるようには育たないだろう。どんなにリアが可愛くて綺麗でも兄のもの。手を出すなんて恐れ多い的な感じになれば御の字だろう。

そんな黒い企みを知らずに嬉しそうに俺の後ろを歩いてくるルーイ·······まあ、弟も悪くはないな。



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