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おまけ。

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 ※ヴァンパイアキングとサキュバスクイーンの会話※


「ちょ、マジか。」

「マジねぇ~。」

「あーんなに元勇者ちゃんのことぉ、『始末した』とか言っていたのにねぇ~。」

「それはアレですか、『魔王』という職業柄『勇者』とは婚姻を結べないと言う、神の契約が『魔王』には植え付けられているから、でしたか。」

「そうなのよね~。創造神でしたかしらん、余計なモノを『魔王』の魂に受け付けてくれちゃって、ちっとも進展しないと思って焦れていたのにぃん。」

「『勇者』が『元勇者』になって名前を名乗った瞬間、『魔王』の中にあった契約が解除されて魔王ちゃんが素直に応じた、と。」

「いや~ぁん、私の可愛い魔王ちゃんが~!」

「焦れて居たのでは無かったのですか?」

「それとコレは別問題よぉ~、まぁでもん、元勇者ちゃんをこれから何時でも突っつけるからいいわぁ~。」

「それにしても、『魔王』の創造神が付けた契約、多すぎて面倒ですね。」

「そうよねぇ、他の魔族や魔物よりなーんでかしらんって位多いわねぇ~。何せ『あかざ』と対は『しろざ』で無いと婚姻は認めな~いでしたわねぇん。」

「それを今回偶然にも元勇者は名乗って『魔王』との婚姻を得られたワケですが。」

「『しろざ』と言う名前でスイッチ入っちゃったわねぇ、魔王ちゃん。」

「元々勇者のことを気に入っては居たみたいですよ?何だかんだ言って【許して】いたようですし。」

「そうねん、あんなにも最初は痛がったりしていたのにぃ、身体は許していたわねん。」

「アレですか、これも神の御業…げふ、似合わないことを言ったら吐血がっ」

「ヴァンパイアキングが言う言葉では無いわぁ~まぁ、私もだけどん。」

「それにしても人間至上主義国、名を…ビルドゥングでしたか。妙な動きですね。」

「あーん、面倒だわぁ~。ほっといたら此方にも飛び火するかしらん?」

「しそうですね。しかし、薬剤だか毒だかの知能低下ですか。まるで…いえ、不確かなことは言うべきでは無いですね。」

「そぉ~ぅ?でも何となくはわかるのでしょ~?」

「まぁ、そうですね。でも先ずは情報収集ですね。どうせ明日は魔王ちゃんは午前中起き上がれないでしょうし、その間に調べておきますか。」

「そうよね~ぇ。それじゃぁ、私は一族使って寝技で仕留め…精気集めつつ、他国からも情報を得るわねぇん。」

「ええ、お願いします。サキュバスやインキュバスは床や夢で得る情報が多くて助かります。」

「ウフフ、我が一族の本領発揮ですものぉん。じゃ、後は任せるわ~。」

「ええ、お願いします。」




 その場でバフンっと大きな音を立てて大量の蝙蝠に変化し、扉を開けた窓から一斉に飛び出して一匹ずつ飛び出して往くサキュバスクイーンを見詰め、ヴァンパイアキングはさて、と思案する。

 嫌な予感がするのですよねー…と思いつつ、その顔には笑みが浮かぶ。


「最近旦那の精気ばっかりで飽き…ては居ませんね、大変満足していますし。ですが久しぶりに生き血を飲みたくなって来ているのですよ、フフ。」


 コツコツと足音を立てて長い魔王城の廊下を歩く。
 白一色の魔王城の壁を眺め、数本の己の髪の毛を抜いてフッと息を吹き掛けると、途端に数匹の金色の小さな蝙蝠が一斉に湧き出す。だが徐々に金から黒色へと変色して行き、その目の色も黒色から赤色にと変わる。


「さぁ、可愛い我が下僕。君たちに仕事を上げよう。先ずは配下へと言付けを頼むよ。その後は…そうだね、ビルドゥング国の高位貴族の成れの果ての見張りと因果関係を洗ってきておくれ。くれぐれも敵対者には見付からないように、ね?」


 さぁ、行きなさい。

 この言葉の後に一斉に飛び出して行く下僕達を見詰め、ヴァンパイアキングは独りごちる。

「まさか『勇者』の前に誰か召喚して居ないでしょうね?もしくは『勇者のオマケ』とか…。」

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