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5章 今日も周囲も人間関係もゴタゴタしていますが、国内の紛争やら暗殺やらで物騒な最中、恋人が出来て戸惑いつつも鑑賞致します。
閑話 和やか?
しおりを挟む可愛いは正義。←
(前回も一部それっぽかったのは秘密…)
* * *
「特に要らぬ」
「うわ~見事に素っ気無い。少なくとも君達には有効な情報だと思うけど?特にアナジスタ国の第2王子であるユウナレスカ君にはね」
「スタンピードは端から見ればウィックロー国の王子が連れて来た。キャメロン殿は『表向き』は国王が歯牙にもかけぬ相手、果たして重要と言えるか?」
「成程ね。だけどキャメロン嬢の死には不審な点が多いって知っているかい?」
「言いたいことは分かるが噂程度のものには信憑性がない」
「へぇ、では君は真実を知っていると?」
うへぃ。
何故ソコで二人共此方を見るかなー。
見ないでー、出来たら見ないでー。
私は傍観者、もしくは壁。
見ざる言わざる聞かざる…何だったっけ?おさるがウキーって耳を塞いだり目を閉じていたり、口を押さえていたりしていた筈。
その場合だとウキーって口を閉じている猿は喋らないか、うんうん。って、日●東照宮で見た気がするけど、猿より眠り猫のが可愛かったなぁ~。
うっかり意識を何処かに飛ばして居ると、何故かアレス様とジン様の両名は肩を竦め、
「百面相をしている彼女を見ているのは面白いと言えば面白いけど、彼女に聞かせる会話では無いから此処で打ち切りかな」
「…だな」
うん、何故かな~。
二人の目線がとっても痛いのですけどー。
気を飛ばして居てもいいじゃない。だってこの話に私は関係ない。私は壁―私は空気―むしろモブ。え、モブの癖に存在感がある?それでは置物って事で。
部屋の隅にある花瓶―私は花瓶なのよー。
「…やっぱり面白い人だな、彼女」
「だろう」
何故ソコでアレス様が同意するのか。
そして何処が面白いと言うのか。
「私は花瓶って言っている辺り」
「だな」
…どうやら口に出して居たようで。
うわ、何それ恥ずかしい!と言うか確りしてレッティーナ!一応、身分は男爵令嬢なのだからはしたない事しないように!って、ビンセント先生に言われているのについつい癖が!
考えていることを時々ポロッと漏らしてしまうのよねーって、駄目だめ。
お口チャックー!
「…黙っているとつまらんのだが」
「…」
いや、そこで口開けって鬼ですか、そうですか。鬼ですね。
もしかして兄さんより鬼じゃない?
そしてアレス様、無言で頷くって何故ですか。
何故敵?の真っ只中でも冷静に、何食わぬ顔をしているのですか。
無言の圧力何気にキツイいんですが。そして何故此処で私が二人の相手をしなくてはならないのっ。
「ちょっと、そこの美少女、じゃなかった可愛い美少年ヘルプ!」
言われたご当人ではなく、何故かアレス様とジン様が此方を見たよ。
お前ら普段から美少年とか言われ過ぎて慣れ過ぎだろう!ちょっとはそこの愛らしい美少女じゃなかった美少年を見習え!そして敬え!尊べ!そのキョトンとして「え、誰が?」と言った風な感じでキョトキョトしている狐獣人の子を!
「え、もしかしてボク?」
「もしかしなくても美少女じゃなかった、美少年は君です」
ヒェッと一言喋って驚いた様に瞳を見開いて固まっている子の狐尻尾がボワンと膨らんで、思わず「わぁ、可愛い」と漏らしたらその子が赤面した。
おお、もっと可愛らしい。
めごかああああ!
…はっ!
ついアレイ領方言再びと思って正気に帰ったら、ジン様はお腹を抱えて大笑いしており、アレス様は口を抑えて笑いを堪えていた。
「ボ、ボクその、人族の女の子に初めて可愛いって言われました…ですがあの、もしかして何度も言っているってことは、ワザと言っているのですか?ボク、女の子じゃないです」
いや何度もじゃなくて二度だけどね?
とは訂正はしない。しないけど、可愛い君が悪い。
謝るけど訂正はしないし美がついちゃう程なのだから、ソコの所は自覚して欲しい。
「どうしましょう若、ボク人族の女の子に容姿で褒められたの、今日が初めてで」
「…早速落とされたか」
「ぶふっ」
イヤイヤイヤ、きっとユリアも居たら同じ様に言うと思うよ?
と言うか、落とされたって何がですかね?アレス様。そして相変わらず爆笑しているジン様。君は笑い上戸か。両目に涙まで浮かべてって笑い過ぎですよ。
「あーおっかしい。久し振りに大笑いしたな、隣国だと程々笑って過ぎせたけど、こういう風な感じは中々無かったから、うん。成程」
何が成程なのよ。
と言うか、だ。
この部屋異様なのですけど。
所謂『美』が付いちゃう人が多すぎるのだ。
あ、はい。下げている人は勿論居ます。って、私ですよっ!
モブだから当たり前だけどね。
美が付いちゃう美少年、いや美青年かな?な、隣国のジン様。
同じく美が付いちゃうけど、乙女ゲームでは『殺人鬼』で『精神的にいちゃって』ているはずの『ヤンデレ』なアレス様。
そのアレス様を『若』と呼んで付き添っている美少年。
……。
何だろう。
何となく御免ニキって言いたくなった。
浮気とかそう言うのではないよ?
何がって容姿。
そう、私の容姿。
か、可愛い方だと思うのだけど、美しさとかとは違ったベクトルがね、もう、この三人様に囲まれると泣きたい。自信なんて無くなるわよー!
くっ…と言って、壁に張り付きたい気分だ。
家に帰ったら絶対に家のメイドさん達に美容について聞きまくろう。無論ユリアにも聞かないと!それと、アドリエンヌ様にも!ぐぅぅ…絶対に少しでも美しくなってやるのだから!
ニキ!大人になったら絶対にキレイって言って貰えるように頑張るから!
問題は無事に帰れるかどうかなのだけど。
か、帰らして下さいな。切実に。
「若、これが落とされたと言うことですか?」
「ドム。このレッティーナ嬢は無邪気で無垢だぞ。だが、相手を無意識に落とす凄腕だ」
「成程」
成程じゃねーっ!
そしてソコ!ジン様!今度は膝追ってヒーヒー笑い出して居るよ!って、この人本当に笑い上戸だな。折角のイケメンなのにイメージダウンしちゃっていますよ?
「ちょっと!勝手なこと言わないで欲しいのだけど。私そんな子じゃないわよ」
無意識に落とせているって言うのは無理だから!
「ニキにケイン、それに悪友らしいが一歩間違えればユウナレスカ様。それに最近だとガーフィールド様、女性陣だとユリア様にニキの所の領地に居るメイドのカトレア。それと…随分と信頼を勝ち取ったニキ専属の執事のグラシアだな。そう言えばコリンも懐いているだろう?後はアレイ領民達等も報告に上がっている」
報告って。
「うわ、アレス様何故そんなに私のこと知っているんですか…」
ストーカーみたいでちょっと…
「引くか?だがユウナレスカに近付く者は全て下調べが付いている。最もユウナレスカ様の場合、甘菓子で自分から接近したようだが」
あ、後半呆れて話しているし。
確かにレスカ様、相当な甘党だものね。しかも結構グルメの。
「何時の間にかレッティーナ嬢のお菓子を作る日をチェックしていて、そうこうする内にカフェテラスに通い詰めるようになった」
「それは世に言う『アレ』ですか?女性が意中の人に使うという、『男の胃袋をつかめ』って奴ですか?」
『アレ』って何ですか。
と言うか…
「私は仕事をしていただけです」
お給金が発生していましたからね?生活の為ですからね?
元貧乏男爵家の三女としては、少しでも稼ぐ為に働いていただけですよ。
別に胃袋をつかむような真似はしていませんよ?
「まぁ、そうだな。だが結果としてユウナレスカ様の胃袋をつかみ、信頼を獲得した。非常に珍しい女性だと言えるな」
うーん、それ別に必要としていたわけではないのですが。
と言うかね、学園の厨房に入った理由はあくまでも『乙女ゲームの世界の人々が繰り広げる世界』を覗けたらと言う、私の願望のためですから。
お蔭でエライ苦労していて、しかも何故か今隣国の船に拉致されて乗せられて居ますから。しかも監禁ですよね、先程よりも随分と緩い環境にはなりましたけど。
と言うか何だかワケがわからない状態で和やかに過ぎていますけど、良いのかこれで。
10
◇◆◇◆◇ 更新中のお話 ◇◆◇◆◇
新作 BL ※ とある商店街のお茶屋さん
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/192520360
BL ※ ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/488408600
NL ※ 今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/571182846
宜しかったら見て頂けると嬉しいです(*´ω`*)
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