今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】

柚ノ木 碧/柚木 彗

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5章 今日も周囲も人間関係もゴタゴタしていますが、国内の紛争やら暗殺やらで物騒な最中、恋人が出来て戸惑いつつも鑑賞致します。

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「え?ええ?アレス様がどうして此処に!?」

「助けに来たからでしょ、愛しのお姫様の君を」

 ジン様それ言ったら何ともカントモ。
 とても複雑な気分になりますが。
 だって相手は…いや、ここは現実世界だから設定が違っているのかも知れない。それでも私は彼のことを危険人物だと思っているし、警戒している。
 それに知らない相手だから…名前程度には知っているけど。
 兎に角乙女ゲームのストーリーを覚えている私としては是非避けたい相手なのですよ、しかも全力で。

「面白いね。助けに来た相手に君、全力で拒否されているよ」

「ほっとけ」

 因みにあれから。
 女性隊員とジン様は呼んでいたけど、何処かの「イー」とか言う?戦闘員を思い出してしまったけれど、ソレとは当然違う。隣国であるウィックロー国の兵士の格好をした女性と騎士の格好をした女性達5名がそれぞれ品を手にし、牢屋を訪問。図々しくもそのまま私の着替えを覗けると思ったのか、堂々と椅子に腰掛けて居たジン様を一人の女性陣が蹴り飛ばして廊下に放り出し、

「お兄様最低です」

 と延々とジン様は廊下でお叱りを受けていた。
 …どうやらジン様の妹か義理の妹か分からないけど身内のようですね、はい。

 そのスキに着替えようとしたのだけど、ハッと我に返って周囲を見渡してみても先程まで居たアレス様の姿は幻のように消えていた。
 それなのに。
 着替え終わって周囲の環境が悪い!と…いや、本当に環境は悪いのだけど。何故かお怒りのジン様の妹君?がプリプリと「仮にも貴族の女性にこのような仕打ちを」と怪我の治療を丁寧にしてくれて、更には劣悪だった環境からかなりマシな場所に移動させてくれた。
 感謝!!

 なお、先程の環境は此方。

 ・壁に吊るされたレナ。
 ・鉄格子。
 ・窓にも鉄格子だったが、吊るされていたので見えていない。

 以上。
 ベッドもトイレも何もない劣悪な環境でした。
 そして何と私、その場所にまるっと2日間意識を失っておりましたとさ。

 …ねぇ、もしかして意識を失っていた原因って吊るされていたからじゃない?せめて横に降ろしてよ!鬼畜過ぎだろうがこの待遇。
 そして私の装備、ボロボロの衣服。
 冷えて体調悪くなっていたのではないでしょうか…

 そのまま放置しろと言い放ったのがアレクサ様だと聞いたので沢山「オノレ…」とハゲの呪いを掛けて置くことにします。しかも念入りにね!
 今の私にはコレしか出来ないからね。

 更にどうでも良いことなのだけど。
 案内された部屋(鉄格子付きだけどベッドやトイレにお風呂付き。豪華かも?)に通されて、温かいスープと食事も出されて安心しきって居たらさ。
 捕虜の監視という名目でジン様が人払いをし、鉄格子の向こうに椅子とテーブルを置いて座った途端、目の前にアレス様+少年1名が忽然と現れた。

「…は?」

 しかもアレス様優雅に紅茶を手にして椅子とテーブルに座っているし、少年は此方も優雅に給仕をしている。一瞬此処何処でしたっけ?学園の厨房(カフェテラス)でした?と混乱してしまったよ。

「で」

 いや、何が「で」なのですか、アレス様。
 一言言えば言ってものではないでしょうに。
 突然現れ、しかも話した言葉が「で」だけだよ。察してくれとかいう言葉は必要ないからね?

 同じく鉄格子向こうでジン様が目を真ん丸にして此方を眺めているけど、すぐに気を取り直したのか背筋を伸ばしてアレス様を見つめ、

「さっきの君は幻かと思っていたのだけどね」

「幻ではない」

「ふ~ん。という事はアレクサが言っていたアレスの魔法か」

「さあな」

 そんな剣呑な台詞の最中、何処か優雅にお茶を飲むアレス様に対し私は呆然としたまま。
 ジン様アレクサ様もそうだけど、アレス様も『様』を付けて言わないのかそうなのか。ワザとやっているのはわかるけど、それで良いのか。
 いや良くない。

「お嬢様もどうぞ」

 と言われてアレス様と共に出現した少年、紅茶が入った湯気が立つカップを目の前に置く者の顔を見上げると、

「その節は有り難うございます」

 はい?えーと…私なにかした?
 もしくは何か仕出かした?
 ヤバイ、記憶がない。
 やらかしたとしたらモニカ様との合同でやらかしたことかな~うん、それしか心当たりが無い。レスカ様にやらかした事なのだけどね?

 レスカ様に何をやらかしたのかは、説明をすると…
 ユリアに付いていたレスカ様特製製品。発信機っぽい魔道具をグシャっと踏んづけてからポイしちゃった事だ。その後モニカ様は何故か「ウフフフ…」と笑って燃やしていた。いや、正確には消し炭である。多分その時のモニカ様は鬱憤が溜まっていたのだろう。顔がちょっとばかり怖かったのはそのせいだ、うん。きっとそう。

 …怖かったよぅ!!

 そしてあの王子、まーだストーカーする気満々か。帰っても似たようなものがあったら今度こそユリアにチクってしまうコト決定。
 全く、第二王子の癖に反省しない奴。

 と言うより帰ることが出来るのでしょうかね?
 目標は帰国。我が本国アナジスタへ。そしてロメイン王都へ!
 でないと…兄さん暴れそうだよねぇ…。戦争とか仕掛けそうで怖いよー率先して無双しそうで怖いよー嬉々として先陣切りそうで怖いよー。
 何だか色々やらかしそうで怖いんですよ、我が兄ジーニアスは!

「お恥ずかしながら、港町カモーリにて薬品を嗅がされて人攫いに攫われた者です。その節は救って頂き有難う御座いました」

 おお、違っていた。
 少し考えたら無関係なことわかるのだけど、如何せんレスカ様関係の事柄が多すぎて考えるコトを放棄しすぎていたよ。
 そしてあの時の子かぁ。
 顔を見ていなかったから分からなかったけど、成程獣人さんでしたか。
 そして可愛い。
 愛くるしい。
 やだなにそのフサフサ尻尾に黄金色の美しい毛並み。更には頭に生える大きめのお耳。

 かんわぃかーっ!
 めごか!耳とか尻尾とか、時折フリフリしていてかわゆかーーーっ!
 めご(可愛い)っこかあああああっ!

 …ヤバイ暴走した。
 ついアレイ領の方言出ちゃったよ。
 アレイ領の方言って独特で、前世で言う所の東北弁と北海道弁が混じっていて、更にジージ達が入って来てから独特な訛りも混ざって居るようなのよね。
 何処の混ざりなのかなと長い事思っていたのだけど、王都に来てから判明。
 王都の下町って『江戸なまり』と『横浜弁』が混ざった状態だった。その言葉にアレイ領の言葉が混ざるから、混線具合も酷いモノ。
 現に今も脳内で『チクショウ!めご過ぎだべー!わ(私)、かったるく(ダルく)なるまで言うぞ!てぎ(面倒)だけど、大声で宣言!ちゃぺ(猫)かわいかー!』って言いたくなる。
 まぁ言わないのだけどね。脳内だけで思って消費。うんうん。

 ヤバイわ。
 それだけ可愛いのですけどね、この目の前の狐かな?な獣人少年君が!
 そして何故だ。目の前に居るアレス様が口に手を当てて笑ってらっしゃるって、この人こういう風に笑うのか。へーほーへー。
 目を細めて冷めた目でアレス様を見ていたら、

「成程、君はその様にドミニクを見るのか。ク、クク…」

 と言って笑ってらっしゃる。
 別にいいじゃない、可愛いのだからさーとは言わないけどね?
 可愛いは正義なのですよ?

「アレス、君はよっぽどその魔法の特性を私に教える気は無いという訳だね」

「言わなくてもわかるだろう」

「はいはい、そうですね。だとしたらこう言っておこうか」

 うん、何でしょ?
 此方の方へ向けていた視線から背け、アレス様はジン様を睨みつけて居ます。と同時にめごかー…コホン。狐獣人の少年もジン様の方を見ていますね。

「王都でのスタンピード及び妾のキャメロン嬢暗殺の顛末。ど?対価としては十分良いい情報ではないかな」
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◇◆◇◆◇ 更新中のお話 ◇◆◇◆◇
新作 BL ※ とある商店街のお茶屋さん
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/192520360

BL ※ ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/488408600

NL ※ 今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/571182846

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