今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】

柚ノ木 碧/柚木 彗

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3章 今日も学園はゴタゴタしていますが、何故か苗字が変わってしまってコッソリ鑑賞出来にくくなる様です。

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「「「何だってっ!!」」」


 ディラン兄さんと同じ様にジーニアス兄さんに私とニキ様の三人が勢いよく共に席を立ち、椅子が大きな音を立てて後ろに転がって行く。

 その事に目を丸くし、驚いた様に目を見開いて此方を見詰めて来るディラン兄さん。


「兄さん、デュシーの居場所を知ってるのかっ!?」


「ディラン兄さん!姉さんと赤ちゃんは無事なの!?」


「おい!何故今迄黙っていた!」


 思わず三人で詰め寄ると「え、え、ええ?」と動揺するデュラン兄さん。

 動揺するのは良いけど、姉さんと赤ちゃんは無事なの~!?


「落ち着け三人とも。椅子を直して先ず座れ」


 レスカ様に呆れられた顔で見られたけど、落ち着けないよ~っ

 と思ってイタラ、グラシアさんがあまりにも黙って居て、部屋の隅に執事然として気配を消して居たからすっかり忘れてたけど、「なんと」って小さく呟いて驚いてるし。

 彼も彼で姉さんの事心配してくれてたみたい。

 ありがとう。


「僕達はレナのお姉さん、デュシーさんを探しに学園の夏休みを利用して長旅をして来たんですよ」


「王都からロドリゲス家の領地への往復旅だったが、残念ながら見付からなかったがな」


 ケイン様が落ち着いた風に話し、最後にニキ様が答える。

 その後王都のスタンピードに見事に巻き込まれ、残念ながら姉さんを探す所じゃ無くなってしまっていたんだけどね。何せ私怪我をして気を失い、数日動けなくなって居たし。

 それでもジーニアス兄さんが時間がある限り探して居た様だったんだけど、その目を掻い潜って一体どう潜り抜けて来たのやら。


「え、普通に門から入って来たけど」


 って、ディラン兄さんそんな普通に言わないで欲しい。

 ジーニアス兄さんが思いっきりガックリと項垂れているじゃないのっ。

 そしてグラシアさん、「王家関係でゴタゴタしてましたから、門番もちゃんと見て無かったとか?」と。

 それって駄目なんじゃあ…


「デュシーは教育を受けて居ないから、文字がまともに書けない。本人が王都に入る際に身分証が無いからって書類を渡されて、書面に一生懸命書いて居たが、あれはなぁ…。横から見たら”じゅしぃ”って書いて居る様に見えたからな…」


 何となく一同沈黙してしまったのは仕方が無いと思う。

 そしてジーニアス兄さん、「それ、意外と多いんだよな」って頭抱えて居るし。代理で名前書こうと申し出ても、書面に書く当人が自分で書くと言えば間違った文字でもそのままで受理されてしまう。

 今回はその問題点に当たってしまったらしい。


「今度からもっと徹底的に教育させないとダメだな」


 ブツブツと名前も口頭で確認させるとかもしないと、等と言い出して居る辺り、恐らく門番もしたことがあるんだろうなぁ。

 ジーニアス兄さん、お疲れ様です。












 急いで茶店を後にし、大慌てでデュシー姉さんが居ると言う宿に馬車を走らす。

 向かった途端当人が不在と言うアクシデントがあったが、赤ん坊が泣き止まず、泣き声で宿の人達に迷惑を掛けてしまうからと寝かし付けるまで周囲を散歩していた事が判明。

 無事赤ちゃんを寝かし付け、帰宅したデュシー姉さんと再会した。

 その際ジーニアス兄さんが涙ぐんでしまい、私も釣られて泣いてしまった。


「あらあら、うふふ」


 って相変わらずおっとりしたデュシー姉さんに安堵したけど、その容姿の変わり様に二度見して更に泣いてしまった。

 元は綺麗な栗色の髪だったのに、苦労したのか栄養が不足していたのか。まだ16と言う若さなのに、やつれて白髪頭となって居る。


「これでも大分マシになって来たんだ」とデュラン兄さんが言う。会えなかった年月を考えても、発達不足気味な身長と肌の艶の無さとやつれ具合に、どれだけ酷い環境だったのかが窺える。


「デュシー俺のとこに来い」


「あらあら、ジーニアス兄さんってばまるでプロポーズみたい」


 ぶっ!と吹き出すジーニアス兄さんとディラン兄さんに苦笑する私。

「レナちゃんの兄妹って何時もこんな感じなの?」とケイン様に苦笑されながら聞かれ、ユウナレスカ様は「そうか、そう言うプロポーズの言い方もあるな」とか一人ご満悦をしていて、ニキ様はその様子に苦笑して居た。

 いやいや、ジョークですからね?









 * * *









「は~…」


 今は綺麗になったガルニエの屋敷に私達、館の主である元アレイ家の三男、ジーニアス兄さんに現アレイ家の次男のディラン兄さん、そして次女のデュシー姉さんに私は呆然と玄関に佇む。


 いやさ、広いんだわ。

 軽くアレイ家の実家が一件まるまる入ってしまう玄関ってどうよ。それ所か敷居も込みでも余裕で余っちゃうし。むしろソレが当たり前なの?前世の知識を総動員しても、玄関だけでこんなに広いのはテレビでやっていた一部の芸能人の家ぐらいで、他は見た事無いのだけど。

 でもニキ様の領地の家は充分大きかった気がする。

 キチンとした装飾品があって荘厳な感じがしていたけど、このガルニエ家みたいに何も装飾が無い状態の玄関だと異様な広さだけが感じられてしまう。


「まぁ~どうしましょう、赤ちゃんがハイハイし始めても、ここで十分遊ばせることが出来るわね」


 やらないでね、この玄関すぐソコに登り階段があって危険だし。

 と言うかこのお屋敷、一体何階まであるのだろう。表からは三階まで窓があったから一応三階は最低でもあると思うけど、三階の天井が高い設定でも無い限り、天井部屋とかありそうなんだよなぁ。物置とかでもあるのかね?


 それにしても何も無い玄関だけど今後飾りとかも付くだろうし、そうなると赤ちゃんを遊ばせるのは…いや、それ以前にどうなんだって気がするけど。


「玄関だけで実家が何件入るかな…」


 ディラン兄さんが遠い目をして呟いて居る。


「二件は入りそうだな」


 狭かったものね。

 特に女子の部屋がさ。


「はは、カイデン兄さんが見たら嫉妬するか嘆くだろうな」


「それ以前にあの人は領地から出て来ないだろ」


「確かに」


 父であるカルロスが絶対に後継ぎとして手放さないだろうし、何よりカイデン兄さんも親父ソックリの思考をしてるから領地から決して出て来ようとはしない筈。

 お金が掛かるって言うだろうしね。

 実際領地から出ると移動は兎も角食費とか掛かるし、何より旅支度と言うのも費用が掛かる。私の場合は日頃コッソリと貯め込んだ、領地で自生している木の実とかを集めていたからそれを持ち出して行ったけど、他の兄姉達は如何したのだろう。


 ああでも、意外と欲深いカイデン兄さんはこの屋敷を見たら寄越せって良いそうだよね。もしくは資金繰りに苦しいから多少寄越せって良いそう。父も同様だけど。

 それを母様は止めるんだろうなぁ…うん、見て無くてももうね、簡単に想像出来てしまうのが恐ろしい。


 兄二人と姉さんとこの場で「この屋敷は実家には”聞かれない限り”秘密」として置く事約束をした。そうでないと不慣れなジーニアス兄さんが今後実家の資金繰りに翻弄されるのは火を見るより明らかだし、ディラン兄さんが「規模とか決して伝えない方が得策」とキッパリと言い捨てる辺り、実家相当キツかったんだろうな。

 次男で私達女姉妹よりも大事にされて来た筈のディラン兄さんがコレだもんね。


 それよりデュシー姉さんは一体どうやってゲシュウ・ロドリゲスから逃げて来たのだろう?


「姉さ…」


「スイマセンお館様にお嬢様にお客様。掃除が今やっと完了いたしました」


 ふと気が付いたらレスカ様に連れて来られたメイドさんや使用人風の人達が一斉に玄関に…ええ~と、20人程の人数が十人ずつ両脇に別れ、



『お帰りなさいませ』



 あ、えーと…ええ~~~っとぉぉ…

 圧巻。

 悪漢でも悪感でもなく圧巻。

 漢字間違えて無いよ?

 ジーニアス兄さんまでも目を見開いて居るし。

 と言うか兄よ、王城とかに普段仕事で入るのだから慣れて居ないのかね?ん?一騎士でしかないのだからこんな風に大勢に頭を下げられた事は無いって、へーほーんじゃ少数ならあると。


「そりゃあ仕事ではな」


 成程納得。曲りなりも騎士だしね。


 如何したら良いのか分からず私達兄妹が玄関で固まっていると、突如背後の玄関ドアが開き―…


「何してるんだ?」


 ひょっこりとユウナレスカ様にニキ様、ケイン様がグラシアさんを伴って現れた。











「成程戸惑っていたのだな」


 口元に手を添えているけど笑っているのは誰が見ても明らかですよ、レスカ様。そう言う風に見ると「すまん」と謝ってくれる。それでも苦笑するのを止め無い辺り、よっぽど可笑しかったんだろうなぁ~。


「何せ貧乏田舎男爵家だった為、この様な屋敷に足を踏み入れた経験が皆無なのですよ」


 いやぁお恥ずかしいと言う兄のディラン。


「ふむ、そうか。そうだな、そう考えると申し訳無い。此方こそ悪かった」


「いえいえ」


 一件和やかな雰囲気が漂って居ますが、今奇妙な状態になって居ます。

 何せこのお屋敷、家具があまり置いて無い。

 幾つかはあるのだけど、一部敷居内にある物置小屋や部屋に幾つか家具を置いてあり、また置いてあっても長い年月で風化して痛んでしまって居るのもあるらしく、使えるのとそうで無いのがあるらしい。

 そんなワケで只今『応接間』らしきカーテンは辛うじて掛かっている部屋で、使える椅子やソファー等をレスカ様の使用人達が物置から持って来てくれた。

 ただその椅子の種類が揃っておらず、非情に変な偏りを見せて居る。

 ちなみに一番高そうな一人掛けソファーに問答無用でレスカ様が掛けて居り、ついで三人掛けの皮張りのソファーにニキ様とケイン様が腰掛けて居て、ニキ様の背後にはグラシアさんが付き添っている。

 兄二人はこれまた別の椅子、多分ビロードの様な二人掛けのソファーに腰かけて居る。

 そして私はメイドさんが持って来てくれた椅子。

 恐らく化粧用に使う椅子なんじゃないかな~と思うんだけど、木で出来た猫足のカーブが掛かった椅子で背凭れは無いけど何処と無くアンティークっぽくて可愛い。チラリとレスカ様が私が腰掛けた椅子に目をやり、「ほぅ」と声が出た。

 …もしかしてこれ、結構お高いんじゃないだろうか。


「あ~それ、有名な家具職人の椅子だね。よく痛みもせずにとってあったね~」


 ケイン様、有名な家具職人は知らないけど「ちょっと欲しい」って。

 なんなら売りますよ?兄が良ければだけど。でもちょっと私の部屋に置いときたかったなぁ、可愛いし。


「ううん~、それ今の僕だと購入出来ないや。一脚だけでも数千万ゴルするし」


 ぶふっ。

 凄い高かった!そして私のお給金なんかでは買えなかった!

 そして今のって、そうか跡を継げば買えるって事ですね!


「…レナ、叔母であるモニカにはそれ為るべく見せない方が良い。あると知ったら五月蠅そうだ」


 何でもモニカ様、この家具職人の品を幾つか収集しているそうでって。

 やっぱ金持ちは違う…。


 どうでも良いけどデュシー姉さんはこの部屋には来て居ない。

 赤ちゃんがお腹が空いたらしくクズってしまったので、別部屋にて授乳と急遽メイドさん達がベットの支度をしてくれたらしく、其処で赤ちゃんと共に休憩するそうだ。

 確かに出産後の体力が無い状態で逃げて来たのだから、今後体力面に注意するべきだよね。メイドさん達良く気が付くなぁ、有り難う御座います。


「乳母を今後付けた方がいいな」


 何だかレスカ様が懐から取り出した書状に何かを書いて、使用人の一人がその書状をもって退出していった。

 …後からとても有能な乳母さんが来そうで怖い。

 と言うより何から何まで至れり尽くせりなのがとても怖いのだけど。


「此れからジーニアスを私付きにするからな。出来るだけ部下の憂いが無い様にするのが私流だ」


「レスカはそう言ってるけど、本当は懐に入れた奴は大事にする奴なんで~」


「…ケイン」


「だめだよ~ちゃんと誤解が無い様に言っとかないと。後でフォローするの僕とニキなんだからね?」


「あのなぁ」


「んっふっふ~」


 何となーく力関係が分かって来る会話だなぁ。

 レスカ様は額に手をやって片手で頭を抱えて居るし、ケイン様は何処吹く風って感じで飄々としているし。そして我関せずのニキ様。

 この場合下手に口出すと飛び火するから黙っているんだろうなぁ。あの旅でニキ様とケイン様と夏休み中過ごしたせいか、何処と無く察してしまえる自分が怖い。


「はぁ、全く。兎に角ジーニアス、今後頼む」


「は、はい。此方こそ宜しくお願いしたします」


 ジーニアス兄さんが急に立ち上がりお辞儀をすると、ディラン兄さんまでも立ち上がり、


「不束者の弟ですが、私の兄弟姉妹の中では一番優秀な男です。どうかジーニアスを宜しくお願い致します」


 と…

 ヤバイ、これ私もやるべき?

 慌てて立とうとしたら、レスカ様に「レナはいい」と言われてしまった。

 ええ~。


「レナは私の友だからな。公式の場でも無い限り、部下になるジーニアスや初対面のディランは兎も角、見知ったレナは口頭で言うだけで良い」


 あ、今言えって事ね。


「兄ジーニアスをどうか宜しくお願い致します」


 精一杯言葉を尽くしてその場でお辞儀をする。


「ああ」


 力強く頷くレスカ様。

 うう~んこういうやり取りってやっぱり慣れているんだろうなぁって思って居ると、「レスカ~照れてる~」と小突くケイン様。

 え、あれで照れてるの?


「ケイン後で話がある」


「えーやだーレスカの話って長いんだもん~」


「自業自得だ」


「んじゃ、ゲームで僕に勝てたらいいよ?」


「ぐぅっ」


「んっふっふ~僕まだレスカに一度も負けた事無いもんね~」


「鬼だ、鬼が居る…」


 ガックリ項垂れたレスカ様。

 やっぱり上下関係と言うか力関係、ケイン様が最強かも。



 にしても…


「本当に良いので?」


 何が良いと言うのかと言うと、先程レスカ様が掃除に連れて来てくれた使用人達の事だ。


「その為に連れて来たしな」


 何人かメイドさんも居たけど、執事の様な服装をした人は一人も居なかった。


「問題は執事が居ないという事だ。こればっかりは時間が掛かる」


 募集はしているのだがな、と話すレスカ様。

 執事の育成は代々貴族側が育成して居る事が多く、それ以外では派閥の問題やら何やらで中々募集をしても来ないらしい。現に数日前からレスカ様が王都で募集をしているのだけど、中々見付からないのだとか。


「失礼、それならば私に一人心当たりが居ります」


「ほう、誰だ?」


「ブルックストン家の執事の甥です」


「…ユリアのか。だがその男はブルックストン家で今後抱えるのでは無いか?」


「いえ、もう既に別の男が勤めて居ます。しかもその甥は今居る老執事から直接指導されております」


「…詳しいな」


「同じ師故」


 ほえ~…グラシアさんってばユリア様の執事さんのお弟子さん?になるのか。ニキ様もうんうんと頷いて居る。


「ふむ、ブルックストン家なら派閥的にも大丈夫だろう。よし、後で打診してみよう」


「と言ってユリア嬢に会う口実に浮かれるレスカだった」


「ケイン…」


 ペロッと舌を出しているケイン様に生温い目で見るニキ様。


「…まぁ、そうなんだがな」


 認めるんかいっ!

 よし、これ後でユリア様に報告しよう。次会える機会は分からないから、手紙にしてみようっと。
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◇◆◇◆◇ 更新中のお話 ◇◆◇◆◇
新作 BL ※ とある商店街のお茶屋さん
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/192520360

BL ※ ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/488408600

NL ※ 今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/789277952/571182846

宜しかったら見て頂けると嬉しいです(*´ω`*)

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