216 / 255
4章 茜さす樹、影巣食う街
Tears
しおりを挟む
side.ウサギ
古城に付いてやっとの思いでお風呂に入り着替えてから、普段滅多にしないのだがドサッとべっとに倒れる。
「疲れたね」
「ウサギ様お疲れです」
そう言いながら隣に居るタマちゃんは頻りに気にしているらしく、ドアの方を向いたりキョロキョロして落ち着かない。
そんな鳩の身体のタマちゃんの背を軽く撫でながら、ウサギは枕を引き寄せて片手で抱き着く。
「タマちゃん気になる?」
「はい…」
タマちゃんが気にして居るのは元黒犬さん。
彼は現在マルティンお父さんに捕まって調査されている。
調査と言うのは今後二度と離反しないと契約書を書いて血の契約をし、その後身体の隅々までじっくりと邪神の仕掛けが無いかどうかを調べる為だ。
「お父さんの事だから私が嫌がる事はしないしさせないよ」
だから大丈夫と言って背を撫でるとタマちゃんは目を細める。
「ん~…タマちゃんちょっと気になるからクーちゃん達呼ぶね」
「はい」
直ぐに召喚獣達三匹を呼び出すと、くーちゃんはのほほんとしているがカー君が即飛び出してシュシュ!とボクサーの様に拳を上げてからあれ~??ときょときょとと周囲を見渡し、みーちゃんはあ、やっぱり?と言った感じでキョトンとしている。
「ごめんね。私が不意打ち喰らっちゃったの。今はもう収束してるから。皆は怪我してない?」
くーちゃんは怪我の治療で呼び出したので知っているからのほほんとしているが、怪我と聞いてからカー君の傍に寄ってくんくんと匂いを嗅ぎ、ついで手足を触っている。
問診でもしているのだろうか。
次にみーちゃんに寄って行って同じようにし、みーちゃんの場合は角から滴を一つ落として付けて居た。どうから何処か怪我をしたようだ。
「みーちゃん怪我してるの?」
うんうんと頷くみーちゃんに何処?と聞くと患部を見せてくれる。
どうやら打ち身程度のようだ。そしてその部分が少しばかり毛が無くなっている。
身振り手振りでどうやらウサギを拉致されそうになった時にみーちゃんが縋った様だが突き飛ばされたらしい。
「そうだったの」
ションボリしてしまったみーちゃんの頭を撫でて、治療してくれているくーちゃんにウサギはそうだと思い出す。
「くーちゃん、明日もしリアムやキーラちゃんが怪我していたら治療お願いしていい?」
うんうんと頷くくーちゃんにほっとする。
あの時。
拉致される前、キーラちゃん達周辺の人の魔力が急激に減り沢山の護衛の人が気絶をした。あの黒く染まってしまった妖精がウサギの周辺の人の魔力を一気に吸い取ってしまったらしい。
対策用のアクセサリーや能力があるものは吸われずに影響が無かった様だが、キーラやリアムには対応出来なかった。
「お父さんに頼まないと駄目かもねぇ」
護衛達に今日の反省として護符やアクセサリーを身に着けて貰う事にしよう。明日話さないと為らないねとカー君が撫でて~と甘えて来た為にグリグリと頬を撫でる。
ついでにぷにぷにと頬をつつき、いやいや~とフルフルと頭を振るさまを見てほっこりする。
平穏が戻って来た。
パタンとベットに大の字に寝ると召喚獣やタマちゃんも真似て転がる音がする。
「ほんと、疲れたね」
「ですね~」
のんびりとしたタマちゃんの声ときゅ~やらピキュキュやら召喚獣達の声がする。
うん、癒されたなぁ。
でも少しお腹が空いたかも。喉も乾いたなぁとベットから飛び起きる。
「きゅぃい?」
「きゅー」
「ぴぃ~」
「ウサギ様どっかいくの?」
未だベットの上で転がっている召喚獣達にウサギは振り向き、
「ちょっと喉が渇いたのとお腹が空いたかな」
だから取りに行くと言うと皆付いて来た。
最も廊下に行けば誰かが警護しているし、さもなくば部屋の前で何時もならメイドが一人は控えている筈。そう思ってドアを開けてみると、
「あれ??」
誰も居ない。
不測の事態があったし、本来ならキーラちゃん達が控えているからだろうか。
それとも人員が足りないのかな。
もしくはミウ…
「あ」
ポタリと目頭から滴が落ちる。
一気に先程の事がフラッシュバックし、小刻みに身体が震える。
「ウサギ様!?」
「た、タマちゃ…」
吃驚してウサギの胸に飛び込んできたタマちゃんの鳩の身体に顔を伏せ、声をかみ殺して震える。
怖いこわいコワイ…
何が恐いって友達を、親友を失うのが一番怖い。
自分が傷付くのはまだいい。死ぬのだって慣れている。この二千年ずっと繰り返していた事だから頭ではイヤだけど理解もしているし納得もする。本当は良くない事だと言うのも理解している。
でも、自分のせいで他の人が、親友が傷付くのは嫌だ。
怖い…
「ウサギ様大丈夫です」
ふぇぇんとその場で座り込んで泣き出してしまったが止まらない。
ミウが傷付いた。
それが、その事がとても怖かったのだ。
「大丈夫です。もう大丈夫ですよ」
よしよしと鳩の羽根でよしよしと撫でられるのが心地良い。
「タマちゃんわたし、わたしこわかったよぅ」
うん、うんとタマちゃんの声が聞えその度に撫でられる。
「こわかった…」
「すまなかった!」
「え?」
少し遠くから聞きたかった人の声が聞え、え?え?と理解の及ばない頭で顔を上げると、速足で此方に向かって来るレノが。
「え、え、え?れの?」
「ウサギっ」
ぎゅうっと抱き締められ、それでもまだ頭が理解していないのか混乱した声を上げる。
「え、ええ?」
「マルティンから急ぎの連絡が入ったから急いで飛んで来た」
その間にモソモソとした動きがあったがウサギはそれ所ではなく混乱したままだ。
ちなみにモソモソしていたのはタマちゃんで、抱き着かれた時に丁度真ん中で挟まれてしまい慌てて抜け出しているらしい。ジタバタしていたが急に動きが無くなったあたり、何とか抜け出せたのだろう、ドサッとした音がした。
…抜け出した際に恐らく床に落下した音だろう。
「姉上にも数日此方に滞在し、ウサギの側に居ろと言われた。だから、泣くな」
そう言われても止まらないものは止まらない。
「れの、れの、れのぉ」
余計泣き出してしまったウサギにレノはただただ抱き締める。
力は程よい具合に、だが安心させる様に。
「こわ、こわかった。こわかったの。わたし、こわ、くて」
「もう大丈夫だから。私が守る」
「うん、うん」
ぎゅーとウサギがレノの背に手を回して抱き着き、ボロボロと涙で顔をくしゃくしゃにしているのを横からみーちゃんがハンカチで拭いて行く。
どこからそのハンカチを?とレノが思ったが、見るとレノの私物。恐らくポケットに入れて居たものを失敬されたのであろう。ついでに言うとみーちゃんはレノの肩に上って来たために少し重い。
まぁいい今はそれ所ではないとレノはそのハンカチを受け取り、少し落ち着いて来た辺りでみーちゃんを肩に乗せたままでウサギを抱き上げる。
「ぴゃ」
「落ち着いたか?」
「う、うん」
抱き上げられてしまった為に涙が引っ込んだのだ。
だがこの体制は所謂お姫様抱っこ。
何度かレノに抱っこされて来たが、どうにも恥ずかしくて為れない。おまけにレノの心配そうな顔が近くて赤面してしまうのを止められない。
「顔を洗いに行こう」
「あ、あの。自分で」
行ける。そう言おうとしたら「ダメだ」と遮られてしまった。
「ウサギは今日は思いっきり私に甘えろ」
え?と思ってレノの顔をみると心配げな顔が少し泣きそうな顔つきになる。
「頼むから」
切なげに言われては断れない。
こっくりと頷き了承する事にした。
古城に付いてやっとの思いでお風呂に入り着替えてから、普段滅多にしないのだがドサッとべっとに倒れる。
「疲れたね」
「ウサギ様お疲れです」
そう言いながら隣に居るタマちゃんは頻りに気にしているらしく、ドアの方を向いたりキョロキョロして落ち着かない。
そんな鳩の身体のタマちゃんの背を軽く撫でながら、ウサギは枕を引き寄せて片手で抱き着く。
「タマちゃん気になる?」
「はい…」
タマちゃんが気にして居るのは元黒犬さん。
彼は現在マルティンお父さんに捕まって調査されている。
調査と言うのは今後二度と離反しないと契約書を書いて血の契約をし、その後身体の隅々までじっくりと邪神の仕掛けが無いかどうかを調べる為だ。
「お父さんの事だから私が嫌がる事はしないしさせないよ」
だから大丈夫と言って背を撫でるとタマちゃんは目を細める。
「ん~…タマちゃんちょっと気になるからクーちゃん達呼ぶね」
「はい」
直ぐに召喚獣達三匹を呼び出すと、くーちゃんはのほほんとしているがカー君が即飛び出してシュシュ!とボクサーの様に拳を上げてからあれ~??ときょときょとと周囲を見渡し、みーちゃんはあ、やっぱり?と言った感じでキョトンとしている。
「ごめんね。私が不意打ち喰らっちゃったの。今はもう収束してるから。皆は怪我してない?」
くーちゃんは怪我の治療で呼び出したので知っているからのほほんとしているが、怪我と聞いてからカー君の傍に寄ってくんくんと匂いを嗅ぎ、ついで手足を触っている。
問診でもしているのだろうか。
次にみーちゃんに寄って行って同じようにし、みーちゃんの場合は角から滴を一つ落として付けて居た。どうから何処か怪我をしたようだ。
「みーちゃん怪我してるの?」
うんうんと頷くみーちゃんに何処?と聞くと患部を見せてくれる。
どうやら打ち身程度のようだ。そしてその部分が少しばかり毛が無くなっている。
身振り手振りでどうやらウサギを拉致されそうになった時にみーちゃんが縋った様だが突き飛ばされたらしい。
「そうだったの」
ションボリしてしまったみーちゃんの頭を撫でて、治療してくれているくーちゃんにウサギはそうだと思い出す。
「くーちゃん、明日もしリアムやキーラちゃんが怪我していたら治療お願いしていい?」
うんうんと頷くくーちゃんにほっとする。
あの時。
拉致される前、キーラちゃん達周辺の人の魔力が急激に減り沢山の護衛の人が気絶をした。あの黒く染まってしまった妖精がウサギの周辺の人の魔力を一気に吸い取ってしまったらしい。
対策用のアクセサリーや能力があるものは吸われずに影響が無かった様だが、キーラやリアムには対応出来なかった。
「お父さんに頼まないと駄目かもねぇ」
護衛達に今日の反省として護符やアクセサリーを身に着けて貰う事にしよう。明日話さないと為らないねとカー君が撫でて~と甘えて来た為にグリグリと頬を撫でる。
ついでにぷにぷにと頬をつつき、いやいや~とフルフルと頭を振るさまを見てほっこりする。
平穏が戻って来た。
パタンとベットに大の字に寝ると召喚獣やタマちゃんも真似て転がる音がする。
「ほんと、疲れたね」
「ですね~」
のんびりとしたタマちゃんの声ときゅ~やらピキュキュやら召喚獣達の声がする。
うん、癒されたなぁ。
でも少しお腹が空いたかも。喉も乾いたなぁとベットから飛び起きる。
「きゅぃい?」
「きゅー」
「ぴぃ~」
「ウサギ様どっかいくの?」
未だベットの上で転がっている召喚獣達にウサギは振り向き、
「ちょっと喉が渇いたのとお腹が空いたかな」
だから取りに行くと言うと皆付いて来た。
最も廊下に行けば誰かが警護しているし、さもなくば部屋の前で何時もならメイドが一人は控えている筈。そう思ってドアを開けてみると、
「あれ??」
誰も居ない。
不測の事態があったし、本来ならキーラちゃん達が控えているからだろうか。
それとも人員が足りないのかな。
もしくはミウ…
「あ」
ポタリと目頭から滴が落ちる。
一気に先程の事がフラッシュバックし、小刻みに身体が震える。
「ウサギ様!?」
「た、タマちゃ…」
吃驚してウサギの胸に飛び込んできたタマちゃんの鳩の身体に顔を伏せ、声をかみ殺して震える。
怖いこわいコワイ…
何が恐いって友達を、親友を失うのが一番怖い。
自分が傷付くのはまだいい。死ぬのだって慣れている。この二千年ずっと繰り返していた事だから頭ではイヤだけど理解もしているし納得もする。本当は良くない事だと言うのも理解している。
でも、自分のせいで他の人が、親友が傷付くのは嫌だ。
怖い…
「ウサギ様大丈夫です」
ふぇぇんとその場で座り込んで泣き出してしまったが止まらない。
ミウが傷付いた。
それが、その事がとても怖かったのだ。
「大丈夫です。もう大丈夫ですよ」
よしよしと鳩の羽根でよしよしと撫でられるのが心地良い。
「タマちゃんわたし、わたしこわかったよぅ」
うん、うんとタマちゃんの声が聞えその度に撫でられる。
「こわかった…」
「すまなかった!」
「え?」
少し遠くから聞きたかった人の声が聞え、え?え?と理解の及ばない頭で顔を上げると、速足で此方に向かって来るレノが。
「え、え、え?れの?」
「ウサギっ」
ぎゅうっと抱き締められ、それでもまだ頭が理解していないのか混乱した声を上げる。
「え、ええ?」
「マルティンから急ぎの連絡が入ったから急いで飛んで来た」
その間にモソモソとした動きがあったがウサギはそれ所ではなく混乱したままだ。
ちなみにモソモソしていたのはタマちゃんで、抱き着かれた時に丁度真ん中で挟まれてしまい慌てて抜け出しているらしい。ジタバタしていたが急に動きが無くなったあたり、何とか抜け出せたのだろう、ドサッとした音がした。
…抜け出した際に恐らく床に落下した音だろう。
「姉上にも数日此方に滞在し、ウサギの側に居ろと言われた。だから、泣くな」
そう言われても止まらないものは止まらない。
「れの、れの、れのぉ」
余計泣き出してしまったウサギにレノはただただ抱き締める。
力は程よい具合に、だが安心させる様に。
「こわ、こわかった。こわかったの。わたし、こわ、くて」
「もう大丈夫だから。私が守る」
「うん、うん」
ぎゅーとウサギがレノの背に手を回して抱き着き、ボロボロと涙で顔をくしゃくしゃにしているのを横からみーちゃんがハンカチで拭いて行く。
どこからそのハンカチを?とレノが思ったが、見るとレノの私物。恐らくポケットに入れて居たものを失敬されたのであろう。ついでに言うとみーちゃんはレノの肩に上って来たために少し重い。
まぁいい今はそれ所ではないとレノはそのハンカチを受け取り、少し落ち着いて来た辺りでみーちゃんを肩に乗せたままでウサギを抱き上げる。
「ぴゃ」
「落ち着いたか?」
「う、うん」
抱き上げられてしまった為に涙が引っ込んだのだ。
だがこの体制は所謂お姫様抱っこ。
何度かレノに抱っこされて来たが、どうにも恥ずかしくて為れない。おまけにレノの心配そうな顔が近くて赤面してしまうのを止められない。
「顔を洗いに行こう」
「あ、あの。自分で」
行ける。そう言おうとしたら「ダメだ」と遮られてしまった。
「ウサギは今日は思いっきり私に甘えろ」
え?と思ってレノの顔をみると心配げな顔が少し泣きそうな顔つきになる。
「頼むから」
切なげに言われては断れない。
こっくりと頷き了承する事にした。
0
お気に入りに追加
881
あなたにおすすめの小説
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
身代わり王女の受難~死に損なったら、イケメン屋敷のメイドになりました~
茂栖 もす
恋愛
とある世界のとある国……じゃなかった、アスラリア国でお城のメイドとして働いていた私スラリスは、幼少の頃、王女様に少しだけ似ているという理由だけで、身代わりの王女にされてしまった。
しかも、身代わりになったのは、国が滅亡する直前。そして餞別にと手渡されたのは、短剣と毒。……え?これのどちらかで自害しろってことですか!?
誰もいなくなった王城で狼狽する私だったけど、一人の騎士に救い出されたのだ。
あー良かった、これでハッピーエンド……とはいかず、これがこの物語の始まりだった。
身代わりの王女として救い出された私はそれから色々受難が続くことに。それでも、めげずに頑張るのは、それなりの理由がありました。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
冤罪で自殺未遂にまで追いやられた俺が、潔白だと皆が気付くまで
一本橋
恋愛
ある日、密かに想いを寄せていた相手が痴漢にあった。
その犯人は俺だったらしい。
見覚えのない疑惑をかけられ、必死に否定するが周りからの反応は冷たいものだった。
罵倒する者、蔑む者、中には憎悪をたぎらせる者さえいた。
噂はすぐに広まり、あろうことかネットにまで晒されてしまった。
その矛先は家族にまで向き、次第にメチャクチャになっていく。
慕ってくれていた妹すらからも拒絶され、人生に絶望した俺は、自ずと歩道橋へ引き寄せられるのだった──
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる