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3章 モーザ・ドゥーグの影

番外編 フローとアニタ2

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 うにゃん、うにゃーんっ!
 フローの部屋のベットの上でゴロゴロしている私は、ひっじょーに、今世紀最大に、何かやることを渇望、熱望、したい位暇していた。赤ん坊だから殆ど出来ないけどね~。

「フーひまにょーっ!」

 ゴロゴロ
 ゴロゴロ
 ゴロゴロ…

 あ、ベットの端?

「うわっ落ちる!」

 ベットの上でゴロゴロ転がって落ちそうになって居た赤ん坊のアニタをフローはヒョイと抱き上げ、ふ~と言う。

 …駄洒落じゃないからね?
 フーがふ~…
 (´-ω-`)
 やっぱり駄洒落かな?

「何危ないことしてるんだアニタ。怪我するだろ」

 それはそうなんだけどっ
 暇何ですっ!

「ママもパパもいにゃいかにゃひまにょーっ!」

 ママが居てくれたら一緒に絵本読んでくれるし、ママが嵌まってるママの精霊さん達の御布団を縫ってるのを横で見てるのも好き。色んな糸や布があって、時折リボンを作ってくれたりするからついついはしゃいじゃう。
 パパは仕事がある時と午前中は無理だけど、仕事が無い時は構ってくれる。…ママの側が絶対だけど。パパはママが好き過ぎるなぁ。

 ぷうっと頬を膨らませ、右手をたかーーくっ!上げて抗議をするとフローが変な顔をする。

「…何だか前と随分違うなぁ」

 そして吐息。
 …ちょっと、ね、カチンと来たよ。

「む~!フーのちゅけべ!」

 業とらしく大げさにツルペタの何も無い胸を隠す様に両手で自分を抱き締めると、「ちょっ!おまっ!」と慌てるフロー。

 ふ~んだ。
 どうせ中身がお子ちゃまになったって言うんでしょ。
 その通りだもん。
 まだ生後数ヵ月の赤ちゃんだもん。
 中身だって違うもん。
 胸は今は無理だもん。
 前は大きかったけど。

 前世のアニタと同じにしないで欲しいわ。
 無理なモノは無理なんだからね。

「あのなぁ…」

 って言ってガシガシ頭を掻いてるフローは「あ~もうっ」と言って頭を抱えてる。
 フローはこう言う風に考えるの苦手よね。
 …だったらもっと考えなさい。
 デリカシー無さすぎよ。

「悪かったよ。その、前とか言い出してさ」

「…フーのばーか」

「罵りハンパねーな!」

「ばーか」

「ああ、悪かった。もうしない」

「やくちょくちゅる?」

「するする。だから機嫌なおせ」

「む~」

「ほらほら、また暴れるとベットから落ちるぞ」

 そう言ってフローは私を抱き締めてくれる。
 そんなフローの赤い髪に少し凭れて、自分の視界に入る私の髪も赤いな、とボンヤリと思う。

「フー」

「ん~?」

「街にいにゅママとパパのとこ行きちゃい」

「それはこの間竜の兄貴にも言われたろ?俺も小さい赤ん坊の時は駄目だったし。外に行きたいなら屋上と庭迄だな」

「む~」

「我儘言わない。今だってまだまともに歩けないだろ?てかな、前から聞こうと思ってたんだが、どうしてウサギの事ママって呼ぶんだ?」

「…んにゅ」

「アニタ」

「…りゅーおーはパパってにょんでいいにょ?」

「それはまあ、まだ何となくだけど判るからなぁ。実際歴代の火の精霊達は竜の兄貴が父親みたいな所があったし。アニタもそーだろ?産まれてから育ての親みたいなもんだし。マルティンさんもだけどさ」

「ママが欲しかったにょ。パパもだけにょ」

「親が欲しかったのか?」

「うん。ずっと欲しかったにょ。人間にょ友達みんにゃいるから」

「あ~成る程な。前に言ってたな、親が欲しいって」

「パパママって言って甘えちゃかったにょ」

「そか」

「うん」

「…」

「フー?」

「…俺には甘えてくんねーの?」

 プイってソッポ向いてって、わ~耳まで赤いよフロー!
 珍しいってしみじみと眺めて居たら、抱っこされて顔見えなくなっちゃった。

 ズルい。
 照れたお顔もっと見たいよ。
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