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3章 モーザ・ドゥーグの影

匂い

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 何も見えない真っ暗な闇の最中。

 血生臭い匂いが部屋中に広がる。



 部屋と言ったが、もしかしたら部屋では無いのかも知れない。
 かといって外の様な感じもしない。


 外なら草木の匂いや土の匂い。
 岩が多い場所なら苔むす湿気を帯びた匂い。
 乾燥している場合でさえ、独特の匂いがあるし、人がいる場所ならば生活臭等がある。



 所がこの場所に漂うのは、嗅ぎ馴れた匂い。





 鉄のような独特の匂い。





 そして、離れた場所に居る筈の私の靴先に迄広がる血溜まりーー…




 真っ暗で見えなかった視界の先。
 目が馴れたのか徐々に目に映るその光景。




 黒々とした大きな犬が血溜まりの中に転がり。


 其処は真っ赤に染まっていた。







 私の番(レイン)の心臓に深々と刺さる剣から滴る鮮血でーー
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