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2.5章
番外編 フローとアニタ
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ぺちんぺちん。
「むー!」
先程からずっとぺちぺち叩いて居るのだが、叩かれて居る相手であるフローは全く目を覚まさない。
昨晩一緒に寝ようと共に寝たのだが(危ない意味はアニタが赤ん坊の為に皆無)、添い寝した相手はアニタを抱き締めたままでずっと眠って居る。
ーーお腹すいた!
べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!ベチッ!
…バチンッ!ドカッ!
「いっ!いてえ!わっ、ちょっと!」
腹が立ったのか、お腹が空いた為に不機嫌になったのか。
最初は手で叩いて居たのだが、一向に起きない為に等々肘を使って殴り付けて来た。はっきり言ってこれは痛い。
「いた、痛いって!アニタ!」
「うー!うー!ばーかー!」
普段あまり口が廻らないアニタだが、何故かフローを罵倒する時はハッキリと喋る時がある。そう言う時は大抵お腹が空いて不機嫌な証拠なのだが、今正にその状態だ。
「殴るなってば!あ~もしかしてお腹が空いたから怒ってる?」
ドカドカと蹴り出した事にアニタを抱き起こし、
「ごめんごめん、起こしてくれたんだよな?で、起きなかったから不機嫌なのか?」
うんうんと頷いたまま不機嫌な様子に、これは相当腹が減ってるなと慌ててベットから降りて着替え始める。
「や!」
フローがさっさと着替えてからアニタの着替えをさせようとしたら、激しく抵抗されてしまった。
「いや、だからな。着替えを」
「め!」
イヤイヤを始めたアニタに混乱する。
「あ~えーと」
アニタの着替えをさせようと、上着に手を掛けると激しく抵抗される。仕舞いには殴られたり泣かれたり。ほとほと困ってしまった。
「でも着替え無いとダメだろう?」
「めーー!」
ぷんぷんと怒りだしたアニタにフローはどうしたら良いかわからず、
「あにぃ助けてー!」
兄の竜王にアニタを抱っこしたまま(抱っこはOKらしい)かけこんでいった。
***
「何をしてるんだお前は」
「いや、だってさぁ…」
赤ん坊の扱いはわからないよと言うフローは、アニタとウサギに言われて後ろを向かされていた。ちなみに今、アニタはウサギによってルンルン気分で着替えさせて貰っている。
「アニタちゃん、今日は赤いリボン付けようか?」
「あいっ!」
ウサギに白いワンピースを着せられて、アニタの髪の毛にブラシを掛けながら横にちょこんと赤いリボンを付ける。ここ暫く甲斐甲斐しく御世話をしていた御掛けでスッカリ手馴れたモノ。
初めて自分の髪の毛を鋤いた時はグチャグチャになったとは思えない手付きだ。
「うん、可愛いね♪」
「あ~♪」
すっかりご機嫌になり、「あーがひょ」とピョコンとお辞儀をする。
「何この違い…」
ガックリと項垂れるフローはまだ後ろを向かされたままで、はぁぁ…と溜め息を1つ吐く。
「当たり前じゃないですか。ね、アニタちゃん」
「ね~♪」
にこにこと微笑むアニタを抱っこし、ウサギは背を向けたままのフローの前に回り、
「アニタちゃん女の子ですよ?それなのに男の人に着替えさせて貰うってのは無いです」
「です!」
ふんぞり返るアニタにフローは、
「可愛いけど、末っ子の真似?」
「ちゃーもん!」
プンッと頬を膨らますアニタにフローはウウム?と唸る。
「あにぃ、何がどう違うんだ?」
「…以外と鈍感だったのだな、お前は」
「あにぃに言われるとは!」
「どういう意味だそれ」
「イヤだって、あにぃってば昔明らかに好意を示して来た女の子の事、悉くスルーしまくってたじゃないか!仕舞いにはベットに誘いに来た娘まで袖に「ストップ!」あ!」
フローが気付いて慌ててウサギを見ると、顔色は真っ青になり、ショックを受けた顔付きでフルフルと小刻みに震えながら涙目になっている。
「レイン」
「…うん」
「私はレイン以外には興味は無い」
「うん。知ってる」
ぎゅむっと抱き着いたウサギに竜王は抱き締め返しながら、ウサギの耳元に「好きだ」「レインしか欲しく無い」等と甘く囁く。
そしてウサギに見えない様に、手だけでフローに対して"しっしっ"と手で追い払う仕草をし始めた。
「フーにょ、ばーか」
竜王の部屋から出て廊下に出た途端、フローの腕の中に居るちっちゃいアニタに罵倒される。
恐らくフロー達が部屋から出て来た事で、竜王とウサギ彼等二人が食堂に来るのは大分時間が掛かるだろう。
「…そ、だな。今のは俺が悪いな」
やっちゃったよ、後で誠心誠意謝らないとな。と愚痴るとアニタに腕をナデナデされる。
「お、慰めてくれるのか?」
「ちょとね」
「おう、ありがとな」
「そゆちょこ、フーのびちょく」
「ん~?」
「フーあやまにゅのエライ。おれいちゅるのエライ」
嗚呼成る程とフローは頷き、
「そか」
「ん!」
廊下にでた事で待機していたメイドに連れられ、一階の食堂はまだ修理中の為、二階の臨時の部屋までゆったりと向かう。
「フー」
「ん~?」
「おもい?」
「いや」
軽いと言い掛けて止める。
何となく言ったら失礼な気がした。
腕の中に抱いている彼女はフローの知っていた彼女だけれど、外見は全く違っていて。
心臓付近が何故かキリッと痛む。
「フー」
「どした?」
「おきがえはメイドしゃんよんで。フーされるにょ、はずかちい」
「そっか。御免な、俺そう言うの鈍くてさ」
「んーん、ちってゆ」
「そか」
「ん」
「…そっか」
「フー…ないちぇるの?」
「…」
「フー、だいしゅきだよ」
「ありがとな」
「フーあいたかっちゃよ」
「御免な」
「フー、なかないで」
「そ、だな」
二階の踊り場に立ち止まり、フローは袖で目を擦る。
気が付くと先導していたメイドのエイミーは、フローを見ない様に背を向けたまま止まって居てくれている。
「フーもうはなちゃないでね?」
「…約束する。俺アニタをもう離さないよ」
「ん、フーだいしゅき」
「あ~…えっと、なんかあにぃみたいな気分だな」
「ん~?」
「アニタ、頬にキスしていい?」
「うん!」
ニッコリ上機嫌になったアニタにフローも微笑む。
だが次の瞬間盛大にむせた。
何故かと言うとーー…
「ほほにょりくちがいいにょ!」
ん~♪と唇を上げる幼女、と言うか赤ん坊にフローは「ゴフッ!」と……
「城に甘ったるい人がまた増えたわね」
エイミーの呟きに、答える人は誰も居なかった。
…否。
黒猫アドニスが廊下の角で、エイミーに答える様に半目になって突っ立っていた。
「むー!」
先程からずっとぺちぺち叩いて居るのだが、叩かれて居る相手であるフローは全く目を覚まさない。
昨晩一緒に寝ようと共に寝たのだが(危ない意味はアニタが赤ん坊の為に皆無)、添い寝した相手はアニタを抱き締めたままでずっと眠って居る。
ーーお腹すいた!
べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!べち!ベチッ!
…バチンッ!ドカッ!
「いっ!いてえ!わっ、ちょっと!」
腹が立ったのか、お腹が空いた為に不機嫌になったのか。
最初は手で叩いて居たのだが、一向に起きない為に等々肘を使って殴り付けて来た。はっきり言ってこれは痛い。
「いた、痛いって!アニタ!」
「うー!うー!ばーかー!」
普段あまり口が廻らないアニタだが、何故かフローを罵倒する時はハッキリと喋る時がある。そう言う時は大抵お腹が空いて不機嫌な証拠なのだが、今正にその状態だ。
「殴るなってば!あ~もしかしてお腹が空いたから怒ってる?」
ドカドカと蹴り出した事にアニタを抱き起こし、
「ごめんごめん、起こしてくれたんだよな?で、起きなかったから不機嫌なのか?」
うんうんと頷いたまま不機嫌な様子に、これは相当腹が減ってるなと慌ててベットから降りて着替え始める。
「や!」
フローがさっさと着替えてからアニタの着替えをさせようとしたら、激しく抵抗されてしまった。
「いや、だからな。着替えを」
「め!」
イヤイヤを始めたアニタに混乱する。
「あ~えーと」
アニタの着替えをさせようと、上着に手を掛けると激しく抵抗される。仕舞いには殴られたり泣かれたり。ほとほと困ってしまった。
「でも着替え無いとダメだろう?」
「めーー!」
ぷんぷんと怒りだしたアニタにフローはどうしたら良いかわからず、
「あにぃ助けてー!」
兄の竜王にアニタを抱っこしたまま(抱っこはOKらしい)かけこんでいった。
***
「何をしてるんだお前は」
「いや、だってさぁ…」
赤ん坊の扱いはわからないよと言うフローは、アニタとウサギに言われて後ろを向かされていた。ちなみに今、アニタはウサギによってルンルン気分で着替えさせて貰っている。
「アニタちゃん、今日は赤いリボン付けようか?」
「あいっ!」
ウサギに白いワンピースを着せられて、アニタの髪の毛にブラシを掛けながら横にちょこんと赤いリボンを付ける。ここ暫く甲斐甲斐しく御世話をしていた御掛けでスッカリ手馴れたモノ。
初めて自分の髪の毛を鋤いた時はグチャグチャになったとは思えない手付きだ。
「うん、可愛いね♪」
「あ~♪」
すっかりご機嫌になり、「あーがひょ」とピョコンとお辞儀をする。
「何この違い…」
ガックリと項垂れるフローはまだ後ろを向かされたままで、はぁぁ…と溜め息を1つ吐く。
「当たり前じゃないですか。ね、アニタちゃん」
「ね~♪」
にこにこと微笑むアニタを抱っこし、ウサギは背を向けたままのフローの前に回り、
「アニタちゃん女の子ですよ?それなのに男の人に着替えさせて貰うってのは無いです」
「です!」
ふんぞり返るアニタにフローは、
「可愛いけど、末っ子の真似?」
「ちゃーもん!」
プンッと頬を膨らますアニタにフローはウウム?と唸る。
「あにぃ、何がどう違うんだ?」
「…以外と鈍感だったのだな、お前は」
「あにぃに言われるとは!」
「どういう意味だそれ」
「イヤだって、あにぃってば昔明らかに好意を示して来た女の子の事、悉くスルーしまくってたじゃないか!仕舞いにはベットに誘いに来た娘まで袖に「ストップ!」あ!」
フローが気付いて慌ててウサギを見ると、顔色は真っ青になり、ショックを受けた顔付きでフルフルと小刻みに震えながら涙目になっている。
「レイン」
「…うん」
「私はレイン以外には興味は無い」
「うん。知ってる」
ぎゅむっと抱き着いたウサギに竜王は抱き締め返しながら、ウサギの耳元に「好きだ」「レインしか欲しく無い」等と甘く囁く。
そしてウサギに見えない様に、手だけでフローに対して"しっしっ"と手で追い払う仕草をし始めた。
「フーにょ、ばーか」
竜王の部屋から出て廊下に出た途端、フローの腕の中に居るちっちゃいアニタに罵倒される。
恐らくフロー達が部屋から出て来た事で、竜王とウサギ彼等二人が食堂に来るのは大分時間が掛かるだろう。
「…そ、だな。今のは俺が悪いな」
やっちゃったよ、後で誠心誠意謝らないとな。と愚痴るとアニタに腕をナデナデされる。
「お、慰めてくれるのか?」
「ちょとね」
「おう、ありがとな」
「そゆちょこ、フーのびちょく」
「ん~?」
「フーあやまにゅのエライ。おれいちゅるのエライ」
嗚呼成る程とフローは頷き、
「そか」
「ん!」
廊下にでた事で待機していたメイドに連れられ、一階の食堂はまだ修理中の為、二階の臨時の部屋までゆったりと向かう。
「フー」
「ん~?」
「おもい?」
「いや」
軽いと言い掛けて止める。
何となく言ったら失礼な気がした。
腕の中に抱いている彼女はフローの知っていた彼女だけれど、外見は全く違っていて。
心臓付近が何故かキリッと痛む。
「フー」
「どした?」
「おきがえはメイドしゃんよんで。フーされるにょ、はずかちい」
「そっか。御免な、俺そう言うの鈍くてさ」
「んーん、ちってゆ」
「そか」
「ん」
「…そっか」
「フー…ないちぇるの?」
「…」
「フー、だいしゅきだよ」
「ありがとな」
「フーあいたかっちゃよ」
「御免な」
「フー、なかないで」
「そ、だな」
二階の踊り場に立ち止まり、フローは袖で目を擦る。
気が付くと先導していたメイドのエイミーは、フローを見ない様に背を向けたまま止まって居てくれている。
「フーもうはなちゃないでね?」
「…約束する。俺アニタをもう離さないよ」
「ん、フーだいしゅき」
「あ~…えっと、なんかあにぃみたいな気分だな」
「ん~?」
「アニタ、頬にキスしていい?」
「うん!」
ニッコリ上機嫌になったアニタにフローも微笑む。
だが次の瞬間盛大にむせた。
何故かと言うとーー…
「ほほにょりくちがいいにょ!」
ん~♪と唇を上げる幼女、と言うか赤ん坊にフローは「ゴフッ!」と……
「城に甘ったるい人がまた増えたわね」
エイミーの呟きに、答える人は誰も居なかった。
…否。
黒猫アドニスが廊下の角で、エイミーに答える様に半目になって突っ立っていた。
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