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2.5章

2.5 終決

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今回短目です、すいません
m(__)m

 * * *

 side.パウル・ハイデッガー

 目の前の竜王の古城を覆っていた結界と内部から覆っていた結界の二重の結界が溶け、中から紅い光が漏れてくる。
 その光が強まり、漏れるにつれて戦場の様子が一変する。
 次々と降伏する敵だった者達。
 元々人類の敵対者であるモンスター(魔物)意外、全ての者がその瞳に知性を取り戻し降伏する。

 座す者。
 平伏する者。
 武器を放り投げる者。

 特に冷静になったのかドライアド達等は次々と降伏し、時にはクネクネと謎の踊り(某ゲームの様にMPが急激に減ったりはしていない)をしたり、頬を染めて若手の男に色目を使ったりと様々な様子を見せている。

 それに対して一部の我に返ったモンスターは右往左往したり、頭を抱え込んだりと様々だ。

「大統領」

「あ~…こりゃ戦争終決って事かな」

 洗脳も解けた様だしと一息つく。
 ああ、こう言う時ほど煙草が欲しい。
 何時の間に来たのか、横に居る秘書官を伺う。
 普段大統領パウルの健康云々を気遣い事細かく、それこそパウルが辟易する程口を酸っぱくする程に言う秘書官、クロウが懐から紙巻煙草をケースから取り出し、パウルに「吸いますか?」と勧めてくる。
 珍しい事もあるものだ。

 クロウから貰った紙巻煙草に火を着け、大のおっさんが二人並んで煙を出しながら吸う。
 戦場を眺めながら心の中では失敬と思いつつ、絵面が我ながらちーと辛いなとパウルは思うが、横に居るクロウは済ました顔で吸っている。そう言えばと、何時もなら居る補佐官の姿を探すと大量のお湯を沸かしている。アイツは普段こう言う気配りが出来るんだよなと、かなりの数のカップに沸かしたお湯で入れたお茶を入れ、お盆に入れて皆に渡しに行っている。

 そう言えば和の国にあるキセルと言う品が中々良いとか。
 身体には悪いのだが、匂いが中々とか。

「和の国の方も解決させてくれないかねぇ」

 しっかし、隠蔽されし第十一番目とはね。
 古城の中からのこの紅い光。確実に竜王の番が十一番目なのだろう。

「竜王も大変だねぇ、可愛がってる嬢ちゃんがこの星の"未来"とはね」

 それでなくても嬢ちゃんや竜王は邪神に狙われているのに、幼い子供が第十一番目と知れば他国や良からぬ事を考えて来る奴等も狙って来るだろう。
 それこそ搦め手で。
 せめて政治的な事で煩わせぬ様に動くかね、とパウルは重い腰を上げる。後程商業的な意味でマルティンとも積める話もせねばなと、戦場だった場所を眺めた。




 戦争終決。

 後に《ウイングダス交戦》や《1日戦争》、それに《第十一番目生誕の日》等と言われる戦争は終決した。



 ーその日から三日後ー

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